テント日誌2月14日裁判傍聴記2 経産省前テントひろば889日目…商業用原発停止157日─目第5回裁判を傍聴して 言論による拳闘の試合に似ている裁判
- 2014年 2月 14日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
つくづく、裁判とは言論による拳闘(ボクシング)の試合のようなもの、と思う。私たちは応援団、審判そして選手だ。被告(テントひろば)のリングサイドに100名を超すコーチ・マネージャ(弁護団)もいる。他方、原告側(国と経産省)リングサイドには、指定代理人と称する経産省ほかの官僚10数名。かれらは原告席に座っているけれど、なかなか肝心の「敵の選手」の姿は見えない。昨年5月に始まったこの試合、第1ラウンドに「訴状」という名のパンチを繰り出して以降は、レフリー(裁判官)に対して「早期の終了ゴング(判決)を」と訴え、防戦に終始。被告側からは、昨年7月、9月、12月、3回の法廷(2R~4R)で訴状に対する「求釈明」という反撃のパンチを連続して打ち返してきた。
今回の「試合経過」を簡単に振り返ってみよう
2月10日の地裁103号法廷、午後2時に開廷。冒頭、「求釈明」に対する「回答書(3)」を原告が陳述。これは実質2頁の簡単なもの。嘗て原告はルール違反の「被告の取り違い」という八つ当たりパンチを繰り出した。それを第2ラウンドに被告から指摘され、大きくポイントを失っていることもあって、原告は自信喪失ぎみ。
つぎに本人陳述。最初の正清選手は「福島原発での放射性汚染水漏えいに対する国の姿勢の批判」を展開した。続く淵上選手は「国=経産省によるエネルギー基本計画」を展開し、テント設置を国民による正当な政治主張、表現行為であると裁判所が判断するならば、不法占拠との原告主張は採用できない筈と主張。
さらに、被告準備書面(7)を河合弁護士が陳述。ここでは、福島原発事故後に、原発の規制と推進の明確な分離が企図されたこと。現在も福島原発では緊急事態宣言が発令された状態にあること。汚染水対策が混乱しているために、規制と推進が錯綜した状態にあること。汚染水を防ぐための遮水壁の設置には、真剣さが感じられないこと。福島原発事故がなかったかのような「基本計画に対する意見」や、安全基準を規制基準に置き換えて、電力事業者に安全確保義務を押し付けるやり方は、責任転嫁であって、原発再稼働しないと毎年3兆円の国費損失という国の論理は、事故処理費用や国のGDP規模からして無駄な費用とは言えないのだから、不当な行政行為に対する正当な批判を封じ込めようとするものにすぎない、等を展開した。
続いて、被告準備書面(6)を浅野弁護士が陳述。ここでは、原告が訴状で経産省前の3張のテントを一体と見なして、被告2名のみによって占有されているとする論理を覆す主張がなされた。また、大口弁護士からは次回法廷には準備書面(8)を提出し、「事実に即していない訴状の論理」を批判すると予告。「仮に被告敗訴でも、第一テントすら被告2名の債務名義になり得ない、しかも仮処分請求時に原告はテント占有者を17名としているのだから、現場検証と文書提出命令が不可欠」と主張した。その後、吉田弁護士が原告の「文書提出命令に対する意見書(2)」に反論、浅野弁護士が各テント出入り口と2台の監視カメラとの位置関係を説明、上杉弁護士が占有権原の根拠として、国民の意見表明権、公共空間の平和的使用、表現の自由を指摘した。
被告は一貫して国の訴訟提起が「訴権の濫用」であると主張してきた。国がテント設置後の経産省への提出書面に名前を出した2名だけに絞って、対戦相手とすることでテントの意義とその運営の実態を無視しているからである。「リング」は国が一方的に設定したものだが、その周囲では数百名、数千名の選手が出番を待っている。「経産省前テントひろば」が取り組んでいるのは、50年近く続いてきた原発を無くするという事業であって、これは2名の選手だけでは困難だ。この日、3時15分に5R終了のゴング。次回(6R)、4月23日午後2時予定。(O.E)
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