本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(239)
- 2019年 10月 22日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
中国の誤解と香港の騒動
「香港を巡る騒動」には、たいへん根深い要因が存在するようだが、私自身は、「歴史認識に関する中国の誤解」が、大きな意味を持っているものと考えている。つまり、「2049年に、中国が世界の覇権国家になる」という「野望」を抱いている可能性のことだが、この根拠としては、「20世紀の初頭に、世界の覇権国家がイギリスからアメリカへ移行した」という事実が指摘できるようである。
別の言葉では、「武力と資金力を背景にして、世界を支配する覇権国家」について「中国が、大きな誤解をしている可能性」である。具体的には、「西暦1200年から2000年」という「西洋の時代」、そして、「唯物論が中心の価値観となった時代」において、初めて「覇権国家」という概念が誕生し、また、「イギリスからアメリカへの覇権国家の移動」が可能になった状況のことである。
ただし、この点については、「1600年前の西ローマ帝国時代」においても、似たような展開が繰り広げられたものと考えているが、実際には、「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」と呼ばれる「覇権国家」が成立した状況のことである。つまり、「イギリスからアメリカへの覇権国家の移動」については、「西ローマ帝国時代と同様に、同じ文明内での覇権移動にすぎなかったのではないか?」とも思われ、そのために、今回は、「時代の価値観」の変遷により、「今後、アメリカから中国への覇権国家の移行は、決して、実現されないのではないか?」とも感じられるのである。
しかも、今後は、「中国の矛盾」が浮かび上がる可能性を憂慮しているが、実際には、「共産党の一党支配」という「史的唯物論の遺産」とでも呼ぶべき政治体制が、依然として継続している状況のことである。別の言葉では、「西洋の価値観」を象徴する「唯物論」が依然として存在し、しかも、「資本主義の後には、社会主義や共産主義の時代が訪れる」という「史的唯物論」を信奉しない限り、「共産党の一党支配」が、理論的に継続可能な状況とは言えないものと思われるのである。
そして、この矛盾が表面化したのが、今回の「香港の騒動」のようにも感じているが、基本的には、「香港国民の不満」に関して、「どのような形で解消されるのか?」が、大きな注目点とも言えるようである。具体的には、「天安門事件」のように、「国家権力が、無理矢理に暴動を鎮静させる方法」も想定されるが、私自身としては、より巨大な問題である「世界的な金融大混乱」に飲み込まれ、自然消滅する展開を想定している次第である。(2019.9.23)
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トランプ大統領陣営の思惑とイラン
今回の「米国とイランを巡る動き」については、当初、「ベトナム戦争とトンキン湾事件」が思い出されたが、現在では、「トランプ大統領陣営の思惑が見え隠れするのではないか?」と考え直し始めている。つまり、今までは、「ベトナム戦争以来、アメリカは戦争で勝利をしたことが無い」という「事実」に注目しながらも、もう一つの「事実」とも言える「大国は、往々にして、国民の眼をそらすために、海外で戦争を行いがちである」という現象との関連性が理解できていなかったのである。
より詳しく申し上げると、「トランプ大統領の背後にはユダヤ資本が存在する」ということは、周知の事実とも言えるようだが、今回、気付かされたことは、「第二次世界大戦以降、ユダヤ人の目的は、世界の資本を牛耳ることにあったのではないか?」ということだった。つまり、「戦争で勝つか否かは、重大な出来事ではなかった可能性」のことだが、実際のところ、「1971年のニクソンショック以降の世界情勢」については、「2008年のGFC(大金融危機)まで、ユダヤ資本の思い通りの状況だったのではないか?」とも感じられるのである。
しかし、その後の展開としては、「デリバティブ」が創り出した「大量のコンピューターマネー」を使いながら「金融システムの延命策」に終始した状況だったようにも感じている。そして、この点に関して、最も重要な分岐点となったのが、「2018年の9月前後に発生した中央銀行の限界点」であり、実際には、「日銀」を中心にして、「当座預金の増加」が難しくなり始めた状況のことである。そして、この結果として発生したのが、「トランプ大統領による米中の貿易戦争」だったようにも感じられるのである。
具体的には、「実体経済」を犠牲にしてまでも「マネー経済」を守る必要性のことであり、実際には、「世界的な国債バブル」を発生させることにより、「デリバティブのバブル崩壊」が発覚することを遅らせた可能性である。しかし、「どのようなバブルも、必ず、弾ける運命にある」ということが「天地自然の理」であり、今回も、同様の展開となっているが、今後の注目点は、やはり、今までの「問題の先送り」と「時間稼ぎ」が、「今後の展開に、どのような影響を及ぼすのか?」ということである。
つまり、「京アニの事件」のように、「爆燃現象とエントツ効果」が、世界の金融市場で発生する可能性を憂慮しているが、このキッカケとなるのが、今回の「米国とイランを巡る動き」となる可能性も、いまだに存在するようにも感じている。(2019.9.23)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9104:191022〕
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