『象徴のうた』(永田和宏著)の書評を書きました
- 2019年 10月 5日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子永田和宏現代短歌新聞象徴天皇
『象徴のうた』(永田和宏著)の書評を書きました
先月号の『現代短歌新聞』に掲載されたものです。『象徴のうた』は、昨年1月から今年3月まで、週一で63回にわたって『東京新聞』に連載された記事をまとめたものです。平成の天皇夫妻の短歌を中心に、鑑賞・解説をしていますが、共同通信配信のシリーズでしたから、各地の新聞での読者も多かったと思います。著者は、2004年から歌会始ん選者を務めています。それだけに、時代背景や天皇家の内情などを交えながら、天皇夫妻はじめ皇族方の短歌の意を丁寧に読み解き、鑑賞がなされています。そのスタンスは、おのずから明確で、国民に寄り添おうとする「お気持ちの最も大切な部分」が「お二人のお歌、短歌にこそ籠められている」というものです。しかし、短歌や「おことば」などとして発信されるメッセージは、そんなに単純なものとは思われないというのが私の感想でした。あまりにも過剰な思い入れは、かえって、読者の鑑賞を損なってしまうのではないかとさえ思えたのです。まだ、お読みでない方は、一度、近くの図書館で、ご覧になるとよいと思います。
『現代短歌新聞』2019年9月1日号より。
初出:「内野光子のブログ」2019.10.4より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2019/10/post-0de8c7.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion9061:191005〕
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