スタディルームの執筆一覧

放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(3) ――「安全・安心」という言説

著者: 島薗 進

放射性物質が福島県を初めとして東日本の広い範囲に飛散し、多くの住民が放射能の健康被害を懸念したとき、ひたすら「直ちに健康に影響はない」「安心しなさい」「不安をもってはいけない」と唱える専門家がいた。政府寄りの放射線専門家

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(2) ――「リスク認識が劣った日本人」という言説

著者: 島薗 進

政府側に立つ放射線の健康影響の専門家は、年 100mSv以下では健康被害はほぼ無視してよいという発言を繰り返したが、他方、100mSv以下でも健康被害はあり、そのためにできるだけ被曝線量を避けるべきだという科学的知見も多

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(1)――専門家側に責任はなかったのか?

著者: 島薗 進

福島原発事故が1年半が経過しようとしている。放射線の健康影響について、この間に膨大な情報がやりとりされた。だが、未だにどこに真実があるのか、よく分からない。そう感じている人が多いだろう。今後、どれほどの健康被害がありうる

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(15)

著者: 二本柳隆著(石塚正英編)

6.結語 フィヒテの「フランス革命論」の展望  1800年代のフィヒテは、ナポレオン台頭のもとにプロイセンを地盤として、著しい愛国主義者(・・・・・)いとしてナショナリズムを展開していくことになるが、1793年のフィヒテ

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吉本隆明の対幻想批評―神仏虐待儀礼と母方オジ権を事例に(下)

著者: 石塚正英

2 対幻想批評―その2― 吉本隆明『共同幻想論』の「母制論」(151~153頁)にこう記されている。             *        * わたしのかんがえでは<母系>制の基盤はけっして原始集団婚にもとめられない

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(14)

著者: 二本柳隆著(石塚正英編)

5.国家体制の変更とその可能性  国家はやがて消失していくものだと説かれていたが、当時、フィヒテの視座では、これまでの国家制度はどう捉えられていたのだろうか。フィヒテはいう。「人は実際、今日の諸国家の体制とこれまでの歴史

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吉本隆明の対幻想批評―神仏虐待儀礼と母方オジ権を事例に(上)

著者: 石塚正英

 はじめに  吉本隆明『共同幻想論』(河出書房新社、1968年)の「巫女論」に次の文章が読まれる。「シャーマンでは、自己幻想が問題であるがゆえに、(中略)かれの自己幻想が、他の人間であっても、神であっても、狐や犬神であっ

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低周波音問題とベートーヴェン研究―学問の道を歩む(10)

著者: 石塚正英

 或る年の8月27日に、府中市で「低周波音問題交流会」という催しがあった。未来文化研究室を運営する西兼司氏が主催したもので、低周波被害に苦しむ人々とともに低周波音について調査・研究していこう、という趣旨の会合だった。これ

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公害企業に勤める主人 と 安全な食べ物を求める主婦――『土に生きる』第7号を手にして(8)

著者: 野沢敏治

 本号も内容は充実している。1980年9月20日発行。本号からタイプ印刷になる。 1980年と言えば、8月にポーランドのグダンスク造船所でストライキが発生し、労働者が政府に労働組合や言論の自由を求めている。1950年代か

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(13)

著者: 二本柳隆著(石塚正英編)

4.フィヒテの社会の優位――フンボルトと対比して  フィヒテの国家に対する個人の優位という視座は、実は、フィヒテの社会観と密接に結びついていた。フィヒテはいう。「よき自然と、自分を社会的に生まれさせてくれた幸福な運命とに

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(12)

著者: 二本柳隆著(石塚正英編)

2.フィヒテの「フランス革命論」の基本的性格  フィヒテにとって、フランス革命は何よりもまず、人類史に一つの輝かしき転換を与えた重要な出来事である。つまり、「フランス革命は私からすると全人類のために重要であるように思われ

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(11)

著者: 二本柳隆著(石塚正英編)

第4章 1793年のフィヒテ――フィヒテの「フランス革命論」 第1章、第2章において明らかにし、また、みてきたように、1790年代初頭のドイツの知的情況を展望するということは、とりもなおさず、ライン河を隔てた隣国フランス

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(10)

著者: 二本柳隆著(石塚正英編)

6.結語 ヘルダーの「ナショナリズム」の展望  「ヘルダーが始めは18世紀啓蒙思潮の諸理想を擁護する典型的な、ほとんど型にはまった一人、つまり人道主義者、四海同胞主義者、平和主義者であったことは、誰もが認めているようだ。

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