SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】407 トランプ発言の撤回は可能か?
- 2021年 1月 22日
- 評論・紹介・意見
- アメリカサハラモロッコ平田伊都子西サハラ
「今年、オリンピックは開催しないと思うよ。たくさんのスポーツイベントが中止になりアスリートたちの多くがフラストレーションに陥っている。練習を止めるのがいたり、練習量減らすのがいたり、、この伝染病は様々な分野で大災害をもたらしている」と、サラー西サハラ難民アスリートが一週間前に連絡をしてきました。
東京オリンピック開催が再び検討され始めた1月20日、25,000人の重装備兵隊に守られて、アメリカ大統領就任式が開催されました。 観客がいるべき席には、旗が置かれていました。 そこまで無理してやることなかったのに、、と、外野庶民の呟き、、、
① トランプの不気味な捨て台詞:
先代米大統領はホワイトハウスから追い出される瞬間まで、陽気で賑々しかった。時間
ぎりぎりでチェックアウトしたホワイトハウスからヘリコプターを飛ばせ、アンドリュー空軍基地では軍楽隊がヴィレッジ・ピープル<Y.M.C.A>を奏でるなか、彼にとって最終便となる大統領専用機で素敵な黒装束のファーストレデイーとワシントンを飛び立った。
一方、新大統領は故郷での首都ワシントンに向かう晴れの祭典で泣き出し、晴れ晴れの就任祭典でも、目が終始ウルウルだった。しかし、第47代新大統領には感動の喜びに涙する暇などない。先代が残した難題が山積だ。
先代が独断と偏見で切りまくった手形が、世界中にばら撒かれている。ことに、先代が退陣間際に切った<アメリカ+モロッコ+イスラエルの交換取引>による、<モロッコの西サハラ領有権承認>の発言を巡って、発言死守を目論むモロッコと発言撤回を目指す西サハラが、熾烈な外交抗争を始めた。戦場はバイデン新政権と国連。抗争当事者は海千山千裏取引が得意の成金モロッコ王室と国際正義が唯一の武器である西サハラ、、そのハンディは大きい。
問題の<交換取引>をやった駐本人のトランプは、「私たちが起こした運動は始まったばかりだ。近々に、会おうぜ」と、不気味なバイバイ捨て台詞を残して、一旦、表舞台から姿を消した。。
② <モロッコの西サハラ領有権>承認発言を死守するモロッコ:
1月18日、<モロッコの西サハラ領有権承認>トランプ発言に関して、MWN(モロッコ世界ニュース)がモロッコにとって耳障りの良い情報を集めた。MWN (モロッコ世界ニュース) は、「バイデン新大統領就任式は戒厳令下のアメリカ首都ワシントンで、一般国民の代わりに州兵と秘密警察と首都警備警官に守られて、予定通り強行された」さらにMWN(モロッコ世界ニュース)は、「<day one (初日) には通常一つの大統領令にサインするものだが、バイデンは17の大統領令にサインして、トランプ前大統領の決定を覆した。が、地球温暖化対策協議とWHO脱退の撤回以外には、外交問題の撤回がなかった。バイデンチームは、基本的に国内問題の改訂に向けられている」と、<モロッコの西サハラ領有権>問題が初日撤回リストに乗っていなかったことに、安堵している。さらにMWN(モロッコ世界ニュース)は1月18日のイスラエル紙マーリブの記事を引用して、「予想される新政権の外交政策では、西サハラ問題を蒸し返すことはない。元来、イスラエル寄りのバイデンは、モロッコとイスラエルの国交正常化を歓迎している。従ってその時、交換取引されたモロッコの西サハラ領有権承認は、そのまま黙認されるのでは、、」と、希望的観測を述べている。
そして、MWN(モロッコ世界ニュース)は、ロンドンに拠点を置く<シャルク・アルアウサト>も、「バイデンは北アフリカ地方の安定のために、モロッコの存在は欠かせないと確信している」と、付け足した。
③ 次期米国防長官がトランプ発言の調査を約束:
1月19日、「これ(モロッコの西サハラ領有権承認のトランプ発言)は紛れもなく、よ
り綿密に調べ上げて大統領に報告しなければならない、国際法に違反する問題だ」と、黒人として初めてアメリカ国防長官に指名されたロイド・オースティン陸軍大将は、上院の任命広聴会で、ジェームズ・インフォフェ共和党上院議員の質問に答えた。ジェームズ・インフォフェ議員は、アメリカ上院軍事委員会委員長を務めている。同委員会で、オースティン陸軍大将は故ジョン・マケイン前委員長から、シリア内線の失敗を追及された経験がある。「1975年以来モロッコに占領されている西サハラは、民族自決の国連西サハラ人民投票で開放すべきだ」と、インフォフェ上院議員は主張している。さらにインフォフェ上院議員は、「我々は、民族自決権の国連西サハラ人民投票を支援してきた。1970年代からアメリカも国連もAUアフリカ連合も、さらにアフリカの52か国も、人民投票を支持している。モロッコの西サハラ領有権を承認したトランプ発言は、任命されたアメリカ国防長官が、直ちに検証しなければならない忌々しき問題だ」と、語った。西サハラ難民政府にとって、トランプ発言を撤回する一つの可能性が出てきた。
ロイド・オースティン陸軍大将(1953生まれ)は、陸軍士官学校と大学を卒業した生粋の軍人だ。イラク戦争において多国籍軍団や駐留アメリカ軍の司令官を務めた、ブッシュ政権主導のイラク戦争実行犯だ。オバマ政権下で、2012年1月31日から第33代陸軍副参謀総長に任命された。2013年3月22日からアメリカ中央軍 (CENTCOM)の第12代司令官に任命され、黒人として最初の中央軍司令官となった。オースティンの国防長官指名は、
黒人議員連盟の支持や最高位の軍人としてのキャリアなどが判断材料になったと見られるが、軍需産業の役員を務めていた点が懸念材料として浮上している。
バイデン第47代アメリカ大統領の息子、故ボー・バイデン氏は、イラク戦線に2008年から2009年にかけて従軍していた。時の上司にあたるオースティン大将は、日曜日ごとのミサにボー・バイデン氏と参加していたそうだ。
民衆のいない就任式で「民主主義の勝利」を宣言する祭典は、兵士と民主主義貴族たちだけが参加する寒々とした雰囲気で強行されました。 お年を召した方も若い方も毛布を持参、元ファーストレデイー達はエスキモーの人々のようにゴロゴロに着膨れていました。 よそ者は徹底的に排除し、自分たちだけの民主主義<民主主義ファースト>を謳歌するアメリカ式特権民主主義を見せつけられました。
さて、東京オリンピックの祭典は?、どうなるのでしょうね??
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2021年1月22日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10492:210122〕
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