本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(230)
- 2019年 7月 22日
- 評論・紹介・意見
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我思う、ゆえに我あり
1999年から始まった「日本の実質的なゼロ金利政策」は、現在、21年目を迎えているが、この原因については、400年ほど前に誕生した「二つの思想」にまで行きつくものと考えている。具体的には、「時は金なり」であり、また、「デカルト」の「我思う、ゆえに我あり」のことだが、不思議なことは、「400年」という「時間の触媒効果」により、現在では、世界中の人々が、「お金が全てであり、また、自分さえ良ければいい」という理解や意識に変化した状況のようにも感じられるのである。
そして、この理由として、哲学者の「梅原猛氏」は、「西洋哲学の問題点」を指摘されているが、実際には、「唯物論」と「西洋のヒューマニズム」が、極限にまで行き着いた結果として、現在のような「マネーの大膨張」、そして、「心の闇」が形成された状況のことである。つまり、「東洋の唯心論」が忘れ去られ、また、「白人至上主義」が行き過ぎた結果として、現在、「物質を代表するマネー(お金)」が大膨張し、また、「西洋を中心にした個人主義」、あるいは、「ポピュリズム」が世界的に蔓延している可能性であり、このことが「トランプ大統領などを支持する理由」のようにも思われるのである。
別の言葉では、「文明法則史学」が教えるとおりに、「西暦2000年前後に、西洋の時代がピークを迎えた状況」のことだが、興味深い点は、「西暦1950年頃から2050年頃」までの「約100年間」が、「西洋から東洋の時代への移行期である」という点である。そして、今後は、「まったく違った価値観が世界を支配する状況」が、過去の歴史から推測されることとも考えられるのである。
つまり、現在も、「1600年前」ときわめて酷似した状況となっているが、前回と今回の「最大の相違点」は、「科学技術文明の発達」、具体的には、「ニュートンによる万有引力の発見」以降「驚異的な勢いで、科学技術が発展した状況」だと考えている。しかも、今後は、「人工知能の進化」までもが想定されているが、この時に必要不可欠な条件は、「東洋学、あるいは、唯心論の発展」であり、実際には、「心の謎」を解くことにより、新たな「思想」が産み出されることだと考えている。
具体的には、「梅原氏」が主張するとおりに、「西洋の科学技術文明」と「東洋の精神文明」が融合した「新たな文明」が、日本を中心にして生み出される可能性のことだが、この点に関して、重要な役割を果たすのは、やはり、「第二次世界大戦後の日本人」が経験したような「意識的な覚醒」だと考えている。(2019.6.25)
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バブルと新理論
「バブルの特徴」としては「バブルの崩壊まで、ほとんどの人が、バブルの発生や存在に気付かない」、そして、「バブルの最終局面で、バブルを正当化する新理論が誕生する」という点が指摘できるものと考えている。具体的には、「1980年代の後半」に発生した「日本の土地と株式のバブル」については、「誰もバブルだとは考えず、新たに誕生したQレシオなどの理論を、完全に信じ込んだ」という状況だった。また、「1999年」については、ご存知のとおりに、「ニューエコノミー理論」が誕生し、「IT銘柄以外は株式ではない」、そのために、「オールドエコノミー銘柄を売却して、ニューエコノミー銘柄を買うべきだ」という認識が世界的に広まったのである。
そして、このような観点から、現在の状況を鑑みると、典型的な「バブル」が発生し、同時に、「バブルを正当化する新理論が誕生した状況」のようにも感じているが、具体的には、「デジタル通貨」や「コンピューターマネー」などのように「目に見えない、単なる数字が、通貨として使われている状況」のことである。つまり、「現代の通貨」は、「裸の王様」の物語のように、「影も形も存在しない、コンピューターの中に存在する数字」に変化しながらも、世界的に絶大な信用を享受しており、このような状況下で誕生したのが、現在の「MMT(現代貨幣理論)」とも思われるのである。
別の言葉では、現在、典型的な「バブルの特徴」が見られるものと考えているが、この時の問題点は、前述のとおりに、「バブルの崩壊まで、バブルの存在に気付かない」という事実だと考えている。具体的には、「金融界の白血病」という言葉のとおりに、「世界的な国債価格の暴落」や「デリバティブの完全崩壊」などの大事件が発生し、その結果として、「世界的な紙幣の大増刷」が発生する状況であり、この時には、「紙幣は、コンピューターネットワークの中を流れることができない」という「単純な事実」により、「現在の通貨」が使用不能となる状況も想定されるのである。
しかも、このような状況下で、「アメリカのトランプ大統領」は、「世界の信用を完全消滅させる行為」を、着々と実行しているものと考えているが、現時点で必要なことは、「1995年当時、アメリカは、どのような状況だったのか?」を思い出すことだと考えている。つまり、「三つ子の赤字」に悩まされ、「国家財政が破たん寸前の状況」となったのだが、この時の救世主となったのが、いわゆる「デリバティブ(金融派生商品)」であり、今までは、「この恩恵を受けて、表面上の繁栄を謳歌できた状況」だったが、残念ながら、トランプ大統領は、この点が理解できない状況とも言えるようである。(2019.6.28)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8830:190722〕
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