安倍晋三よ、もう悪あがきは止めて野党の4項目要求に誠実に応えよ。
- 2020年 12月 30日
- 評論・紹介・意見
- 安倍政権政治とカネ澤藤統一郎
(2020年12月29日)
報道によれば、野党4党でつくる「総理主催『桜を見る会』追及本部」は、昨日(12月28日)「桜を見る会」前夜祭疑惑の真相を解明するために、安倍晋三に対して、
(1) ホテルが発行した明細書を提出せよ
(2) 同領収書を提出せよ
(3) 安倍晋三が答弁を訂正したいとする事実と異なる箇所はどこか明確にせよ
(4) ホテルへの支出に見合う費用補てんの原資を明らかにせよ
という4項目の要求書を提出した。回答期限は1月初旬までである。同要求書は、衆参の議院運営委員長にも提出された。
国会内で記者会見した追及本部の黒岩宇洋事務局長(立憲民主党・衆院議員)は、12月25日衆参両院の議院運営委員会で行われた安倍晋三(前首相)への聴取の答弁で、「疑念は晴れるどころか、さらに深まった」「安倍前首相が発言を訂正したいとしている箇所すら具体的にわからない」と指摘。「安倍氏がしらを切るのなら、証人喚問しなければならない」と批判した。
田村智子追求本部事務局長代行(日本共産党・参院議員)は、「要求する4点は、疑惑の焦点である『桜』前夜祭が供応接待にあたるのではないかという核心部分のものだ。安倍氏は資料を示し、まともな説明をすべきだ」と強調。
また、日本共産党の宮本徹衆院議員は、「領収書が出てくれば宛先がわかり、(安倍前首相の資金管理団体である)晋和会の政治資金収支報告書が虚偽記載かどうかがわかる」と述べた。
また、4野党は、真相解明に向け、年明けの通常国会でも追及を続ける方針を明確にしている。
政治資金規正法の主たる立法趣旨は、以下のとおり政治資金の流れの透明化にある。
「議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開…の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することである(規正法1条より)。」
安倍晋三による国政の私物化、安倍晋三による「カネで政治を買い取ろうという汚い行為」の有無を監視するために、安倍晋三がどこから金を調達し、誰にどのように支払っているか、その資金の流れの透明化の確保を、法は要求しているのだ。
主権者国民は、常にこの透明化された政治資金の収支に関心を寄せて、監視し批判の対象としなければならない。
そのためには、
(1) ホテルが発行した明細書を提出せよ
(2) 同領収書を提出せよ
の2項目はあまりに当然の最低限の要求である。なお、1件当たり5万円以上の領収書等は、提出を義務付けられている書類でもある。
(4) ホテルへの支出に見合う費用補てんの原資を明らかにせよ
も同様である。今に至るも、いったい何を隠そうとしているのか。
(3) 安倍晋三が答弁を訂正したいとする事実と異なる箇所はどこか明確にせよ
は、少し趣が異なる。これは、安倍晋三特有の「ご飯論法」による答弁の不明確さ故の釈明要求である。
田村智子のいう「要求する4点は、疑惑の焦点である『桜』前夜祭が供応接待にあたるのではないかという核心部分のものだ」は、まことにそのとおりであろう。
買収・供応等の「カネで政治をねじ曲げる」実質犯を防ぐために、形式犯としての政治資金の透明化が求められているのだ。倫理にも法規制にも反する透明化要求拒否の姿勢は、当然に買収・供応等の「カネで政治をねじ曲げる」実質犯の存在を疑わしめるものと指摘せざるをえない。
安倍晋三の疑惑の追及は、ようやく本格的に始まった。まずは、4項目の要求に対する態度の誠実さを見極めようではないか。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2020.12.29より許可を得て転載
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〔opinion10425:201230〕
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