スタディルームの執筆一覧

■第二江戸思想史講義 鬼神論  国民的救済信仰の語り出し ―柳田国男と『先祖の話』

著者: 子安宣邦

「人を甘んじて邦家の為に死なしめる道徳は、信仰の基底が無かったといふことは考へられない。さうして以前にはそれが有つたといふことが、我々にはほぼ確かめ得られるのである。現在とても崩れ尽くした筈は無いのだが、不幸にしてそれを

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政治家に国債無害論を吹き込む手口を暴く ―ネトウヨが頼りの売文デマゴーグ(下)

著者: 盛田常夫

スティグリッツの誤り  安倍内閣は消費税率引上げで支持を失うことを恐れ、引上げ延期を狙って「リーマン級」の経済危機があることを証明しようとした。そのために、2017年3月にアメリカからわざわざスティグリッツを招聘した。

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政治家に国債無害論を吹き込む手口を暴く ―ネトウヨが頼りの売文デマゴーグ(上)

著者: 盛田常夫

高橋洋一とは何者?  矢野康治財務事務次官の『文芸春秋』(2021年11月号)への投稿を口汚く罵る御仁がいる。舌禍で内閣官房参与を辞めた件の高橋洋一である。矢野氏を「会計学や金融工学を知らない素人」と罵っている。彼を良く

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海峡両岸論 第131号 2021.10.14発行 - 対中同盟の再編強化は成功するか 米外交は「対話」と「包囲」の両にらみ -

著者: 岡田 充

 バイデン米政権は、中国への圧力一辺倒路線を修正し、対話と同盟再編による包囲強化という「両にらみ」外交に転換した。米国、英国、オーストラリア3国が9月に創設した新軍事同盟「オーカス」(AUKUS)=写真 「オーカス」創設

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海峡両岸論 第130号 2021.09.13発行 - 脱新自由主義で共通する米中両国 「共同富裕」は文革再来ではない -

著者: 岡田 充

 台湾や新疆ウイグル問題などあらゆる領域で対立する米国と中国が、経済政策では、格差拡大を加速した「新自由主義経済」から脱却し、国家主導を強める路線を共有。バイデン政権はグーグル、アマゾンなど「GAFA」(写真)を、中国も

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海峡両岸論 第129号 2021.08.03発行 - 自説を「国際社会」とすり替えるメディア 中国の孤立という虚構をあばく -

著者: 岡田 充

 「国際社会は国安法撤廃を求める声を上げ続けたい」注1  「中国共産党は世界との溝埋める努力を」注2 。  香港、台湾問題や中国を論じるメディアが、「国際社会」や「世界」という言葉を使って中国を批判する文章が目立つ。自己

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朱子鬼神論と近世日本の有鬼論的反応 ■第二江戸思想史講義・鬼神論

著者: 子安宣邦

朱子鬼神論と近世日本の有鬼論的反応 徂徠の制作論的有鬼論と宣長・篤胤 「鬼神の説、紛然として已まざる所以のものは、有鬼と無鬼の弁なるのみ。それ鬼神とは聖人の立つる所なり。あに疑いを容れんや。故に鬼無しと謂うものは、聖人を

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短詩型文学にとって〈1956年〉とは何か ――〈戦後短歌〉をめぐるある匿名批評によせて――

著者: 大田一廣

短詩型文学にとって〈1956年〉とは何か――このような設問が成り立つかどうかはわからない。 そうではあるが、〈1956年〉が“世界史的な”画期と見做される根拠はないわけではない。1956年2月のいわゆる「スターリン批判」

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり ――田中正造・第2部――(6・終)

著者: 野沢敏治

 (7)「水の心」を知って治水にあたる  人が作ったものは人で直すことができる  最後の視点に入ろう。ではどうしたらよいのか。水害は「人造の禍でありますから、又人造で取りかへしが出来るはずだ」(『全集』第4巻、86頁)。

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり ――田中正造・第2部――(5)

著者: 野沢敏治

 (5)キリスト教との対話  正造の運動には、彼の激しい闘争心からすると意外かもしれないが、愛を説くキリスト教と響きあうところがある。このことはすでに何人かの人が指摘しているが、私は自分でもそのことを探っておきたい。  

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「○○は社会主義か」という問いについてーー和田春樹『歴史における社会主義』を読んで

著者: 矢沢国光

 1 ソ連の崩壊は「社会主義」の観念を一変した。  ソ連崩壊前、わたしたちは、「1917年のロシア革命は、史上初の社会主義革命であった」という共通認識の上に、「レーニンの社会主義革命をスターリンが裏切った」とか、「毛沢東

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり――田中正造・第2部――(4)

著者: 野沢敏治

 (3)治水は憲法の精神に関わる  正造にとって治水問題は第1部での鉱毒問題と同様に憲法を問うことでもあった。彼は村人に対して憲法に保障された「人」の私的所有権と「公民」としての請願権を説くのだが、ここ治水問題では以前よ

