緊急更新 [パンデミックの政治2] 検査なくして対策なし:安倍ウィルスで広がった感染症パニック
- 2020年 3月 13日
- 時代をみる
- 731部隊今井清一加藤哲郎新型コロナウィルス
2020.3.12 臨時ですが、歴史学者の今井清一・横浜市大名誉教授の訃報が入りましたので、緊急更新。私にとっては、日本近現代政治史研究の尊敬すべき大先達であるばかりでなく、私の一橋大学での大先輩・故藤原彰教授の親友で『昭和史』共著者、1980年代から親しくしていただき、つい先日も新著『関東大震災と中国人虐殺事件』(朔北社)を送って頂いたばかりでした。今井さんは、この遺著でも、史資料の扱い、隠蔽・改竄に厳しく、新資料で自説を補強し厳密にしていく学問の姿勢に、大いに励まされました。御礼を書きかけたところで、突然の訃報です。享年96歳、心からご冥福をお祈りいたします。今井さんはまた、私の長く探求するゾルゲ事件被告・尾崎秀実の娘婿でもあり、『新編 愛情はふる星のごとく』 (岩波現代文庫)の編者、私の研究の要所要所での助言者でもありました。この点でもまだお聞きしたいところがあったのに、永遠に不可能になりました。かえすがえすも残念です。安らかに、お眠り下さい。
ついにWHOのパンデミック宣言なので、「パンデミックの政治学」補論。COVID-19のヨーロッパ・アメリカ合衆国への広がり、日本の「安倍ウィルス」の暴走による学校ばかりでなく社会活動全体の萎縮・閉塞、 株価2万円割と円高1ドル=100円の攻防、そして「緊急事態宣言」を可能にする危機便乗型新立法。ファシスト安倍は、ウィルスを「敵」と名付けてはばからず、感染症に対する「国家総動員体制」を作ろうとしていますが、初動の失敗と検査能力・医療態勢貧困で、世界的パンデミックには無力でしょう。その安倍型「戦時体制」を支える「専門家会議」が、どうも胡散臭いと、戦時関東軍防疫給水部(731部隊)、軍馬防疫廠(100部隊)から戦後の伝研・予研分離、予研から感染研への歴史を振り返っていたところに、強力な、ホンモノの医学専門家の勇気ある発言です。テレビでも国会でも「なぜ検査を早期に広く実施しないのか」と、患者に寄り添った鋭い論陣を張っている医療ガバナンス研究所理事長・上昌広さんの、「帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す」(上)(下)という論文で、私が731部隊との関係で述べようとしていた問題が、ほとんど入っています。
上博士の論文は、新潮社の有料会員サイト「フォーサイト」への寄稿なので、詳しくは紹介できませんが、安倍首相官邸と厚生労働省が信頼する「国立感染症研究所」のPCR検査独占、民間医療機関・検査機関を軽視し忌諱する根拠を、歴史的に読み解く立派な研究論文です。上医師は、「専門家会議」メンバーの出自を、①「国立感染症研究所」(感染研)、②「東京大学医科学研究所」(医科研)、③「国立国際医療研究センター」(医療センター)、そして④「東京慈恵会医科大学」(慈恵医大)と類型化し、それぞれの機関が帝国陸軍・海軍の戦時医療=731部隊体制と関わってきた歴史をひもとき、「今回の専門家会議のメンバーは、帝国陸海軍と関わりが深い組織の関係者で占められている」事実を析出します。特に①感染研とワクチン製剤企業、④慈恵医大と海軍のつながりは、東大・京大医学部出身者を中心に追いかけてきた731部隊研究にも、新鮮な示唆でヒントになります。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://netizen.html.xdomain.jp/home.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4693:200313〕
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