トランプ大統領、最後の1年(13) トランプ大統領、コロナウイルスを「真珠湾よりも悪い!」と中国非難 ―世界で高く信頼されている英BBCの報道
- 2020年 5月 11日
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- ♠トランプ坂井定雄新型コロナウィルス
その公正な幅広さで、世界で高く信頼されている英国の世界的公共放送BBCは7日、トランプ米大統領が、新型コロナウイルスCOVID19の世界的大流行の責任は中国にあると断定、第2次大戦の真珠湾への日本軍の攻撃や20年前の9・11同時多発テロよりも悪い米国攻撃だと非難した、と報道した。これまで、再三にわたって新型コロナウイルスは中国武漢のウイルス研究所から流出したと具体的な証拠を示さずに非難、「中国に損害賠償を請求したい」とまで表明していたが、今回は大統領執務室での、執務机に座っての記者団への発言で、中国の責任と断定し、言葉を極めて攻撃した。指摘され始めた11月の大統領選挙の劣勢を挽回するための意図は見え見えだが、危険な賭けにでたともいえる。以下に、誤解が生じないように、7日のBBC電子版の報道をなるべく省略せずに紹介しよう。
トランプ米大統領は、コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を,米国に対するかってない「最悪の攻撃」と表現し、中国をゆび指さした。
トランプ氏は、この勃発は第二次世界大戦での真珠湾への日本の攻撃や20年前の9.11同時多発攻撃以上の対米攻撃だ、と述べた。
彼の政権は、この世界的緊急事態への対応で、中国への処罰的な行動に重点を置いてきた。
北京は、米国がこの世界的緊急事態への自国の責任を逃れようとしている、といっている。
12月に中国武漢市で緊急事態が発生して以来、このコロナウイルスは120万の米国民に感染し、7万3千人を死亡させた。
トランプ大統領は何を述べたのか?
トランプ大統領はホワイトハウスの執務室で6日、「我々は、わが国でかつて経験したことのない最悪の攻撃に直面している。これは、パールハーバーよりも悪い。世界貿易センターよりも悪い。これは、かってない、最悪の攻撃なのだ」だと述べた。
「これは、二度と起こってはならない。根源から止めなくてはいけない。中国で止めなければならない。」
記者たちから、パンデミックを実際の戦争行為とみなすのかと問われ、この大流行は中国の敵ではなく、米国の敵だと述べた。
「わたしは、この見えない敵との戦争とみなしている」「わたしは、これが、どのようにしてここに来たのかを知りたいとは思わない。なぜなら、それを阻止できたからかもしれないからだ。そう、見たくない、なぜなら、戦争のように見えない敵だからだ。
他にトランプ・チームで中国を非難している者がいるのか
ワシントンと北京の対立の深まりをさらに強調したのはポンピーオ国務長官で、中国がこのパンデミックの発生源を隠したと改めて非難した。
同長官は、ウイルスの流通源が依然不確かとしながらも、中国の研究所でこのコロナウイルスが生み出された「重要な証拠がある」と強調した。
この米国外交のトップ(国務長官)はBBCに、「これらの発言は真実だ」「確証ではないが、一つの研究所から出た証拠はある」と語った。
中国の国営メディアは、同長官はうそつきだと非難している。
米国で最も信頼されている公衆衛生・健康専門家は、「最重要な証拠は、問題のウイルスが研究所内で造られたものではないことを示している」と語った。
トランプ大統領のコロナウイルス専門チームのメンバー、アントニー・ファウシ博士は、4日、「この病気源は自然に成長し、その後突然変異したように見える」と語った。
なぜ米国は中国を非難するのか
トランプ大統領は11月に厳しい再選への選挙を控えているが、彼の看板だった活気にあふれた経済は、コロナウイルス流行で落ち込んでいる。先月のPew世論調査によると、中国嫌いが3分の2と歴史的に多かった。しかし同時に、ほぼ同比率の人が、トランプ大統領の新型コロナ大流行対応は遅すぎると信じている。
トランプ氏は彼の危機管理を見直し、先月、中国の習近平首席と電話で話す数日前に「中国ウイルス」と呼ぶのをやめた。
トランプ氏と、おそらく彼の挑戦者となる民主党のバイデン氏は両方とも、中国の不人気を大統領選のテーマの一つとして重視し、互いに米国経済への主要な競争者のカモだと,非難を応酬している。
コロナウイルスが米国で広がりはじめた1月、トランプ氏は両国が関税戦争と呼んでいる貿易交渉の一段階に調印した。より包括的な第2段階に進む大統領の希望は、パンデミックのために行き詰まっている。(了)
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〔opinion9737:200511〕
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