安倍首相のマスクとチューリップ
- 2020年 4月 24日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
安倍首相が熱心に進めたと思われる布マスクの配布、それにまつわる話題にこと欠かないようだ。マスクの買い付け先も契約金も明らかになった。三社合計して90億というのだが、総予算466億の内訳も知りたいところである。製造は中国やミャンマーなどの東南アジアということであるが、製品管理は大丈夫なのだろうか。いずれにしても、安倍首相がつけている布マスクが、その配布のマスクらしいのだが、どの写真を見ても、閣僚たちのマスクは、みなそれよりも大きい。報道に登場する各地の知事のマスクには、ファッション性の高い?ものも現れ、大きく顔を覆うものが多い。その最たるものは、小池都知事のマスクで、日に日に少しづつ大きくなっているのではと思うほどだ。「安倍首相と小池都知事のマスク姿の差異をどう読み解くべきか(4月18日 16:05配信 NEWS ポストセブン)なんて言う記事まであらわれた。
もしマスクが届いたら、どうする?というメールをくれた友人もいる。解体して洗濯をして、作り直すという人もいると聞く。
小池都知事は、連日開く記者会見だけでは足りず、いくつかのバージョンのあるCMまで流し始めた。*注 ことし7月の選挙を控え、これほどの事前運動がまかり通るとは、都民でなくても怒りさえを覚えるのだが。
きのう、東京の友人から「佐倉では、チューリップが全部刈り取られたんだって」と電話があった。チューリップ広場の球根を掘り出す作業は聞いたことがあるが、人が集まるからと花を刈り取ってしまったというのだ。あわてて、佐倉市のホームページを見ると、4月14日付で、ふるさと広場のチューリップ畑には人が密集するので、苦渋の決断をした旨のお知らせが載っていた。ネットで記事を見つけ、新聞をひっくり返せば、朝日の千葉版に「チューリップ刈り取り無念 見物客減らず佐倉市が80万本」との報道があった。100種類80万本のすべてがトラクターで刈り取られたという。チューリップフェスタというイベントも、同じふるさと広場で開催する夏の花火大会も、すでに中止が発表されていた。どちらも出かけたことも、出かける気もなかったのだが、チューリップ畑は、佐倉駅に向かう京成本線の車窓から眺めることはあった。あのチューリップをぜんぶ刈り取ったとは、残酷な話ではないか。外出自粛は、思わぬ場所の密集を招くとも聞いているが、野外のチューリップ畑なのだから、市民の知恵でなんとか楽しめる工夫ができなかったものか。
我が家のチューリップは、毎年、手入れをしなくとも、何本かは咲いてくれるのだが、昨年、アムステルダムのスキポール空港で買った球根を植えていた。果たして咲いてくれるものか、不安だったが、クリーム色とそこに朱が混じった花をつけてくれたようだ。こんなことなら、シンゲルの花市場で、少しまとめて買って来てもよかったのにと、残念にも思うのだった。
手前左の二本は、これまでの球根か、中にネギ坊主が一本混じっているのが見える。ご近所の方から泥ねぎをいただいたときに土をかぶせて、だいぶ長い間、使わせてもらった。その一本が残っていたらしい
アムステルダム、シンゲルの花市場はこんなお店が並び、目がくらむばかりでした。チューリップに限らず、切り花はもちろん、球根も苗も、種も並ぶ。左側の棚には、何種類ものチューリップの球根の袋、どこの店にもあったのに。
*注 「東京都知事の小池百合子です」で始まり「都民一丸となってこの難局を乗り越えましょう」というテレビCMは、4月9日から始まった。民放六局が「外出を控えて」「買い物は必要な量に」など5つのパターン(各15秒)があり、1時間に1本程度のペースで放送し、都内九カ所の大型の街頭ビジョンでも流している。これらのバージョンは、4月18日に終了、以降は、ヒカキン?とかのユーチューバーが突然現れて、若い女性のユーチューバーが続き、外出自粛などを呼びかける動画を流しているそうだ。私も、何回か見ていたが、東京都のCMとはわからなかった。これらの動画配信とラジオ、新聞広告、YOU TUBEなどあわせて、広報の費用は14億円になるという。
初出:「内野光子のブログ」2020.4.22より許可を得て転載
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〔opinion9680:200424〕
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