本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(260)
- 2020年 6月 11日
- 評論・紹介・意見
- 新型コロナウィルス本間宗究本間裕金融
金融面での免疫暴走
今回の「コロナ・ショック」は、これから想定される「世界的な大インフレ」に関して、予行演習の役割を果たしたものと思われるが、「昨年末の時点」では、「無明(むみょう)」という言葉のとおりに、「100%問題が片付いていない状態」でもあった。具体的には、「目に見えない新型コロナウイルス」が蔓延していながらも、「病気が発症していなかったために、誰も気付いていなかった状況」のことである。
そして、「病気の発症」という時点で、コロナウイルス問題は、半分程度、片付いたものと考えているが、実際のところ、2500年ほど前から「お釈迦さま」や「アリストテレス」などが重要視してきた「問題の全貌把握」の観点からは、問題の存在に気づくことが最も重要であり、「無明」こそが、本当の問題点だと思われるのである。別の言葉では、今回の「コロナウイルス」のように、問題が存在することに気付いた時点で、「検査の拡充」や「都市の封鎖」などの「解決に繋がる方法」が実施可能な状況となるのである。
ただし、この点に関して、今回、気になった点は、「免疫暴走(サイトカインストーム)」という言葉だったが、このことは、「ウイルスを攻撃する免疫が、誤って、正常な細胞までも攻撃する状況」のことである。そして、現在では、この現象が、世界の金融界で発生している状況のようにも感じているが、実際には、「お金を出せば、国民の命が助かる」というような「善意に見える意見」が、日本中で広まっている状況のことである。
つまり、現在では、「目に見えないコンピューターマネー」が世界的に蔓延し、「マイナス金利」などの異常事態が発生していながらも、「インフレ(通貨価値の下落)」が発生していないために、「金融面における無明の状態」が発生しているものと想定されるのである。別の言葉では、実際の被害が認識されていないために、ほとんどの人が実情を理解していない状況のことだが、今後の注目点は、やはり、「金利の上昇」であり、また、「デリバティブや国債のバブル崩壊」だと考えている。
具体的には、「紙幣の増刷」により、「既存の通貨制度」が崩壊する可能性のことだが、この時の問題点は、「全体把握が、ほとんどできていない状況」であり、また、「被害が、今後、年金生活者や公務員などにまで及ぶ事態」だと考えている。つまり、これから想定される「世界的な大インフレ」については、「1600年前」に発生した「西ローマ帝国の崩壊」にまで遡らなければ全容が見えず、また、未曽有の規模となる可能性があるために、一刻も早く、人類の叡智を結集することが必要な状況のようにも感じられるのである。(2020.5.8)
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パウエルFRB議長の苦悩
弁護士出身の「パウエルFRB議長」にとって、今回の「コロナ・ショック」は、「未曽有の金融政策を実施するための言い訳となった事件」のようにも感じているが、実際のところ、「FRBのバランスシート」については、「昨年の9月末が約3.9兆ドル(約417兆円)」だったものが、「2020年の5月半ばには、約7兆ドル(約746兆円)」という規模にまで、一挙に大膨張していることも見て取れるのである。
つまり、「金利の低下」を促進させるために、「ありとあらゆる所から資金を借り入れて、国債の大量買い付けを実施している状況」とも言えるが、この時の注目点は、「資金繰りに関して、急速な変化が発生する可能性」だと考えている。具体的には、昨年の9月から現在まで、「約3.1兆ドル(約330兆円)」もの資金を借り入れてきたわけだが、内容としては、「地方連銀や国家」などが「主要な借入先」だったことも理解できるのである。
しかし、現在では、「紙幣の増刷」へと「借入先」が変化しており、この結果として、海外では、「インフレの発生」を警告する意見が急増しているのである。つまり、「インフレの大津波」が、間もなく、世界全体を襲い始める可能性が危惧されているわけだが、この点に関して、最も憂慮すべき事態は、やはり、「紙幣は、コンピューターネットワークの中を流れることができない」という「厳然たる事実」だと考えている。
別の言葉では、私が憂慮し続けてきた「金融界の白血病」のことでもあるが、基本的には、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制という通貨制度」や「現代の通貨が、目に見えないコンピューターマネーに変化した事実」、そして、「商品と貨幣の性質を併せ持った金融商品の特殊性」などが理解されない限り、今後の大混乱への対応が難しくなる状況も想定されるのである。
つまり、今回の「コロナ・ショック」は、今後の「金融大混乱」に対する「予行演習」だと考えているが、「パウエル議長」としては、「経済や金融に対する基本的な理解」が不足している状況のために、「これから、どのような対応を取るべきか?」について、大きな苦悩を抱えているものと思われるのである。また、「実体経済だけの分析」に終始し、「海外の専門家の意見」を鵜呑みにしがちな日本人にとっては、より一層、困難な状況が訪れるものと思われるが、この点に対する解決策としては、やはり、「文明法則史学」を理解することであり、具体的には、「東洋の時代が到来する可能性に関して、根本的な価値観を徹底的に研究すること」に尽きるものと感じている。(2020.5.16)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9830:200611〕
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