情けない抱きつき外交 -悲劇を通り越した喜劇
- 2021年 4月 26日
- 時代をみる
- スガ外交日米盛田常夫
さる16日の日米首脳による直接会談は20分だったそうだ。昼食用にハンバーガーが用意されたが、菅総理大臣は、「それに手を付けられないほど話に夢中になった」と報道されている。いったい日本のメディアは何を報道しているのか。通訳を交えた20分の会談は実質10分ではないか。菅総理大臣がバイデン大統領より長く発言したとは考えられないから、菅総理の発言時間は5分にも満たないということだ。要するに形だけの会談だったのである。
そもそもこんな短い会談にハンバーガーが用意されたのは、日本側が昼食会か晩餐会に固執した結果だと言われている。昼食会が叶わず、日本側が形に拘った結果がハンバーガーの提供だった。これを喜劇と言わずしてなんと言おうか。外務省は、「昼食会ができなければ、ハンバーガーなど不要です」となぜ言えなかったのか。ハンバーガーの提供によって、図らずもアメリカが日本の首相をハンバーガー程度の存在だと見なしていることが暴露された。アメリカ側の対応が見え見えである。最初から菅首相に何も期待していないが、アメリカ主導で対中国政策の日米共同歩調が示されればそれで良いと言う程度のことなのだ。外向けのポーズとして、我一番にと会いたがっている日本の首相を利用しただけのことだ。ハンバーガー昼食会談を恥と思わない首相官邸や外務省は世界の田舎者だ。
日本のメディアが公開した写真には、官邸が用意した土産物の一部が映し出されている。なぜか大量のチョコレート類が用意された。撒き餌のごとく訪問する事務所に配れば、相手の好意を受けられると考えるのだろうか。これも日本的な発想である。欧州の国では考えられない。
【日本代表団宿舎から運び出される土産品(日テレNEWS24)】
1990年の海部総理のベルリン-ブダペスト訪問時にも、官邸と外務省が用意した土産類が大量に持ち込まれた。いろいろな日本企業に商品提供を催促して用意したようだった。最終訪問地になったハンガリーの日本大使館のホールには、配りきれなかった小物の土産類が山積みされていた。こういう習慣も考え直した方がよい。発展途上国なら喜ばれるかもしれないが、会社の出張土産のような発想で、土産を配るのは止めた方がよい。会社の宣伝に来ているのではないのだから。それよりも、外交方針や独自政策を明確に示すことが肝要だ。しかし、抱きついていればなんとかなるという発想でいるから、独立国としての外交政策を持つことができず、昼食会や晩餐会、あるいは手土産でなんとか体面を取り繕うとする。余りに姑息。そういう卑屈な外交を展開している限り、国際外交で日本が一目置かれる存在になることはない。
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