本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(300)
- 2021年 3月 24日
- 評論・紹介・意見
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パトスとロゴス
「神の国」という著書では、「神と人間との関係性」などが説かれているが、この時に重要な役割を持つのが、「パトス」と「ロゴス」であり、実際には、「精神の直視」や「神の理性」と言われる「ロゴス(ロジック)」と「肉体的感覚」や「動物的本能」と言われる「パトス(パッション)」のことである。つまり、「人間が動物に勝る理由は精神性であり、肉体的なものではない」という説明のとおりに、「人生の目的」や「人間の価値」は、「高貴な精神性」を持つことにあるものと考えられるのである。
また、この点に関して、参考になるのが、「マズローの欲求5段階説」とも思われるが、具体的には、「生理的欲求」や「安全欲求」という「肉体を維持するための欲求」に始まり、その後、「社会的欲求」、「承認欲求」、そして、「自己実現欲求」という「人間社会の内部で発生する欲望」に変化する状況のことである。つまり、「空海の十住心論」のとおりに、「人間は輪廻転生を繰り返しながら、より高い精神性を求め続ける存在」であり、最後には、「成仏」という言葉のとおりに、「誰でも、仏様のような存在になることが可能である」という理解のことである。
より具体的には、「惑乱」と「智慧の完成」という説明のとおりに、数多くの「煩悩」を経験したのちに「菩提の境地」に辿り着くことでもあるが、この点を、人類の歴史にあてはめると、「ヤスパースの枢軸論」のとおりに、「人知では考えられないほどの壮大、かつ、幽玄なメカニズム」が、現在、働いている状況とも言えるようである。つまり、「植物の成長」には「夜と昼の繰り返し」、そして、「季節的な移り変わり」が必要であるように、「人類」や「文明」の成長にも、「東西文明の交代」が必要な状況のことである。
そのために、現在のような「800年に一度の文明交代期」においては、「決して短絡的な結論に落ち着かず、長期的、複眼的、かつ、根本的な思考が求められている状況」だと感じているが、実際には、ほとんどの人が、「お金が無ければ生きていけない」というような「現代社会に特有の価値観」に縛られている状況とも言えるのである。
つまり、これから想定される「金融的な大波乱」、すなわち、「未曽有の規模での大インフレ」については、「悪魔のひき臼」という言葉のとおりに、「最後の段階で、貨幣の価値を崩壊させるとともに、既存の価値観を粉々にする状況」が想定されるのである。そのために、これから必要なことは、やはり、「人知」だけに頼ることなく、「神様は、どのような展開を見せてくれるのか?」を、丁寧に観察することだと感じている。(2021.2.19)
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3万円の日経平均
2021年2月は、「日経平均の3万円越え」が話題の一つとなったが、この理由としては、「30年前のバブル崩壊」が思い出されるとともに、「再び、悪夢が再来するのではないか?」という危機意識が増幅されたからとも言えるようである。別の言葉では、現在の状況だけを切り取って分析する「三次元の経済学」を信奉する人々にとっては、「日経平均急騰の理由」が理解できないだけではなく、「将来の大きな不安感」が強くなっているものと思われるのである。
しかし、一方で、「四次元の経済学」という「具体的な数字で、過去の歴史を分析、研究する方法」を使えば。「1989年の日本バブルが、どのような状況だったのか?」、そして、「その後、世界で、どのようなことが起こったのか?」が簡単に理解できるのである。つまり、「世界の金融システム」において、「マネーの大膨張が、どのような形で進展したのか?」ということでもあるが、実際のところ、「30年ほど前の日本バブル」については、「日本の土地の時価総額が約2500兆円」というように、現在と比較すると、きわめて小さな金額だったことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、「日本のバブル崩壊」以降、世界的に発生した現象は、「デリバティブ(金融派生商品)」という「新たなバブル」であり、金額的には、「想定元本で約8京円」というように、「日本の土地バブルの約30倍」という、人類史上、最大規模のバブルだったのである。しかも、この時に創り出された「デジタル通貨」については、「2008年のリーマン・ショック」以降、「金融のメルトダウン」という形で、「国債」や「土地」など商品に流れ込み、「ミニバブル的な様相」を呈したことも理解できるのである。
そして、現在では、「デジタル通貨」が枯渇するとともに、「紙幣の増刷」が世界的に始まった状況でもあるが、このことは、「金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき「巨額のデジタル通貨が産み出した超低金利状態」が崩壊を始めた状況とも言えるのである。別の言葉では、「世界の中央銀行が協力して、国債を中心にして、市場価格の騰勢が実施されていた状況」に関して、いよいよ、終焉の時が訪れたものと想定されるのである。
つまり、「デジタル通貨」が「紙幣」に交換されるとともに、「金融界のホーキング現象」、すなわち、「マネー経済から実体経済への資金流入」が始まったわけだが、このことは、「古典的なインフレ現象」にすぎない状況でありながら、「史上最大規模のインフレ」を発生させる要因とも考えられるために、更なる株価の急騰を想定している次第である。(2021.2.26)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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