SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】387 ニューヨーク国連からジュネーブ国連へ
- 2020年 9月 18日
- 評論・紹介・意見
- サハラ国連平田伊都子西サハラ
- 国連事務総長の記者会見:約10人ぐらいの記者を前にして、声明を発表し質問に応じた。声明は第二波とみなされる新型コロナウィルスが、ヨーロッパであらたな猛威を振るい始めたのを受け、<ユニティー(団結)、ソリダリテイー(連帯)、シェア(共有)>と、国際協力を呼びかけた。この三つは、テドロスWHO(世界保健機関)事務局長に散々聞かされている言葉だ。そして国連事務総長は、新型コロナウィルス対策に対するWHOへの国際協力を、国連事務総長の懸案事項である<気候国連気候変動枠組条約締約会議>に転化させようと試みた。
- 会見室にいる記者とオンラインで質問してくる記者の多くは、前日9月15日にトランプ米大統領がホワイトハウスに招いて調印させた<アブラハム協定>に集中した。アブラハムとはイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の三大宗教が祖と仰ぐ預言者のことだ。<キャンプデービッド合意>でエジプトとイスラエルの国交正常を成功させたカーター米大統領も、<アブラハムの血>と題する本を著している。つまり、ご先祖様同が同じ兄弟なんだから、仲良くしようということらしい。イスラエルとの国交正常化にサインをした湾岸アラブのUAE(アラブ首長国連邦)とバーレーンは、パレスチナから猛反発をかっている。
- 2020年9月16日、ニューヨーク国連本部の記者会見室で、グテーレス国連事務総長は
- ニューヨークより、ジュネーブが舞台の人権運動:
- ジュネーブで西サハラ会議:ラ占領領地での酷い人権侵害状況に、苦慮している。近々、全ての関係者と共に、この問も継続する」と、語った。を開催した。60年前の1960年12月の国連総会で、地球上から植民地を廃絶するための「植地域に指定された。その後、他の地域や東チモールや名ナミビアは独立を果たしていったが、西サハラだけは相変わらず<最後のアフリカ植民地>のままで、国際社会から置き去りにされている。記念会議にはブラヒム・ガリSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)大統領、ナンディ・ンダイツワ・ナミビア副首相、クサビエ・レイス・マグノ東チモール外務大臣、ムクサカト・デイソコ南アフリカ・ジュネーブ代表、バッレナ・アルザ元国連事務総長特使でMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)団長などなどが、パネル討議に参加した。
- 民地独立付与宣言」が採択された。その時、西サハラ、東チモール、ナミビアなどが対象
- 9月15日にジュネーブで、西サハラ支援団体が「国連決議1514採択60周年記念会議」
- 題に関する代表団の創設を検討するつもりだ。我々は、5年前に活動していた代表団の作業
- 2020年9月14日、ミシェル・バチェレUNHCHR(国連人権高等弁務官)が「西サハ
国際社会はニューヨークからジュネーブに焦点を移したようです。 国連はアメリカのニューヨークに拠点を置いていますが、スイスのジュネーブにも拠点があります。 これまで国連と言えば、ニューヨークにある平べったい高層ビルが象徴してきましたが、今回のコロナ禍で人的組織も含めて、相当老朽化していることがばれました。
一方、アメリカのようにコロナが蔓延していないスイスは、コロナ規制も緩く、入出国も楽だし無記名で口座が開ける特別銀行もあるし、外交官には何かと便利です。 ただいま旬のWHO(世界保健機関)も、UNHCR(国連難民高等弁務官)もスイスにあります。
そして、UNRHCR(国連人権高等弁務官)も、スイスのジュネーブにあります。
さらに、IOC(国際オリンピック委員会)本部もスイスのローザンヌにあります。
国連事務総長は「現実に存在する機会を捉えることは重要だ。この合意は両当事者交渉に繋がると思う」と、既に発表した見解を繰り返し、<アブラハム協定>を支持した。
この記者会見で、西サハラ問題は全く取り上げられなかった。
人権問題を扱う国連人権高等弁務官事務所は、ニューヨークではなくスイスのジュネーブにある。そのトップを国連人権高等弁務官と言い、2018年からチリ出身のミシェレ・バチェレ女史が務めている。同様に、難民問題を扱うUNHCR(国連難民高等弁務官)事務所がジュネーブにあり、そのトップを国連難民高等弁務官と呼び、2016年からイタリア出身のフィリッポ・グランデ氏が務めている。
