SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】349 第15回西サハラ民族大会の前夜
- 2019年 12月 17日
- 評論・紹介・意見
- サハラモロッコ国連平田伊都子西サハラ
イギリス総選挙、アルジェリア大統領選挙、そして、来年3月2日頃に3度目のやり直しイスラエル総選挙が行われます。 しかし、選挙前も選挙後も紛争の火種は絶えず、選挙は混乱の火消しにならないようです。 その選挙すら行われないまま、西サハラ紛争の火は、燃え続けています。 45年長期西サハラ難民に国連が<西サハラ人民投票>という選挙を提案したのは、今から28年も前のことです。
① 未だに国連事務総長は国連西サハラ事務総長個人特使を決めてない?!:
12月10日、「国連西サハラ事務総長個人特使にオーストリア元外務大臣を指名という噂は嘘だ。事務総長は誰も指名していない」と、国連事務総長副報道官がわざわざ公式に指名を否定した。12月13日にCOP25でのパリ協定決議を控えた国連事務総長アントニオ・グテーレスが、共同代表のフランス大統領マヌエル・マクロンに忖度した声明だった。モロッコの西サハラ植民地支配を支持するフランスは、COP25の成功と引き換えに西サハラ問題の放棄を国連事務総長に迫っていた。国連事務総長が前国連事務総長個人特使ホルスト・ケーラー元ドイツ大統領を解任して以来、7か月も指名せず西サハラ問題を無視し続けているのは、モロッコ・フランス・事務総長の三者がグルになって西サハラ問題を国連から排除しようと企んでいるからだ。
一方、12月13日、国連総会では2019年10月の国連脱植民地化第4委員会の決定に従って、「西サハラは国連に責任がある、国連脱植民地化の当該地である。国連は西サハラ人民の民族自決権を尊重する。国連総会は国連事務総長が指導する平和的解決を支持する」と、決議が採択された。すぐに西サハラ難民政府は、国連総会決議を歓迎し国連事務総長に対して速やかに国連西サハラ事務総長個人特使の指名を決めるようにと、声明を出した。
モロッコは三日遅れの12月16日、「国連総会決議はモロッコ・サハラに関して、国連事務総長の和平工作を全面的に支援している。それは、取りも直さずモロッコ・サハラの領有権を認め、モロッコの地方自治州というモロッコ和平案を受け入れたことになる」と、結論づけた。モロッコとフランスは、何事も自分たちに都合に良いように捻じ曲げて解釈していく。
➁モロッコがレソト撤退発表、が、フェイクだった:
12月10日、モロッコ首都ラバトに招待されモロッコ王国から饗応を受けた、テスレ・マセリバネ・レソト王国情報大臣兼公式報道官は、「レソト王国は、SADRサハラウィ・アラブ民主共和国の国家承認を撤回する。これまで両国が結んだ一切の条約も破棄する」と、西サハラとの国交断絶を宣言させられた。が、帰国後の12月14日、テスレ・マセリバネ・レソト王国情報大臣自身が、「レソト王国は民族自決権の原則に基づき、西サハラ問題の基本的立場を変更するつもりは全くない。レソト王国は西サハラ国家を承認し、友好な外交関係を維持していく」と、自身のラバト発言を完全に撤回した。
モロッコは元フランス植民地や小国をモロッコに招待し、西サハラからの寝返りを強要している。そして、西サハラのモロッコ領有権を承認させている。
モロッコとフランスは、自分たちに都合よく物事を捏造していく。
➂西サハラ解放区で第15回西サハラ民族大会:
2019年12月19日から23日まで、西サハラ難民政府ポリサリオ戦線西サハラ解放区のテイファリテイで、第15回西サハラ民族大会が開催される。
12月15日、第15回西サハラ民族大会を前にして、「モロッコの西サハラ占領が、和平交渉を妨げ西サハラ紛争の最終解決を不可能にしている。モロッコの植民地政策を支援するフランスのせいだ」と、西サハラ難民政府ガリ大統領は国連安保理を牛耳るモロッコの元宗主国フランスを強く非難した。
同日、西サハラ難民政府外務大臣は、「UN(国連)もAU(アフリカ連合)も、モロッコの占領者たちが国連憲章も国際決議も全く無視していることを、認識し非難すべきだ。国際社会は、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)が西サハラ民族自決権に基づいた人民投票を実施するため、1991年に創設されたものだということを、よく知っている。これ以上遅滞させることなく、ミヌルソMINURSOの業務を、責任を持って果たして欲しい」と、声明を出した。辛口のサレク外務大臣は、国連事務総長を非難したくてウズウズしている。しかし、非難できない。<非難>は西サハラの<国連拒否>と捻じ曲げ、モロッコとフランスは西サハラの<国連脱退>へと、ことを運ぶつもりだ。誰にでも予測できる、モロッコとフランスが仕掛ける罠だ。
西サハラ国旗の向こうに、ミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)の
国連ヘリコプターが舞う
国家の条件は①民族、➁領土、➂統治 だそうです。 西サハラは三つの条件を満たしています。 まさに西サハラ民族大会は、西サハラ民族によって、西サハラ解放区という西サハラの領土で、西サハラ難民政府ポリサリオ戦線の指導の下に、開催されます。
西サハラ難民政府当局によると、西サハラ難民と被占領民と外国人招待者を合わせて約2,000人が、砂漠の旧キャラバンサライ(隊商宿)テイファリテイに集まり、西サハラ将来の方針を巡って激論を交わすそうです。
約28年前にこの地で国連は、国連西サハラ人民投票を実施すると約束しました。 が、未だに実行されていません。
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年12月17日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9269:191217〕
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