早くも「原発推進の菅内閣を打倒しよう」の声 東京で、さようなら原発首都圏集会
- 2020年 9月 20日
- 時代をみる
- スガ原発岩垂 弘
「9・18さようなら原発首都圏集会」が、9月18日(金)午後6時30分から、東京の日比谷公園大音楽堂で開かれた。さようなら原発一千万署名市民の会の主催。さる16日に発足した菅内閣が「安倍政権の取り組みをしっかり継承する」と言明したことから、会場では「ということは、菅内閣も原発を推進するということだ。それなら、脱原発を実現するために、力を合わせて菅内閣を打倒しよう」との呼びかけがなされた。
同市民の会は、2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故以来、毎年3月と9月に東京で、さようなら原発全国集会を開いてきた。今年もまず3月に亀戸中央公園で開く予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大のため中止せざるを得なかった。
市民の会内には「9月の全国集会も中止したら」という声があったが、「何時までも自粛しているわけにはいかない」として、規模を縮小して開いたのが、この日の「首都圏集会」だった。
会場の日比谷公園大音楽堂は定員2600人。会場側から「コロナ対策上、密を避けるために入場は1300人くらいに」と要請され、このため、市民の会は労働組合による組織的な動員を控え、市民の自主的な参加に委ねた。
市民の会内には「1000人集まるかどうか」と不安をもらす人もいたが、開会前から、労組員、生協組合員、護憲団体関係者、一般市民らがつめかけ、会場の席はほぼ埋まった。市民の会発表の参加者数は約1300人だった。
コロナ禍が始まった今年3月から、反核平和、護憲、脱原発などを目指す団体による野外の大衆集会は、ほとんど中止の憂き目にあっている。多くは、オンライン方式の集会に切り替えて行われている。そうした状況の中で、屋外の大衆集会に挑んだのは今回の「さようなら原発首都圏集会」が初めてと言ってよく、運動関係者からは「コロナ下の大衆集会」として注目されていた。
集会で主催者あいさつをした、市民の会呼びかけ人の1人で作家の落合恵子さんは「安倍政治は変わっていない。なにしろ、後継の菅政権が、安倍政権の施策を継承する、と言っているんですから」と切り出し、「安倍政権の施策を継承するということは、安倍政権の負の遺産も継承するということになりますね。それだったら、新政権に、負の遺産をもたらした責任をとらせなくてはなりません」と述べた。さらに「福島第一原発の事故から9年半。汚染水の問題も解決していない。来年の東京オリンピツクを開かせてはなりません」と訴えた。
茨城平和擁護県民会議事務局長の相良衛さんは、東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働問題について報告したが、その中で「日本原子力発電は、東日本大震災で運転停止中の老朽原発、東海第二原発の再稼働を目指して、防潮堤など安全対策工事を強行している。地域住民への説明会もない。こんなことは許されることではない」と述べ、さらに「東京から110キロのところにある首都圏の原発であり、30キロ圏内に94万人が住んでいる。県は市町村に避難計画をつくらせているが、被曝を前提とする非難計画をつくるなんておかしいのではないか。一企業のためにどうして90万人以上の人たちが避難しなければならないのか。再稼働は何としてもやめさせなくては」と訴えた。
最後に登壇した、市民の会呼びかけ人の1人でルポライターの鎌田慧さんは「菅内閣の支持率が60%以上もあるとのことだが、これは前の内閣があまりにもひどかったので、何かいいことをしてくれるのではとの期待の表れではないか。しかし、安倍内閣も菅内閣も同じ穴のムジナ。腐敗した自民党の派閥政治に過ぎない」と自民党政治を批判。続けて、こう呼びかけた。
「自民党政権は、なお原発再稼働を推進しようとしている。自民党政権の原子力政策はすでに破綻しているというのに。核のゴミの最終処分場はいまだに決まらないし、青森県六カ所村の、原発の使用済み核燃料を再処理する工場は27年たっても稼働できないでいる。こんなことは一般企業ではありえないことだ。それに、高速増殖炉・もんじゅも廃炉になった。これでも菅内閣が原発再稼働を進めるというなら、私たちで力を合わせて打倒しようではないか」
集会後、参加者は銀座をデモ行進した。
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