スタディルームの執筆一覧

哀愁の漂う小話一つ二つ――「流れ勧進」と「冬の三十日荒れ」に涙して(上)

著者: 石塚正英

研究の一環として私が石仏調査のフィールド・ワークを始めたのは、ちょうど昭和から平成にかわった頃であるが、この調査というのは民俗学の手法にならったものであって、農村をはじめ各地の日常生活者に聞き書きをする機会が多くある。ま

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(11)

著者: 岩田昌征

25 運命の男「髭面」 ムスリム人フォリチ・ダニエルは1992年6月14日に起こった諸事件の直接的参加者であり、目撃証人である。彼は書く。「誰から強制されたり示唆されたりしたのではなく、私の発意で表明する。ドイツにいて、

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(3)

著者: 二本柳隆著・石塚正英編

2.フランス革命後のドイツの知識人の反応 こういう情況のもとで、1789年フランスで起こった革命のドイツへの影響は、とりわけ知識人への欲求、新しい時代を渇望する青年知識人には、殊の外、大きかったといえよう。ここに一つの報

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旧ユーゴスラヴィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(10)

著者: 岩田昌征

23 致命的過失 ドイツへ向かったのは致命的過失だったと人は言う。私は法律が支配する民主主義国に行くんだと信じていた。ハーグ検事局が言うような犯罪を行っていたならば、わざわざ罠にはまりに行くものか。 ミュンヘンでの家族再

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自然災害と信仰をフォイエルバッハはどう関連付けたか

著者: 石塚正英

先日、新刊『宮本常一と歩いた昭和の日本』第16「東北③」が農文協から送られてきました。その中から話題を拾って自然・生業・フォイエルバッハといったエッセーを綴ってみます。 目次をみると、福島県2題、岩手県3題、山形県1題が

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(2)

著者: 二本柳隆著・石塚正英編

第1章 フランス革命の意味するもの――近代ドイツの知識人のフランス革命に対する反響    1789年、フランスにおいて勃発した革命は、フランス国内を動揺させただけでなく、その波紋は海峡を隔てた国をも含めて、あらゆる諸国に

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フランス革命後のドイツ社会思想――フォルスター・ヘルダー・フィヒテ・カント・ノヴァーリス(1)

著者: 二本柳 隆(石塚正英編)

編集者はしがき  本書は、社会思想研究者にして(元)原学園苫小牧中央高等学校教諭の二本柳隆氏(1948~2000)がフランス革命200周年を意識して完成させ、1988年に編集者に出版を託した原稿である。しかし、種々の事情

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旧ユーゴスラビィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(8)

著者: 岩田昌征

19.再び「NIPPON」へ   コザラツ地区で発生した戦斗を家族と共に滞在していたバニャルカでテレビ・ニュースで観ていた。戦斗終了後数日たって、私は弟(or兄:岩田)リュウボとコザラツへ行き、家族の土地財産をみてまわっ

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音と音楽――その面白くて不思議なもの(8)

著者: 野沢敏治・石塚正英

第8回 葬送曲について  >往<  野沢敏治さんへ  石塚正英から きょうは葬送曲について語りましょう。このジャンルですと、私は真っ先にベートーヴェン「英雄」第2楽章を思い浮かべます。高校時代にクラシック愛好会をやってい

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旧ユーゴスラビィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(7)

著者: 岩田昌征

15 「共同体」   コザラツにおける衝突準備は両サイドにおいて周到に細部に至るまで作成されていた。  第二次大戦の初期,ムスリム人は親ウスタシャ(クロアチアのラディカル民族主義者:岩田)であって、対セルビア人の残虐行為

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旧ユーゴスラビィア戦争をめぐる、「ハーグ戦犯1号の日記」(6)

著者: 岩田昌征

13.二つの塹壕   バニャルカの公安部長ストヤン・ジゥプリャニンは将来のセルビア人共和国領内のすべての警察署を完全に統制しようとはかった。警察勤務員全員に民族を問わずセルビア人権力への忠誠署名と新しいセルビア人共和国の

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 音と音楽――その面白くて不思議なもの(7)

著者: 野沢敏治・石塚正英

 第7回 行進曲について   >往<  石塚正英さんへ  野沢敏治から  春の来る前に想い出すこと   新年に入って陽ざしは着実に明るくなっています。春になると聞こえてくる音、それは小学校の運動会のざわめきです。心が浮き

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<近代の超克>論を刺戟する交換論―清家竜介著『交換と主体化』(御茶の水書房、2011年刊)書評

著者: 石塚正英

1.問題の所在 社会において交換が成立するには、交換主体のほか、必ず媒体が必要である。それは、先史社会や野生社会ではフェティシュなど聖なる存在であり、有史社会や文明社会では貨幣である。貨幣が用いられず何の媒体も介在しない

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