スタディルームの執筆一覧

海峡両岸論 第134号 2022.1.10発行 - 米中対立、「現在地」からみた形勢 矛盾目立つバイデン外交の3論点 -

著者: 岡田 充

 米国のトランプ前政権が2018年7月、貿易戦を皮切りに始まった米中の戦略対立は、2022年で4年目に突入した。トランプを引き継いだバイデン政権は、「民主か専制か」のイデオロギー二元論を煽り、新冷戦の“迷路” に誘って、

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一般均衡理論に対する素人的疑問――丸山徹教授の新著『経済の数学解析』を読んで――

著者: 岩田昌征

 丸山徹著『経済の数学解析』(丸善出版、令和3年・2021年5月)を一読した。  本書「序」によると、慶應義塾大学経済学部初年級にも、早慶院経済学研究科と東大院数理科学研究科においても使用できる教科書である。丸山徹教授が

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海峡両岸論 第133号 2021.12.16発行 - 分断と対立煽る冷戦思考の舞台 「帝国の落日」際立たせた民主サミット -

著者: 岡田 充

 米中対立を「民主主義vs専制主義」と位置付けるバイデン米大統領は12月9,10の両日、米政府が選んだ約110カ国・地域の首脳らとともに、オンラインで「民主主義サミット」(写真 サミット開幕式 米国務省HP)を開いた。台

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キューバ:米国主導の「平和的デモ」の禁止は「自由や人権の侵害である」? ~蘇るチリ・クーデタの記憶~

著者: 後藤政子

「ツイッター・デモ」から「平和的デモへ」  日本の新聞やテレビでも報道されたように、去る7月11日にはキューバで「革命後初の反政府デモ」が起きている。数週間前から#SOSCubaというツイッターが急拡散しており、11日に

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海峡両岸論 第132号 2021.11.11発行 - 王毅外相の「一線超えるな」の真意 岸田「友台」の背後に安倍の影 -

著者: 岡田 充

 岸田政権初の衆院選挙(10月31日)で、自民、公明与党が計291議席と国会運営を主導できる絶対安定多数(261)を獲得、岸田(写真 英グラスゴーのCOP26首脳級会合で演説する岸田 首相官邸HP)は信任を得た。「自民苦

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巨大国家化する中国の内政と外交:カリスマ支配を目指す習近平と米中日三国関係

著者: 加々美光行

*2021年11月6日 世界資本主義フォーラム・オンライン講演 目次 Ⅰ.新たに台頭する習近平政権下の中国 (1)経済成長で米国を凌駕する中国 (2)世界の枠組みの大転換、米中対立の激化 Ⅱ.中国の成長政策の軌道修正と新

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東北フォーラムホームページNo.5 井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報No. 15

著者: 大村泉

新着情報No.15 2021年7月10日 新着情報No.14で既報の通り、東北大学元総長の不正疑惑論文に関連して、東北大学名誉教授の齋藤文良氏(多元研元所長)と矢野雅文氏(通信研元所長)は、同大学副学長で研究担当理事であ

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■第二江戸思想史講義 鬼神論  国民的救済信仰の語り出し ―柳田国男と『先祖の話』

著者: 子安宣邦

「人を甘んじて邦家の為に死なしめる道徳は、信仰の基底が無かったといふことは考へられない。さうして以前にはそれが有つたといふことが、我々にはほぼ確かめ得られるのである。現在とても崩れ尽くした筈は無いのだが、不幸にしてそれを

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政治家に国債無害論を吹き込む手口を暴く ―ネトウヨが頼りの売文デマゴーグ(下)

著者: 盛田常夫

スティグリッツの誤り  安倍内閣は消費税率引上げで支持を失うことを恐れ、引上げ延期を狙って「リーマン級」の経済危機があることを証明しようとした。そのために、2017年3月にアメリカからわざわざスティグリッツを招聘した。

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政治家に国債無害論を吹き込む手口を暴く ―ネトウヨが頼りの売文デマゴーグ(上)

著者: 盛田常夫

高橋洋一とは何者?  矢野康治財務事務次官の『文芸春秋』(2021年11月号)への投稿を口汚く罵る御仁がいる。舌禍で内閣官房参与を辞めた件の高橋洋一である。矢野氏を「会計学や金融工学を知らない素人」と罵っている。彼を良く

