SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】396 速報!西サハラ停戦合意破棄!!砂漠戦争再燃か!!?
- 2020年 11月 15日
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2020年11月12日の夜から13日未明にかけて、モロッコは重装備のモロッコ王立軍をモロッコ占領地・西サハラとモーリタニアの国境ゲルグァラトに展開させ、抗議する西サハラ住民を強制排除しました。アメリカ上院議員ジム・インフォフェがモロッコ軍事侵攻を警告して3日後のことです。この国境は物資と人の流通で賑わっていますが、モロッコ産麻薬ハシッシの密輸も盛んです。
ポリサリオ西サハラ難民軍も応戦しました。戦闘の拡大が懸念されます。
① モロッコが公式発表した国境緩衝地帯への攻撃:
CORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)による国境緩衝地帯への攻撃宣言(英
文)を転載する。要訳すると、「モロッコ王立軍は木曜の夜から金曜にかけて、モロッコと
モーリタニアを結ぶゲルグァラト緩衝地帯を通過する物流や人の往来を守るため、哨しょ
う兵を展開させた」となる。
The Royal Armed Forces (FAR) set up, on the night of Thursday to Friday, a security cordon in order to secure the flow of goods and people across the Guerguarate buffer zone, linking Morocco to Mauritania,、」
モロッコは「通行妨害するポリサリオ西サハラ難民軍の兵士を排除した」と、軍事侵攻の理由を説明した。ゲルグァラト緩衝地帯にポリサリオ西サハラ難民軍は展開していない。
ポリサリオであれモロッコ王立軍であれ、国連緩衝地帯に兵を展開させることは、1991年にポリサリオとモロッコ両軍が合意した「停戦協定―1」に違反する。実際には、西サハラ住人が麻薬や違法な流通に反対して、デモを起こしていたのだ。
西サハラ国旗を掲げて意気揚々の行進をする
ポリサリオ西サハラ難民軍
② モロッコ軍事侵攻に反発したポリサリオ西サハラ難民軍が反撃:
「モロッコ王立軍による国連緩衝地帯での軍事侵攻は、明らかに、1991年にモロッコ
軍とポリサリオ軍が結んだ停戦合意に違反している。モロッコが停戦合意に反しているい
じょう、我々ポリサリオ軍も停戦合意を破棄するものとする」と、サハラウィ大統領兼ポ
リサリオ事務総長ブラヒム・ガリは正式に宣言した。ブラヒム・ガリ大統領の指令を受け
て、サハラウィ人民解放軍は、11月14日、モロッコ占領地・西サハラに配属されている
モロッコ軍秘密基地を攻撃した。停戦破棄宣言に次ぐ、サハラウィ人民解放軍報告ナンバ
ーⅡは、「敵に死者と損害を与えた」と、という戦果だった。
長期にわたり、モロッコの平和交渉無視に手を貸し、国連事務総長西サハラ個人特使も任命せず、ズルズルと西サハラ問題を放置してきた怠慢なグテーレス国連事務総長は、11月14日、慌てて西サハラ難民政府に電話をかけた。本当は、慌ててなかったのかもしれない?モロッコとフランスと共謀して、西サハラを停戦破棄に陥れ、1991年のモロッコと西サハラ両当事者による和平提案<国連西サハラ人民投票>を握りつぶそうとしたのかもしれない??
モロッコ、フランス、国連の三者にとって、西サハラをモロッコ化するにあたり共通の敵とは、<ポリサリオ西サハラ難民政府>なのだから、、
グテーレス国連事務総長の電話に出たのは、ポリサリオ指導者ブラヒム・ガリ大統領ではなく、ハトリ・アドウ和平交渉団団長だった。国連事務総長は衝突を鎮めるよう、自制を促した。交渉団長は、これまでに幾度となくガリ大統領が和平交渉の再開を訴えてきたこと、そして、国連がそれに答えなかったこと、さらに西サハラの今回の決定などを、繰り返し丁寧に説明した。
③ 11月14日の国連定例記者会見で西サハラ問題が爆発:
「みんなが非常に知りたがっているので」と、フランス人の国連事務総長報道官は渋々
西サハラ問題で、記者会見を始めた。国連事務総長の「私は軍事衝突が激化するのを非常に憂いている。双方の自制を促す、、」と、どの軍事紛争にも出す声明を代読した。これまで、西サハラ問題はたいして議論されなかったが、今回はイデイ記者、ベイス記者、そしてパレスチナ人のハミード記者など、ベテラン記者連が報道官に迫った。「ポリサリオのトップが国連事務総長に、緊急書簡を送っている。それに対する事務総長の見解は?」との質問に、「私はその手紙をまだ見ていない」と、答えた。「今あんたが読んだ事務総長声明には、どちらが停戦合意を先に破ったのか明確にされていない。どっちだ?」との問いに、「声明以外のことは発言できない」と、報道官は逃げた。さらに「停戦違反は事務総長とポリサリオとの電話会談が予定されていた前日に突発した。あんたは両者の会談は事件の数日前だという?」と、記者が突っ込むと、報道官は「なにぶん突発事件だったので、、」と、言葉を濁した。
そして、誰もが異口同音に、「18カ月間、国連事務総長は事務総長西サハラ個人特使を
任命してこなかった!もういい加減に決めるべきではないか!!」と、国連事務総長の怠慢をいつになく強く非難した。「みんなと同じように事務総長もフラストレーションに襲われている。作業班がなかなか決めかねているのでね、、」と、答えると、早々に会見室から退場した。
記者の皆さま、ご苦労様でした。これからも西サハラ問題を取り上げてください。
国連の約束を信じて、40年以上にわたり難民と被占領民生活を続けている西サハラの人々を忘れないでください。
11月10日、アメリカ下院防衛安全委員会の公聴会でアメリカ共和党上院議員ジム・インフォフェ上院軍事委員会委員長が、モロッコの軍事拡大主義を強く非難しました。 ジム上院議員による演説の骨子を下に再現しておきます。
「モロッコは1991年にモロッコと西サハラが合意した停戦合意に違反し、停戦合意後も、西サハラの鉱物資源や漁業資源を不法に採掘採取し、金儲けを続けている。さらに、最近はゲルグァラト地域に200人以上の兵を展開させ、西サハラ住民を脅かしている。今、まさに、モロッコに対して、国連合意を守るよう強く警告する時がきた。モロッコと西サハラの両当事者は、国連指導の下、速やかに、民族自決権に基づく<国連西サハラ人民投票>を行わなければならない。国連は、<国連西サハラ人民投票>を、早急に準備しなければならない」
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2020年11月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4786:201115〕
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