本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(286)
- 2020年 12月 16日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
資本主義と民主主義
投資で重要なポイントは、「好悪の材料が、どの程度、株価に織り込まれているのか?」を適切に判断することである。そして、決して、「バブル」に踊らされず、また、「底値」で悲観しない態度を維持することだと考えているが、より具体的には、周りの人々を見まわしながら、「何割の人が、一つのテーマを信じ込み、実際に投資しているのか?」を冷静に判断することである。
そして、このような観点から言えることは、現在の「デジタル革命」や「デジタル通貨」が、「世界的なバブルの状態ではないか?」ということでもあるが、ご存じのとおりに、「バブル」は、「弾けた時に、初めてバブルの存在が認識される」という特徴が存在するのである。しかも、「マネーの歴史」を研究すると、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制」が始まり、しかも、過去の30年間程度は、「デジタル通貨の大膨張」という、人類史上、未曽有の状態となっていることも見て取れるのである。
このように、現在は、歴史上、きわめて異常な事態となっているようだが、実際には、世界中の人々が、「目の前に展開する景色」に目を奪われ、「現在の状況が永遠に続く」と錯覚しているものと感じられるのである。つまり、「デジタル革命」という言葉を信じ込んでいる状態のことだが、実際には、「資本主義」や「民主主義」という言葉などと同様に、「すでに、時代遅れになっているのではないか?」とも思われるのである。
より詳しく申し上げると、これから想定される「金利の急騰」、そして、「大インフレ」により、世界は、一挙に、「東洋の時代」に突入するものと考えており、この時には、「唯物論」ではなく、「唯心論」が中心的な価値観となる時代が想定されるのである。そして、この点に関して、「民主主義」や「資本主義」が参考になるものと感じているが、実際には、「ニーチェ(1844年-1900年)」が述べた「神は死んだ」という言葉のとおりに、「20世紀」というのは、「マネー(お金)」が神様となり、また、「力を持った人類が、自然を征服する」という「人類至上主義」の時代だったようにも感じられるのである。
しかも、「第二次世界大戦」までの日本は「軍部の支配下に置かれた時代」、そして、その後の「約76年間」は「官僚の支配下に置かれた環境破壊の時代」だったものと思われるが、このような状態を、多くの人々は「民主主義」と理解したようにも感じられるのである。しかし、今後は、「デジタル通貨の完全消滅」とともに、「国民の覚醒」が始まり、この時に理解されることは、「資本主義の終焉」や「大自然の大切さ」とも思われるのである。(2020.11.20)
------------------------------------------
トランプ大統領の置き土産
「11月18日」から「12月23日」までの期間は、「暦のフラクタル(相似形)」の観点から、大きな危機意識をもって世界情勢に注目している。つまり、「サブプライム問題」が発覚した「2007年7月」が「11月18日」に相当し、また、「2008年9月」の「リーマンショック」が「12月23日」に相当するからだが、現時点では、「11月19日」に発表された「米国財務省からFRBへの資金返還要求」が、まさに、この要件を満たす出来事だったようにも感じている。
具体的に申し上げると、「2019年の9月17日」に発生した「米国翌日物金利の急騰」以降、米国の「資金の流れ」は、「国民の資金を利用した国債の買い付け」が難しくなるとともに、「民間金融機関への資金提供」も必要とされる状況へ変化を始めていたのである。別の言葉では、「財務省などからの資金提供」を受け、「金融システムの安定」が図られてきたわけだが、このような状況下で、今回の「コロナ・ショック」がもたらしたものは、より一層の「財務省への依存度の高まり」だったのである。
ところが、今回発生した変化は、突如として、「ムニューシン財務長官」が、「11月19日付けの書簡」で「年末までに、4550億ドル(約47兆円)の資金返還を要求した」という事件だったのである。そして、この理由としては、「トランプ大統領の置き土産」とも言える「次期政権に対する嫌がらせ」、あるいは、「財務省の資金繰りがひっ迫した可能性」などが想定できるものと考えている。
つまり、「2008年9月」に発生した「リーマンショック」以降、世界の金融界は、「デリバティブの大膨張」で生み出された「大量のデジタル通貨」を利用することにより、「世界的な超低金利状態」を満喫しながら、「デリバティブバブルの崩壊」という大問題を隠蔽し続けることが可能な状況だったのである。具体的には、ピーク時に存在した「約8京円もの残高」に関して、「世界各国の中央銀行がバランスシート残高を増やすことにより、約2京円もの残高を減らすことができた状況」のことである。
しかし、この方法については、前述のとおりに、すでに限界点に達しており、今後は、「紙幣の大増刷で、すべての借金を棒引きにする」という「古典的なインフレ政策しか残されていない段階」となっているのである。そして、今後、最も注目すべき点は、「デリバティブの時限爆弾が、いつ、破裂し、金利の急騰が始まるのか?」ということであり、この点については、年末までに、事情が明らかになるものと考えている。(2020.11.22)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10372:201216〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。