本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(280)
- 2020年 11月 4日
- 評論・紹介・意見
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デリバティブの時限爆弾
そして、私自身が想定する「現代版の平家物語」としては、「習近平氏」と「菅首相」が指摘できるものと思われるが、基本的には、「香港の国家安全法」と「日本学術会議への任命拒否」が、将来的に、「虎の尾を踏んだ事件」と評価される可能性が高くなったものと考えられるのである。ただし、この点については、現在、確固たる評価が定まっていない状況であり、このことが、前述のとおりに、「歴史の渦中」に存在する我々にとっては、「将来の展望」が見えない状況を意味しているのである。
つまり、「西暦2000年」に「約8000兆円の残高」だった「デリバティブ」については、その後、「2008年前後に約8京円にまで大膨張した」という展開だったのである。そして、ピーク時に発生したのが、いわゆる「2006年から2009年のGFC(金融大混乱)」だったが、その後は、ご存じのとおりに、「日米欧の中央銀行が国債を買い付けて、超低金利状態を継続した」という状況でもあったのである。
別の言葉では、「デリバティブの解消」のために「中央銀行のバランスシートを拡大し、超低金利状態を維持した展開」のことだが、この間に、実際に起こったことは、「デリバティブの想定元本が約2京円の減少を見せた状況」である。つまり、「想定元本の約1割」と想定される「不良債権」を解消するために、「日米欧の中央銀行が、約2000兆円ものバランスシート残高を積み上げた状況」のことである。
しかし、現在の問題は、従来の手法である「デジタル通貨の借り入れによる国債の買い付け」に限界点が訪れ、その結果として、「紙幣の増刷」が、徐々に、始まったことである。つまり、古典的な「インフレ政策」が、世界的に実施され始めたわけだが、「1971年のニクソンショック」から始まった「新たな通貨制度」、すなわち、私が提唱する「信用本位制」に慣れ切った人々にとっては、「マネーの性質」、あるいは、「マネーの原点」が、ほとんど見えなくなっている状況とも言えるのである。
具体的には、以前から指摘し続けてきたように、「紙幣は、コンピューターネットワークの中を流れることができない」という厳然たる事実のことだが、今後の注目点は、「この事実に気付いた人から、現物資産への換物運動が始まる可能性」だと考えている。つまり、「目に見えないデジタル通貨」が「裸の王様」であると気付いた人々が、慌てて、「貴金属」や「割安株」、そして、「食料品」などを買い漁り始める状況のことだが、この点については、「1868年の明治維新」、あるいは、「1945年の敗戦」などと同様に、「ある日突然に、歴史的な大転換が発生する可能性」が高まっている状況のようにも感じている。(2020.10.4)
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富の遠心力と神の求心力
聖書に「人は神と冨とに兼ね仕えることができない」と述べられているが、この理由としては、「富の遠心力」と「神の求心力」が指摘できるものと考えている。つまり、「文明法則史学」を深く検証すると、「西洋の時代」は、「目に見えるもの」を追い求める「富の時代」であり、この時には、「実体経済」や「マネー経済」が、「約800年」という時間をかけて成長した展開だったものと考えられるのである。
具体的には、「西暦1200年から2000年」のことだが、一方で、その前の「800年間」については、「全く違った価値観」が形成されたことも見て取れるのである。つまり、「神の求心力」が働いた結果として、「経済の縮小」が始まったわけだが、この原因としては、「純金に近い貨幣が、通貨として使用されていた」という状況からも明らかなように、「お金の価値と残高」が激減したことが指摘できるのである。
あるいは、「勤勉は悪である」というような価値観が広がったことも、原因の一つとして挙げられるが、この理由としては、「マネーの根本である信用」が崩壊した結果として、「誰も信用できないような時代」に転換した可能性も考えられるようである。つまり、「何を信用すべきなのか?」と悩み苦しんだ人々が、結局は、「神」や「精神文明」を求めた可能性のことでもあるが、実際には、「西暦1200年前後」に、現在と反対の状況、すなわち、「神の形骸化」が発生した可能性も考えられるようである。
より具体的には、「神様への信仰バブル」とでも呼ぶべき状況のことだが、その結果として発生した大転換が、「古代文明の復活」を意味する「ルネッサンス」だったものと想定されるのである。つまり、この前後から、「富の遠心力」が働き始め、その結果として、「実体経済の成長」が、徐々に始まったわけだが、その後の展開については、今までに、詳しく説明したとおりの状況だったものと感じている。
そのために、今後の展開を考える上で最も重要なポイントは、やはり、「神の求心力」を理解することであり、実際には、「お金(マネー)の価値と残高の激減が、人々の意識と行動に対して、どれほどの影響を与えるのか?」だと考えている。つまり、「形骸化した現在のデジタル通貨」に対して、「人々の認識」が改まった時に、世の中が急変する可能性のことだが、この点については、「文明法則史学」を研究する必要性があるものと感じており、実際には、今回の「コロナ・ショック」をキッカケにして、「精神的な豊さ」を求め始める人が増える状況のことである。(2020.10.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10258:201104〕
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