本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(281)
- 2020年 11月 12日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
コロナ・ショックの後半戦
今回の「コロナ・ショック」は、今までの前半戦において、「実体経済のマヒ状態」という現象をもたらしたが、この点については、「実体経済の特徴」である「フロー」を表しているものと考えている。つまり、「諸行無常」という言葉のとおりに、「特定の商売が永遠に継続する可能性」は存在せず、また、「日々刻々と、事情や条件が変化している状況」でもあるが、今後の注目点は、「コロナ・ショック」が後半戦に移行する展開、すなわち、「マネー経済に対する影響」となって現れる状況だと考えている。
具体的には、「マネーの性質」である「ストック」から理解できることが、「お金は残高であり、インフレでしか消滅しない状況」であり、実際には、「最後の貸し手」である「中央銀行」が、「大量の紙幣を発行して、通貨の価値を激減させる方法が取られる状況」のことである。つまり、「BIS(国際決済銀行)」が指摘する「インフレ課税」のことでもあるが、今回の特徴としては、「過去のケースと比較して、あまりにも規模が大きく、また、世界的な広がりを見せている状況」とも言えるのである。
そのために、今後の注目点は、「いつ、本格的な大インフレが、世界を襲い始めるのか?」ということでもあるが、この点に関して参考になるのが、「風船の破裂メカニズム」や「大津波の発生メカニズム」だと考えている。つまり、「実体経済」と「マネー経済」との「圧力差」が拡大した時に、「マネー経済が破裂する状況」、あるいは、「大津波の前に、引き潮が発生する状況」のことである。
そして、この点を、今回の「コロナ・ショック」に当てはめると、最初に、「実体経済の縮小」が発生したわけだが、この時に取られた方策は、ご存じのとおりに、「中央銀行のバランスシート」を大膨張させる、「国家の景気対策」だったことも見て取れるのである。つまり、「大恐慌」のような事態に陥らないために、「国家の資金で、どのような政策でも取るべきである」という認識や理解が広がった結果として、「世界全体において、過去の貯金を使い果たしたような状況」となってしまったのである。
しかも、今回は、「将来の税金」までをも使い、ありとあらゆる政策が実施されたわけだが、現在は、「世界全体で資金繰りの問題が生じ、金利の上昇が始まった状況」、すなわち、「デリバティブの時限爆弾」が、刻々と音を立て始めた状況であり、そのために、現時点で必要なことは、「DXバブル」などに踊らされず、「自分の生活には、何が必要なのか?」を真剣に考えることだと感じている。(2020.10.11)
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異次元金融緩和の限界点
今後の注目点の一つは、「異次元金融緩和の限界点」を判断することであり、具体的には、「マネーストック(M2)」と「マネタリーベース」との関係性を、具体的な数字で検証することだと考えている。つまり、「昨年末」から「現在」までの期間に、「どのような変化が発生したのか?」を検証することでもあるが、実際には、「市場への資金供給」を意味する「M2」が「約1041兆円から約1118兆円へ約77兆円の増加」、また、「日銀から民間金融機関への資金供給」を意味する「マネタリーベース」については、「513兆円から約584兆円へ約71兆円の増加」となっているのである。
そして、この変化から理解できることは、「金融システム全体に、資金繰りの問題が出始めている状況」であり、実際には、「中央銀行から民間金融機関」、そして、「民間金融機関から企業や個人」への資金供給が細っている状況のことである。より具体的には、「当座預金」という形で、日銀に資金が還流している状況となっており、実際のところ、「日銀のバランスシート残高」は「約573兆円から約689兆円へ約116兆円の増加」というように、「日本国内の資金が、日銀への集中度を高めている状況」となっているのである。
つまり、「国民の資金を使い、国家の借金である国債の買い付けが実施されている状況」のために、民間に資金が流れにくくなっているわけだが、現在では、この点に、更なる悪条件が付け加えられた状況のようにも感じている。具体的には、「貸付金の急増」というように、「民間の金融機関において、資金繰りの問題が出始めている可能性」も想定されるのである。そして、この原因としては、今まで、「民間の金融機関から当座預金を借りて、国債を買い付ける」という「構図」だったものの、現在では、「民間金融機関の資金繰り」に問題が出始めたために、「貸付金」という形で「日銀から民間金融機関への資金供給」までもが始まった点が指摘できるものと考えている。
より具体的には、「神様への信仰バブル」とでも呼ぶべき状況のことだが、その結果として発生した大転換が、「古代文明の復活」を意味する「ルネッサンス」だったものと想定されるのである。つまり、この前後から、「富の遠心力」が働き始め、その結果として、「実体経済の成長」が、徐々に始まったわけだが、その後の展開については、今までに、詳しく説明したとおりの状況だったものと感じている。(2020.10.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion10278:201112〕
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