本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(288)
- 2020年 12月 30日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
2020年を振り返って
「2020年」は、ご存じのとおりに、「コロナ・ショック」に終始した一年となったが、この点に関して注目すべきポイントは、「実体経済」と「マネー経済」との関係性だと考えている。つまり、現在では、「実体経済」と比較して「約10倍」の規模にまで膨れ上がった「マネー経済」に関して、「2019年9月17日」に発生した「米国翌日物金利の急騰」が示すように、きわめて危機的な状況が発生しているものと想定されるのである。
具体的には、「2008年前後に約8京円の規模にまで大膨張したデリバティブ」に関して、今までは、「中央銀行のバランスシートを膨張させることにより、徐々に、残高の減少を図っていた状況」でもあったが、現在では、「徐々に、紙幣の増刷が始まっている段階」に変化しているのである。そして、今回の「コロナ・ショック」については、この変化を、一挙に促進させる効果があったものと考えており、このような状況下で注目すべき点は、やはり、「超低金利状態の維持可能性」とも言えるのである。
つまり、今までは、「金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき状況下で、「ゼロ金利」や「マイナス金利」が実施可能だったわけだが、この理由としては、「国民の資金を利用して、国債を買い付ける状況」が指摘できるのである。しかも、今回は、「コロナ・ショック」がもたらした「実体経済のマヒ状態」により、より一層、「実体経済」と「マネー経済」との「圧力差」が高まったものと想定されるのである。
別の言葉では、「風船が破裂する状況」、あるいは、「津波が陸上を襲う状況」のことでもあるが、現在では、「世界的な価格上昇が、いろいろな商品で発生し始めている段階」とも言えるのである。つまり、「中央銀行の窮状」や「国家財政の悪化」などが、多くの国民に知れ渡った結果として、世界の資金が、徐々に、実物資産へ向かい始めている状況のことである。
そして、この点がはっきりと理解される条件としては、「国債価格の暴落」、あるいは、「デリバティブの完全崩壊」でもあるが、現在では、徐々に、世界的な「資金のひっ迫状態」が姿を現し始めているのである。つまり、「債務不履行」や「破綻」などが、世界各国の、いろいろな分野で発生し始めているが、今後、最も注目すべき点は、やはり、「紙幣はコンピューターネットワークの中を流れることができない」という事実が認識されること、すなわち、「金融界の白血病」が発症する事態だと考えているが、実際には、時間的な余裕がなくなった状況のようにも感じている。(2020.11.29)
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煩悩即菩提のメカニズム
仏教が教えることは「成仏」という「誰でも仏のような存在になれる」ということであるが、この点については、「天爵」と「人爵」の違いも考慮する必要性があるものと考えている。つまり、「天の爵位」という「人間の身分や高貴さ」については、「それぞれの努力で、仏様のようなレベルにまで高めることが可能である」と理解されているが、一方で、「地位や名誉、あるいは、お金」などの「人の爵位」については、「努力よりも運が支配する可能性」が高い状況のようにも感じられるからである。
より具体的に申し上げると、「西暦1200年から2000年まで」の「西洋の時代」においては、「地位や名誉、そして、お金」などの「人爵」が「成功の価値基準」となった時代であり、人々は、どのような手段を使ってでも、目に見える成功を求めようとしたものと思われるのである。つまり、この時期は、「富が支配した時代」であり、最後の段階では、「お金」が「神様」となったものと考えているが、今後、注目すべき点は、やはり、「神から紙への変化」であり、この点については、「いずれ起きるとわかっていながらも、リスクの高さが無視されている状況」のようにも感じられるのである。
ただし、このような「ブラックエレファント」と言われる現象については、「過去の歴史」を遡ると、「明治維新」や「第二次世界大戦」などのように、頻発している状況とも思われるのである。そして、この点については、「煩悩即菩提」という言葉のとおりに、「人間の煩悩」が燃焼された時に、「菩提の智慧」に到達する可能性が指摘できるとともに、「個人の人生」にも応用が可能な状況のようにも感じている。
具体的には、私自身の「心の仮説」において、「頭脳」と「心」と「魂」とが一直線になり「対象物に向かう状況」、すなわち、「ある物事に没頭し、多くの悩みや苦しみを感じた時に、心が魂の奥深くに存在する天や神の智慧に到達する状況」のことである。つまり、「エジソン」や「ニュートン」などが経験した「自然科学の発展に貢献した偉大な知恵の獲得」のことだが、今後は、この方法が「社会科学」に応用されるものと思われるのである。
より具体的には、「軍事力や資金力の奪い合い」ではなく、「人類が、地球上に存在可能な状況を構築する知恵」のことであり、今後は、この点を理解した人や企業、そして、国家が、大きな発展を遂げるものと考えられるのである。つまり、現在の「SDG(持続可能な成長目標)」について、「人類が、どのようにして、技術を利用するのか?」という「自然科学」よりも、「人類の行動」を表す「社会科学」に重点が置かれる可能性のことである。(2020.12.7)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10424:201230〕
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