情報① 日本郵政グループの現場はブラック企業さながら
- 2019年 11月 2日
- 評論・紹介・意見
- 醍醐聡
皆さま
醍醐聰です。
日本郵政によるNHKへの逆切れ圧力に関して、新しい重要な情報を知りました。
度重なりますが、数回に分けてお知らせします。活用いただけると、幸いです。
まず、以下の記事を読むと、
① 日本郵政グループの不正商法は、かんぽ生命保険だけでなく、ゆうちょ銀行
の投資信託販売でもまん延していること。この不正販売は今も続いていること。
② 日本郵政グループの労務管理は、「本年度ブラック企業大賞」に推薦しても
おかしくない実態であることが分かります。
NHKへの介入の背景を知るうえで、重要と思います。
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11.5 シンポでは郵政ユニオン中央本部の専門委員に、資料を配って、これら
の実態をスピーチしていただきます。ぜひ、お出かけください。広報にご協力ください。
チラシ → http://bit.ly/31tpSYI <http://bit.ly/31tpSYI>
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「本部が監視『どれだけ売れた?』 ゆうちょ銀営業の現場」
(『朝日新聞DIGITAL』2019年10月18日07時00分)
かんぽ生命保険で大規模な不適切営業が明らかになった日本郵政グループ。過剰なノルマが一因とされ、日本郵政はかんぽの保険商品でのノルマ廃止を表明した。さらに同グループではゆうちょ銀行の投資信託商品でも不適切営業が発覚。だがこちらについては、原因はノルマではなく、ルールへの認識不足だったなどとの説明を続けている。ノルマは原因ではないのか。現場の職員の声から実態を探った。
営業しても客から叱られ
西日本地方にあるゆうちょ銀の支店で9月下旬、若手の行員が営業電話をかけていた。
「定額貯金の金利は0.01%しかない。別の商品をご案内させてもらってもいいでしょうか」
相手はゆうちょ銀に口座を持つ60代の男性客。営業管理システムに自動で表示される「定額貯金が満期になる顧客リスト」のひとりで、投資信託を売り込む先として割り当てられたものだ。
行員は投信を勧めようとしたが、すぐに男性客にこう叱られた。
「かんぽ生命であれだけ問題になっているのに、おたくは(営業を)自粛しなくていいの?」
投信の商品説明もできないうちに、電話は切られた。
同じ部署で働く上司は、支社機能を持つエリア本部から1、2時間ごとに電話がかかってきて、「今日はどれだけ売れた?」「あいつの推進率(目標達成率)はどう達成するつもり?」などと迫られていた。
営業用のシステムで行員一人ひとりの動きが監視され、空白の時間ができるとエリア本部からは「あいつは何をしてたの?」と問い詰められる。そのため上司は行員に「空白時間が増えるとかばいきれないから頼むぞ」「とりあえず今週はどう売るか、形だけでもいいから考えよう」などと言ってくるという。
投信の不適切販売、2万件近く
この支店で行員が営業電話をしていた少し前の9月13日。ゆうちょ銀は投信販売での不適切な事例が、直営の支店や郵便局の販売分で計2万件近くに上ると発表した。
本来は日本証券業協会の指針にもとづき、高齢者には健康状態や金融商品への理解度などを事前に確かめてから勧誘すると決めていたのに、こうした事前確認を省いて投信を多く売っていた。
不適切販売があったのは、ゆうちょ銀の支店で213店(全体の91%)と広範囲に及ぶ。委託先の郵便局187局(同12%)に比べ、問題があった店の比率が高い。ゆうちょ銀での過去1年の高齢者向け取引件数の4割超が不適切で、少なくとも行員600人が関与していた。多くの管理職が、事前確認をした、と偽る記録を残していたことも明らかになった。
不適切販売が蔓延(まんえん)した原因について、ゆうちょ銀は「ルールの趣旨の認識不足」や「不十分なチェック態勢」があったとする調査結果を公表。事前確認を省くことが規定違反と知りつつ、規定がそこまで大事とは思わず、チェック態勢も不十分だったとしている。
ノルマが原因とは認めず
一方、過大な営業目標やノルマが不適切販売につながった可能性について、ゆうちょ銀は強く否定した。
ゆうちょ銀の吉田浩一郎投資信託事業部長は9月13日の記者会見で、「(原因は)営業実績とかノルマみたいなものではない」「(不適切な手続きで)なんとかして実績を稼ぐ、ということではない」などと説明。「営業目標やノルマの影響はまったくない?」と聞かれても、「そういうものではない」と重ねて否定した。
だが、朝日新聞が入手した同日付の社内資料には、一連の問題の「発生原因」として、①社内ルール②意識③チェック態勢④組織風土⑤営業目標・評価の五つが記されていた。
この資料では①~③に下線が引かれ、④、⑤には引かれていないとはいえ、「営業目標・評価」も問題の一因として位置づけられているように読める。
実際、ゆうちょ銀内でも「目標に追われなければ手続きを省く必要もなかった」(中部地方の30代行員)との声がある。日本郵政グループの幹部も「営業目標の影響を完全否定するほうが難しい」と話す。
今も続く投信の勧誘
郵政グループのかんぽ生命の不適切販売では、会社側は過大な営業目標やノルマが一因と認め、積極的な販売を自粛。特別調査委員会を設置し、外部専門家による原因究明と再発防止策の検討を進めている。
一方のゆうちょ銀は、不適切販売の背景に営業目標の影響は「まったくない」とし、「ルールの趣旨の認識不足」と「不十分なチェック態勢」に原因があるとの結論づけた。
ルールは大事だと行員に教える研修やチェック態勢の強化などを実施し、そうした再発防止策で問題は解消できるという。今もゆうちょ銀の支店では行員にノルマを課しながら、投信の積極的な勧誘を続けている。(鈴木友里子、藤田知也)
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