1951年チリの首都サンチャゴに生まれたミシェル・バチェレは、政治家、外科医、小児科医。女性初の同国大統領を2期務めた凄い女性だ。そして、何よりも人の心を打つのはミシェル・バチェレの半生だ。父のアルベルト・バチェレ空軍准将はアジェンデ政権に協力したため、1973年9月11日のチリ・クーデターの時ピノチェトに逮捕され、1974年3月に拷問死を遂げた。(youtubeで<サンチャゴに雨が降る>を見てください)彼女も1975年、母親と共に逮捕され拷問を受けた後、オーストラリアに亡命、その後旧東ドイツに移ってフンボルト大学医学部に入学した。1978年1月にはカール・マルクス大学でドイツ語を研究する。スペイン語(ぼ母国語)、英語、ドイツ語、フランス語に精通している。
1979年、軍政下のチリに帰国しチリ大学に復学、反政府活動を再開する。一時期は反政府武装ゲリラ組織である マヌエル・ロドリゲス愛国戦線に参加したといわれるが、その後1990年の民政復帰とともに保健省に入り、 汎アメリカ保健機構やWHO’(世界保健機関)などで活動する。一方で1996年以来、国防問題への関心を強め、アメリカの インター・アメリカ国防大学に留学し、国防・軍事の研究を深めた。
1970年代以来、チリ社会党 (PS) の党員であり1995年中央委員、リカルド・ラゴス政権の下で2000年から2002年まで厚生大臣[1]、さらに2002年から2004年まで国防大臣を務めた。2006年1月15日、チリ史上初の 女性大統領に当選し、第34代大統領に就任した(2010年3月11日まで)。2010年9月14日に潘基文前 国連事務総長より国連の新組織 UNウィメンの初代事務局長に任命され、同年9月19日に就任した。2013年3月15日にUNウィメンを辞任し、2013年11月のチリ大統領選挙へ出馬し、再当選。2017年末まで35代チリ大統領を務めた。
ナムビア副首相は、「国連は一刻も早く国連西サハラ住民投票を施行しなければならない」と、訴えた。東チモール外務大臣は、「西サハラが独立を果たすまで支援を続ける」と、激励した。
一方、オマル・ズニビール・ジュネーブ国連モロッコ大使は、「東チモールなどのモロッコに敵意を持つ少数派が、人権理事会でモロッコを陥れようとするデマをまき散らしている。特に、東チモールが捏造した声明文は嘘だらけだ!彼らが掲げる国連総会決議1514は、」
モロッコの歴史を知らなさすぎる」と、西サハラを支援する国々を非難した。皿にモロッコ大使は、「この小グループの大半の国々は、自分たちの独立時にモロッコから軍事的、政治的、外交的、援助をしてもらった恩を、忘れている。特にアルジェリア、南アフリカ、ナミビア、アンゴラなどだ!!」と、名指しでこき下ろした。
モロッコでは、9月16日の新型コロナ感染者数が2,488人に上り感染者累計が94,504人を数えました。 感染者数の増加に比例して犯罪が増え続けるモロッコでは、10月10日までロックダウン(非常事態)が延長されました。 WHOは欧州周辺の新型コロナウィルス感染増大に警告を発しています。
トランプ米大統領は、コロナとインフルエンザの両方に備えろと、叫んでいます。
誰も見たことのないウィルスに、トランプもテドロスもグテーレスも、怯えているのでしょうか? 怯えた振りをしているのでしょうか??
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*難民アスリート・サラーの最新ドキュメンタリーがYoutubeにアップしました。
https://youtu.be/jz7lFr2c_Jk スペイン語ですが、西サハラ難民キャンプが見られます。
*占領地からの脱出―「アリ 西サハラの難民と被占領民の物語」只今発売中です。
著者:平田伊都子、写真:川名生十、画像提供:李憲彦、川上リュウ、SPS、
造本:A5判横組みソフトカバー、4頁のカラー口絵、本文144頁
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、TEL:03-3814-3861
2020年2月3日 初版第一刷発行 定価 税抜き2,000円
*1月22日、「ニューズ・オプエド」で#1323<アフリカ最後の植民地>を放映しました。
YouTube オプエド平田伊都子 URL https://www.youtube.com/watch?v=citQy4EpU-I
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2020年9月18日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10122:200918〕
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