スウェーデンの「環境少女」曰くに一言
- 2019年 10月 28日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之環境問題
スウェーデンの「環境少女」が国連で行った演説が波紋を広げています。 米国のトランプ大統領は、御自身が二酸化炭素地球温暖化仮説否定論者のために「嘲笑」された、と一般には受け取られ、ロシアのプーチン大統領の発言も、また、少女が何者かに利用されているのでは、との疑いを持たれているように思われます。
トゥンベリさんの国連演説、興奮を共有していない=露大統領 Reuters Staff 2019年10月3日
https://jp.reuters.com/article/russia-putin-thunberg-idJPL3N26O15B
本稿の筆者は、二酸化炭素地球温暖化仮説には同意出来ず、また、現在の科学では気候変動そのものをも充分には解明出来得ていない、との立場ですが、現今の世界、中でも日本にあっては、政治、経済、その他の事由により、始めに温暖化を科学的事実と信認してしまっている処から、気候変動に係る事実そのものへの理解を欠き、大勢順応の姿勢になってしまっている国民の現実を糺さなければならない、と考えているものです。
例えば、政治的に党派で見れば、自民党から共産党までが二酸化炭素地球温暖化仮説を科学的事実と捉えている現実があります。 また、マスコミも同様であり、国連ブランドのIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change : 気候変動に関する政府間パネル)を神棚に祭るが如き有様です。
処が、国が違えば、温暖化そのものにも否定論があり、気候変動の原因にも諸種があり、と科学者を交えて相互に論難し合う現実があります。 例えば、米国の共和党の支持者、政治家は否定論者が殆どであり、ロシアのプーチン大統領も否定論者です。
共和党支持者は温暖化脅威論を否定している 2019.10.24 NPO法人 国際環境経済研究所 研究主幹 杉山 大志
https://www.canon-igs.org/column/energy/20191024_6048.html
プーチン首相、独科学者と温暖化問題で激論 ロシア 2010年8月24日 11:53 発信地:モスクワ/ロシア AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/2750362
気候変動の原因が二酸化炭素である、との言説は、あくまで仮説であり、科学的事実では無い処から、肯定派と否定派の争いが科学者から一般市民にまで、現実には存在する訳ですが、日本では、否定派の主張そのものが一般市民の眼に触れず、政治、経済、等の因子に依り、温暖化論を利用される下地があります。 それは、新規税目として「環境税」が出来ましたし、何よりも原発を「クリーン・エネルギー」と見なして推進する口実にもなった事実を見れば理解可能と思われます。
嘗て、京都議定書に基づく「排出権取引」の創設も新しい金融取引市場の開発として金融企業にとっては望ましい発展と称賛されました。 これは、京都議定書で取り入れられたものですが、何よりノーベル平和賞受賞者のゴア氏が英国の金融会社の役員である処から彼が「二酸化炭素成金」として名を馳せた存在にもなり得た訳でした。
Generation Investment Management
Generation’s Chairman, former Vice President Al Gore, introduces Sustainability Trends 2019 https://www.generationim.com/sustainability-trends/sustainability-trends-2019/
勿論のことに、日本においても同市場の取引は金融業の取り扱う処です。
排出権ビジネス 三井住友銀行
https://www2.smbc.co.jp/hojin/businessassist/carbon/
以上に思い付いたままに上げました事実の事由は、英国の基幹産業が金融である事実、英国と並び日本でも原発推進が国是である事実、そして、ロシアは産業発展の時期にある事実を照らせば、理解可能ですし、二酸化炭素地球温暖化仮説を利用可能な処と応用範囲には限りが無い現実が存在するのが今の世界なのです。 つまるところ、科学を離れて他の利用価値がある訳なので、ガリレオが異端裁判に晒された過去と同様に異説を唱える者には陰に陽に制裁が待っています。
生臭い気候変動の科学(?)から眼を転じますと、天文学の分野、就中、ガリレオ以来の太陽観測事実に基づく処では、近年、黒点の減少が観測され、気候の寒冷化が憂慮される、との専門家の発表があります。 過去に存在した「小氷期」が来るのではないか、と言う訳です。 つまり、西暦1645~1715年の70年間に現存したマウンダー極小期、換言すればミニ氷河期が来るのではないか、との恐れが現存する訳です。
専門家に依れば、今の処、その心配は無い、とのことですが、現在の状況のまま推移すれば、江戸時代に現存した飢饉他のような状況が来るかも知れず、これからも太陽観測の推移を見守る他には方途が無いのが現状です。
二酸化炭素の削減と相違して、いくら「環境少女」が怖い顔で叫ばれても、太陽の活動には無効ですので仕方がありません。
参考論文
科学史の視点から見た地球温暖化要因論争の構図―過去の科学論争との類似性 森 幸也
IPCCレポート(2007)におけるコンピューター予測の問題点―人為的CO2温暖化説の根拠をめぐって 森 幸也
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9117:191028〕
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