【お薦め動画】武器輸出に立ちはだかる「レピュテーションリスク」の壁
- 2016年 6月 24日
- 評論・紹介・意見
- 杉原浩司
以下の番組アーカイブ、なかなか面白いです。オーストラリアの潜水艦選
定での日本の敗北の理由の一つとして、森本敏氏は「いわゆる「レピュテ
ーションリスク」【注】といって、企業が「武器商人になるのか」と言われ
るという気持ちも、企業の中にはまだ残っている」と発言。また、織田邦
男(おりたくにお)元空将は「日本の中の会社で社運を賭けて兵器を輸出
して儲けようとしている会社は一社もないと思う」と述べています。石原
慎太郎氏は「日本の憲法がつくったおかしな情緒」「憲法がつちかった妙
な情念で自分の首を締めるという馬鹿なことはしない方がいい」と力説し
ています。
【注】「レピュテーションリスク」
企業への否定的な評価や評判が広まることで、信用やブランド価値が低
下し、損失を被るリスク(番組より)
森本氏や織田氏の発言は、市民の「死の商人にならないで」という声が確
実に効いていることの証言だと思います。ぜひ映像をご覧ください。自信
を持って武器輸出反対の行動を続けていきましょう。
※ちなみに、番組の最後で「私の提言」として森本敏氏は「(軍民)両用
技術の開発をすすめ安全保障に活用すべし」と書いています。武器本体
の輸出がなかなかうまくいかない中、安倍政権・防衛装備庁が積極的に
推進しようとしている「高度な民生技術の軍事転用・輸出」という路線を代
弁していると思います。十分な警戒と監視が必要です。
【動画アーカイブ】
BSフジ プライムニュース:ハイライトムービー(2016年6月16日放映)
「石原氏斬る舛添氏辞職 防衛装備移転の利と損」
出演:石原慎太郎、森本敏、織田邦男(元空将、元航空支援集団司令官)
(前編) ※12分23秒から武器輸出問題
15分20秒から森本敏氏「レピュテーションリスク」に言及
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160616_0.html
(後編)
6分20秒から石原・織田氏「レピュテーションリスク」に言及
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160616_1.html
※動画はあと4日間は見られますが、それ以降はテキストデータの掲載と
なります。お早めにご覧ください。
【発言のポイント】
<森本敏>
日本のベンダー(売り手)が全体として「やろう」とならなかった。設備
投資などの費用対効果を考えてそれを躊躇したベンダーもあった。ペイし
ないということだけでなく、いわゆる「レピュテーションリスク」という、
「武器商人になるのか」と言われるという気持ちも企業の中にまだ残って
いる。全ての会社ではないが、そこまで苦労して現地に乗り出すことにメ
リットを考えない会社もあった。日本でトータルでみんなでこれを実現し
ようという総合力が出なかったという点では、確かに残念だった。それを
オーストラリアに責任を押し付けても仕方がない。我々が我々として今後
考えなければいけない問題が残った。
<織田邦男>
日本の中の会社で、社運を賭けて兵器を輸出して儲けようとしている会社
は一社もないと思いますね。今、防衛装備品を作っている主要な会社でも
大体全体の売り上げに対する比率は10%以下ですよ。こういう世の中で、
会社からしたら「死の商人」と言われてそれにいちいち対応するよりも、
「そんなことは除いて民需に走った方がいいや」と思っている会社が大半
だと思いますね、そこは。
※森本敏氏は昨年2015年5月にパシフィコ横浜で開催された日本初の大規
模武器見本市「Mast Asia」における記者会見で、「武器輸出について日
本が昨年、政策変更を行った際、多くの企業は『(日本の防衛関連企業
が)武器商人になっていくのではないか』と言われるリスクを恐れて慎
重だったが、1年がたち、新しいビジネスとして道が開かれるということ
に気が付き始めている」(2015年5月16日、神奈川)と強調していました。
熱帯びる武器輸出 横浜で国内初商談会(2015年5月16日、神奈川新聞)
http://www.kanaloco.jp/article/96498
しかし、あれから1年以上たって、「レピュテーションリスク」というハ
ードルを依然クリアーできていないと認めざるを得なかったことになりま
す。立ちはだかっているのは市民の声です。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion61560:160624〕
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