再び慰安婦問題について
- 2018年 1月 17日
- 評論・紹介・意見
- 小原 紘慰安婦問題韓国
韓国通信NO.545
久しぶりの南北会談で平昌オリンピックと緊張緩和について議論がかわされたことは喜ばしい。周囲がやきもきすることはない。特にアメリカは余計な口ばしをいれず、北朝鮮がアメリカに求めている交渉の実現に努力して欲しい。
慰安婦問題の「政府間合意」について康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が韓日合意について再交渉を日本に要求しないことを表明、同時に日本側に被害者の名誉・尊厳回復と心の傷を癒すための努力を求めた。翌10日には文在寅(ムン・ジェイン)大統領は青瓦台で開かれた新年の記者会見で、「日本が真実を認め、被害者に真の謝罪をし、それを教訓に国際社会と努力することが慰安婦問題の解決だ」と述べた。
いっぽう河野外相は「韓国側が日本側にさらなる措置を求めることは全く受け入れられない」「韓国政府が最終的かつ不可逆的なものとして合意を着実に実施するよう引き続き強く求めていく」と述べ、韓国側に抗議をすると語った。
日本のマスコミも一斉に、合意したものを「ムシ返す」のは国際的信義に反するものと今後の日韓関係に憂慮を伝えた。 韓国でも「日本側の激怒」(朝鮮日報)、「国際社会で韓国の信頼度に影響」(中央日報)と日本側に配慮しながら文政権の対応に批判的だ。
前号で2年前の政治決着について私の持論を述べたが、今回の日韓の対応を見て、あらためて交渉は振り出しに戻すべきという思いを強くした。韓国側が求めている被害者の「名誉・尊厳・回復と心の傷」を癒し「真の謝罪」を日本側が拒む理由がわからないからだ。
さらに朴前政権と安倍政権の「合意」にたいする異議申し立ては国際常識、道義に反すると日本側はさかんに言い募るが、説得力はない。
国際的な信用をいうなら、「盟友」アメリカのパリ条約脱退についてわが国はアメリカ政府に信義を問うたことがあったのか。核兵器禁止条約にアメリカの顔色を窺って反対したことがわが国の国際的信用をどれほど落としたことか。TPPの中心国アメリカが新大統領になった途端、脱退を宣言したことに抗議をしたのか。強いアメリカには沈黙、韓国には強気で約束の履行を迫る日本の姿勢は過去の歴史を思いださせ、国際的信用と品格を貶めるものだ。
国会内の多数を頼み、秘密保護法、安保法制、共謀罪など憲法違反の法律を次々と成立させ、官僚たちを権力の侍女扱いする安倍政権の横暴ぶりは目に余る。韓国政府も自分たちの思いどおりになると考えてはいないか。韓国の政権が対日関係を考慮するあまり言い難いことを敢えて指摘した。 日本人として「ローソク革命」とは何だったのかもういちど確認する必要がある。
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