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海峡両岸論 第131号 2021.10.14発行 - 対中同盟の再編強化は成功するか 米外交は「対話」と「包囲」の両にらみ -

著者: 岡田 充

 バイデン米政権は、中国への圧力一辺倒路線を修正し、対話と同盟再編による包囲強化という「両にらみ」外交に転換した。米国、英国、オーストラリア3国が9月に創設した新軍事同盟「オーカス」(AUKUS)=写真 「オーカス」創設

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海峡両岸論 第130号 2021.09.13発行 - 脱新自由主義で共通する米中両国 「共同富裕」は文革再来ではない -

著者: 岡田 充

 台湾や新疆ウイグル問題などあらゆる領域で対立する米国と中国が、経済政策では、格差拡大を加速した「新自由主義経済」から脱却し、国家主導を強める路線を共有。バイデン政権はグーグル、アマゾンなど「GAFA」(写真)を、中国も

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海峡両岸論 第129号 2021.08.03発行 - 自説を「国際社会」とすり替えるメディア 中国の孤立という虚構をあばく -

著者: 岡田 充

 「国際社会は国安法撤廃を求める声を上げ続けたい」注1  「中国共産党は世界との溝埋める努力を」注2 。  香港、台湾問題や中国を論じるメディアが、「国際社会」や「世界」という言葉を使って中国を批判する文章が目立つ。自己

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朱子鬼神論と近世日本の有鬼論的反応 ■第二江戸思想史講義・鬼神論

著者: 子安宣邦

朱子鬼神論と近世日本の有鬼論的反応 徂徠の制作論的有鬼論と宣長・篤胤 「鬼神の説、紛然として已まざる所以のものは、有鬼と無鬼の弁なるのみ。それ鬼神とは聖人の立つる所なり。あに疑いを容れんや。故に鬼無しと謂うものは、聖人を

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短詩型文学にとって〈1956年〉とは何か ――〈戦後短歌〉をめぐるある匿名批評によせて――

著者: 大田一廣

短詩型文学にとって〈1956年〉とは何か――このような設問が成り立つかどうかはわからない。 そうではあるが、〈1956年〉が“世界史的な”画期と見做される根拠はないわけではない。1956年2月のいわゆる「スターリン批判」

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり ――田中正造・第2部――(6・終)

著者: 野沢敏治

 (7)「水の心」を知って治水にあたる  人が作ったものは人で直すことができる  最後の視点に入ろう。ではどうしたらよいのか。水害は「人造の禍でありますから、又人造で取りかへしが出来るはずだ」(『全集』第4巻、86頁)。

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり ――田中正造・第2部――(5)

著者: 野沢敏治

 (5)キリスト教との対話  正造の運動には、彼の激しい闘争心からすると意外かもしれないが、愛を説くキリスト教と響きあうところがある。このことはすでに何人かの人が指摘しているが、私は自分でもそのことを探っておきたい。  

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「○○は社会主義か」という問いについてーー和田春樹『歴史における社会主義』を読んで

著者: 矢沢国光

 1 ソ連の崩壊は「社会主義」の観念を一変した。  ソ連崩壊前、わたしたちは、「1917年のロシア革命は、史上初の社会主義革命であった」という共通認識の上に、「レーニンの社会主義革命をスターリンが裏切った」とか、「毛沢東

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり――田中正造・第2部――(4)

著者: 野沢敏治

 (3)治水は憲法の精神に関わる  正造にとって治水問題は第1部での鉱毒問題と同様に憲法を問うことでもあった。彼は村人に対して憲法に保障された「人」の私的所有権と「公民」としての請願権を説くのだが、ここ治水問題では以前よ

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海峡両岸論 第128号 2021.07.04発行 - 民主の「魔力」に寄りかかる危うさ 「自己正当化バイアス」で曇る目 -

著者: 岡田 充

 2年ぶりに対面で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット6月11~13日)=写真円卓で協議する首脳 「G7UK」HP=は、米中関係を「民主主義vs専制主義」と見なすバイデン米大統領の主導で、「専制中国」に対抗して民主主

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり――田中正造・第2部――(3)

著者: 野沢敏治

 3 逆流の発生――谷中村遊水地化は無効であった   正造は明治40年の洪水で逆流が発生したことを知る。彼はその原因を調べたのだが、そこにはこれまでの人間活動に無理があったという吉田の治水論と呼応するものがあって面白い。

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