ハンガリーおよび中欧諸国のコロナ事情
- 2021年 3月 17日
- 評論・紹介・意見
- ハンガリー中欧新型コロナウィルス盛田常夫
ハンガリー(およそ人口980万人)
(1) 水曜日10日の発表によれば、過去24時間の新規感染者数は5,653名、死者は179名(累計16,325名)、病院での治療者8,343名、うち人工呼吸器装着患者833名。1ヶ月前の状況に比べて、新規感染者数、人工呼吸器装着患者数がほぼ倍増しており、病院によっては満床状態になっている。
(2) ワクチン接種は進んでおり、これまで1回目の接種を受けた人数は110万人、2回目の接種を受けた人数は31万7千人となっている。ロシア、中国のワクチン接種を進めていることが、接種率を高めている。また、1回目の接種を早めるために、2回目の接種の間隔を空けている。
(3) ハンガリーは昨年の春に人工呼吸器を28,000台も中国に発注したが、後になって注文数を減らしたと思われる。しかし、その情報は公開されていない。輸入にあたっては政権に近い実業家に輸入商社を設立させたことが報道されたが、その後の情報はない。現在、どれほどの人工呼吸器がハンガリーに積み上がっているかも公にされていないが、機器そのものは充分にあると思われる。現在は機器の不足より、病床や看護師の不足が深刻化している。
チェコ(およそ人口1070万人)
(1) 9日火曜日の発表によれば、チェコにおける状況はさらに厳しく、3月8日の新規感染者数は10,466名、病院での治療者は8,500名、うち重症患者は1,800名とされる。重症患者の一部がドイツの病院へ移送されるテレビニュースが流されている。ハンガリーと同規模の人口のチェコでは、病床が不足する事態になっており、厳しい対応が迫られている。
(2) チェコでは85万人が1回目のワクチン接種を受けており、32万人が2回目の接種を終えている。
(3) 現在のところ、チェコではEUが承認したワクチン接種のみがおこなわれているが、ロシア製ワクチンの輸入が検討されている。
スロヴァキア(およそ人口550万人)
(1) 10日の発表では、前日の新規感染者は3,900名、死者は109名(累計8146名)、病院での治療者3720名、うち人工呼吸器装着患者369名である。
(2) ハンガリーからスロヴァキアに、先週28台の人工呼吸器が贈られた。
(3) スロヴァキア政府は緊急措置として、ロシア製をワクチン輸入したが、連立政権の閣内でロシア製ワクチンに使用に反対する大臣がおり、政治問題になっている。
オーストリア(およそ人口860万人)
(1) オーストリアの公式統計によれば、3月1日から7日までの1週間の新規感染者数は16,291名で、15歳から54歳までの新規感染者が62%を占めている。若い人の感染者が増えていることが分かる。
(2) 現在までの累計死者数8,405名のうち、65歳以上が89%を占めている。
クロアチア(およそ人口400万人)
(1) 中欧3国に比べ、クロアチアの感染状況は良好である。火曜日の新規感染者は491名、死者は12名である。しかし、累計の死者は5,621名とかなり多い。病院での治療者数は785名、人工呼吸器装着患者は78名である。
(2) 感染状況が好転していることもあって、医療従事者のなかでワクチン接種を拒否する人が多く、いまだ56%の接種率に留まっていると報告されている。
(3) クロアチアではEU認可のワクチンのみの接種が行われており、1回目の接種を受けた人の数はおよそ20万人で、2回目の接種を受けた人は63,000人である。
(4) クロアチアの病院には病床の余裕があり、クロアチア首相はチェコとスロヴァキアからの患者を受け入れる用意があると表明している。
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