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海峡両岸論 第128号 2021.07.04発行 - 民主の「魔力」に寄りかかる危うさ 「自己正当化バイアス」で曇る目 -

著者: 岡田 充

 2年ぶりに対面で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット6月11~13日)=写真円卓で協議する首脳 「G7UK」HP=は、米中関係を「民主主義vs専制主義」と見なすバイデン米大統領の主導で、「専制中国」に対抗して民主主

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり――田中正造・第2部――(3)

著者: 野沢敏治

 3 逆流の発生――谷中村遊水地化は無効であった   正造は明治40年の洪水で逆流が発生したことを知る。彼はその原因を調べたのだが、そこにはこれまでの人間活動に無理があったという吉田の治水論と呼応するものがあって面白い。

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり――田中正造・第2部――(2)

著者: 野沢敏治

 1 政界から社会へ  年譜でも記したが、正造は治水問題に対処するにあたり、それまでとは運動の場所を変えている。議会での論戦や権力争いの政界から「社会」へと根拠地を移している。それとともに、次第に活動の質と思想を鍛えてい

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水を治むるもの其心亦必流水の如くを要せり ――田中正造・第2部――(1)

著者: 野沢敏治

事の発端とその後  鉱毒問題に一つの転機がくる。1902年(明治35年)3月、桂太郎内閣に鉱毒調査委員会が設けられた。それは前年12月の正造の直訴事件が引き起こした世論の沸騰を受けた政府の対応であり、その後調査会は鉱毒の

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東北フォーラムホームページNo.4 井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報No. 14

著者: 大村泉

新着情報 No.14 2021年 6月18日  東北大学元総長の不正疑惑論文に関連して、東北大学名誉教授の齋藤文良氏(元多元研究所長)と矢野雅文氏(元通信研所長)は、同大学副学長で研究担当理事である小谷元子氏と2021年

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海峡両岸論 第127号 2021.06.09発行 - 「竹やり」で中国と戦争するつもりか 「台湾有事」 日本に求める軍事協力 -

著者: 岡田 充

「台湾有事」が起きた場合、米国は日本にどんな軍事的役割を求めるのか―  日米首脳会談で台湾問題を半世紀ぶりに明記し、菅政権が「台湾有事」への日米防衛協力を約束して以来、リアリティのあるテーマになった。台湾防衛で日米が軍事

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海峡両岸論 第126号 2021.05.10発行 - 虚構の「台湾有事」切迫論 武力行使は一党支配揺るがす -

著者: 岡田 充

 「専制主義が未来を勝ち取ることはない。勝つのは米国だ」。バイデン米政権の誕生から3か月。4月28日のバイデン議会演説は、世界のトップリーダ―からの転落を容認できず、外に敵(中国)を作ることによって国内を団結させようとす

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「鬼神に事えんことを問う」第二江戸思想史講義・鬼神論1

著者: 子安宣邦

「鬼神に事えんことを問う」―『論語』における「鬼神論」的原型   「季路、鬼神に事えんことを問う。子曰く、未だ能く人に事うることあたわず、焉んぞ能く鬼に事えん。敢えて死を問う。曰く、未だ生を知らず、焉んぞ死を知

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海峡両岸論 第125号 2021.04.09発行 - 米中対立の「当事者」になった日本 岐路に差し掛かる日中関係 -

著者: 岡田 充

 来年(2022年)、国交正常化から半世紀を迎える日中関係が岐路に差し掛かっている。バイデン米政権誕生後初めて東京で開かれた日米外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)=写真 外務省HP=は、中国を初めて

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【模倣と経験――戦後精神史序説】(1) 塚本邦雄と“シュルモデルニスム”

著者: 大田一廣

革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ ――塚本邦雄『水葬物語』   〈戦後短歌〉ということばが適切かどうかはわからない。だが、正岡子規以来の〈近代短歌〉がみづからの立つ瀬の根柢に画然たる裂け

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テオドーア・W・アドルノ『ヴァーグナー試論』より「ファンタスマゴリー」

著者: 高橋順一

*これは早稲田大学教授・高橋順一氏の3月10日の最終講義を編集し、許可を得て掲載したものです。そのために準備された論文『転回点―「三・一一以後」の世界と<市民社会の弁証法>の行方 ―』が下敷きになっています。 講義の総タ

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海峡両岸論 第124号 2021.03.17発行 - 中国包囲色薄めたQUADサミット インド参加で不安含みの同盟強化 -

著者: 岡田 充

 米中関係は、破天荒なトランプ前大統領が「大立回り」を演じてきたイメージから、米同盟・友好国が「束」になって中国に対抗する構図に変わった。中国とはそれほど、我々の存在を脅かす「邪悪な覇権国家」なのだろうか。バイデン米大統

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