内容ないコロナ首相会見に抗議広がる 日本マスコミ文化情報労組(MIC)9組合が共同声明
- 2020年 3月 28日
- 評論・紹介・意見
- アベ新型コロナウィルス隈井孝雄
コロナウイルス感染が広がり続けている3月14日、安倍首相はコロナ特措法の成立を受けて2度目の記者会見を行った。前回(2/29)の会見がわずか34分で打ち切ったことを批判されたが、今回は18分増えて52分になった。進行役の長谷川栄一内閣広報官が約44分で会見を打ち切ろうとしたが、「これで記者会見と呼べるか」、「質問まだあり」など記者の声が飛び、会場は騒然とした。
結局、安倍首相の「まあいいじゃないか」という一言もあり、最終的に12人が質問した(前回、質問記者は5人にとどまった。しかし、首相が会見場を後にした時にも、会見を続けるよう求める記者の声が相次いだ)。
今回の首相記者会見にあたっては、事前に官邸記者クラブの幹事社、東京新聞と共同通信が官邸報道室に対し、十分な時間を取り、多くの質問に答えるよう要望していた。しかし、実際には多くの質問に答えることなく、手を挙げる記者たちを残して、事実上の打ち切りだったといえる。
なお、NHKはこの記者会見の中継をしたが、途中で中継を打ち切った。その直後に長谷川内閣広報官が会見を打ち切りしようとした。このことから、NHKと長谷川内閣広報官の間で、事前に会見時間について密約があったのではないかとみられる。
▼突然の休校要請、判断根拠提示されず一方的打ち切り
2月29日、新型コロナウイルスへの政府の対応に関する安倍晋三首相の記者会見は突然の休校要請だったが、記者会見の時間はわずか34分。「まだ質問があります」という声を司会の長谷川内閣広報官は無視して会見は打ち切られた。安倍首相は自宅へ。
「まだ質問があります」と声を挙げたジャーナリストの江川紹子氏は、以下の文面のツイッターを連続投稿した。
「安倍首相の記者会見、一生懸命“まだ聞きたいことがあります”と訴えたけど、事前に指名されて質問も提出していたらしい大手メディアの記者に対して、用意されていた原稿読んで終わりでした。」(江川紹子)
「専門家会議では議論してない全国一斉休校要請について、他の専門家に相談したのか、今回の判断した根拠やエビデンスは何か、それに伴う弊害やリスクとの検討はどのようにやったのか、期待される効果や獲得目標は何か…その他いろいろ聞きたいことはあったんだけど」(江川紹子)
▼マスコミ労組など、十分な時間と質問できる時間を要求、署名3万人超える
朝日新聞と毎日新聞は会見の翌日、15日の紙面で、記者会見打ち切りの経過を詳報したことも注目される。政府の記者会見に対する、不誠実な対応は、メディアはもとより市民の間にも批判が広がっている。
3月18日には「日本マスコミ文化情報労組(MIC)の議長、南彰新聞労連委員長(朝日新聞記者)、と「国会パブリックビューイング」の代表、上西充子法政大学教授が、日本記者クラブで会見し、安倍首相に十分な時間を確保し、質問を求めるジャーナリストの多くに丁寧に答えるよう要望した。
MICはこのところ安倍首相の会見が短時間で、挙手があるにもかかわらず打ち切られる例が続いていること、官邸クラブで東京新聞望月記者ら特定記者に全く答えないなどの事態が続いていることなどから、「オープンな記者会見を求める」署名運動を行っており、第一陣として12日に3万3000人分の署名を官邸に提出している。
南MIC議長は「為政者、権力者の一方的な発信を防ぐためには、会見で記者が多角的に質問することが重要だ」と指摘、「会見の主導権を首相官邸に握られている。再質問もできる十分な時間を確保し、フリーの記者なども幅広く参加できる形で実施すべきだ」と述べた。
また国会パブリックビューイングの上西教授は、「記者会見は国会の議論と同様の重要性を持つ。記者会見の実情も可視化され、ジャーナリズムの役割を発揮できるようになるため連携していきたい」と述べた。
MICは3月18日付で「市民の疑問を解消する首相への質問機会を取り戻そう」という加盟9組合の共同声明を発表した。MICの加盟組合は、新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労の9全国単産。
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