中野@札幌 様
- 2019年 7月 31日
- 交流の広場
- 熊王信之
早速の、「簡にして要を得た」ご質問を頂きまして有難うございます。 私は、批判の部類に入るのか、入らない程度の「危惧」程度なのかも知れませんが、山本太郎さんの天皇に対する思いが不安なのです。
例えば、英国で今世間を騒がせていますEU離脱に係る諸問題では、世間が女王にその点について見解を糺す等と言うことは一切ありません。 仮にあったとしましても、女王は一般的な対応をされるのみでしょうが。 更に、現女王は、割と平気で何でも話されるので側近が驚かれることもあるようですが、政治的な話題では厳として触れないようにされておられるように見えます。 実際、女王の冗談は、過激に面白いのですが、政治的な諸問題では、面白いでは済まないことを自覚されておられるようです。
これには、歴史的な経過があるのです。 即ち、歴史を遡りますと、王が有していた権力を民衆が奪い取った経過自体が不文の憲法としてあるからです。 日本には、そのような歴史的経過がありません。 反対に日本国憲法の制定以来、憲法が定めた条文の中身が侵食されて来た経過はあります。
日本国憲法と相違した政治思想を抱く政党政派が長年の間政権にあった経過から、憲法が「国事行為」に限定している天皇の行為の範疇を拡大して来た歴史があるのです。
その世情から元号等と言う時代錯誤のものまで持ち出して戦前回帰を図る政治勢力と同等のことをされる必要があるのか、と問いたいのです。 巷間、名は体を表す、と申します。 「れいわ新選組」等と言う時代錯誤の政党名は、「何とか維新」と同等のネーミングだと思うのです。
それと、お尋ねのMMTに関しては、今関連書籍を取り寄せている処で理論がどうなのかについては、報道されている処しか存じませんので賛否をお答え出来る処では無いのです。
私の場合は、経済学についてはごく一般的な理解しかありません。 税財政については理論よりも実務先行です、と申しますより、過去形になります。 即ち、本当に実務的なことを業務でしておりましたのみです。 其処から今では専門書を読むようになった、のみです。
金融・経済に関わっては、自分が自分のために聊か投資紛いのことを此処数十年の間熟しておりますので、そのために調べているのみです。 と申しますか、自己資金ですので真剣勝負です。 選挙前に世を騒がせました金融庁の報告書に記載の事実を数十年前に自覚したからでした。 経過を振り返りますと、私が自覚したとおりに戦後生まれの世代を対象に年金制度から退職金制度、給与制度に至るまで改悪されました。 後は、節約して自己資金で老後に備えるしかありませんでした。 ただ、少しでも自己資金を増やすのに己の知恵を使うべき、と思慮したのは事実ですが。
と言う処から申しますと、国家財政は、簡単に破綻します。 地方も同様です。別に第一次大戦後のドイツを持ち出さなくても、現在進行形で破綻しつつある国がありますし、何処でも破綻する可能性があるのです。
破綻しても、大企業や富裕層は困りません。 第一、事前に資本逃避がなされますので、破綻後には資産を有している者、企業等は恩恵を受けることになるので普通です。 そもそも当該の国が破綻後には立ち直るのです。 借金がチャラになるのですから当然です。 一般国民層の不幸と引き換えに。 それ故に、今でも、大企業は本社等を海外のタックスヘイブンに移転していますし、富裕層も同様です。 彼等の中では金を買いスイスの銀行等に預託する等で資産を海外に逃避させ、また、株式や債券等の分散投資をしている者がたくさん居ます。 彼らのためにだけヘッジファンド等が存在しているようなものですし、銀行等の金融機関でも彼らのためにだけ存在するプライベート・バンクがあります。
と云う処から申しますと、本年末か来年には米国が不況に突入しますので、前回の不況期と同等かそれよりも軽度でしょうが、この国ではもろにその影響が出ることでしょう。 ですから消費増税どころでは無い筈なのですが、先行して大企業と富裕層には減税をしたので、帳尻を合わすためには一般国民層からむしり取るしか無いのです。
まさか、改憲よりも戦後の財政のちゃぶ台返しをもう一度したい、と思っているのではないのでしょうが。 アベ一派の心底は分かりません。 戦前の「高橋財政」に準えて嘯いているのかも知れませんが、その尻ぬぐいがどうなったのかを肌身で知る国民が少なくなったのでしょうか?
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