コンビニ各社よ、ヘイト企業DHCとの取引を見直せ ー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第184弾
- 2021年 5月 14日
- 評論・紹介・意見
- DHCスラップ訴訟コンビニヘイト澤藤統一郎
(2021年5月13日)
この世の不当な差別はなくさねばならない。差別をこととする政治家は選挙で落とさなければならないし、名誉毀損や侮辱に当たる差別的言動は取り締まらねばならない。DHCのごときヘイト体質の企業には、消費者の主体的な選択によって市場から駆逐する制裁を加え、ヘイトの言論を封じなければならない。
DHCの主要な販路の一つとしてコンビニがある。DHC製品を扱っているコンビニには、DHCの差別言論を支えている責任がある。コンビニは、間接的にもせよ差別に加担している責任の自覚はあるだろうか。
セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンをコンビニ大手3社というようだ。この3社ともDHC製品を取り扱っているが、直ちにDHCとの取引停止という意思はないようだ。メディアの取材に対して、おしなべて「現在のところ取扱いの中止などは検討しておりませんが、今後はお客様のご意見などを参考に判断してまいります」という回答だという。はたして、それでよいのだろうか。
「よいのだろうか」とは、企業倫理や経営者の良心に照らしての問いかけであるとともに、経営の合理性から見てもこのようなヘイト企業とは縁を切った方が得策ではないのかという含意がある。
スープストックトーキョーが、やんわりと差別反対の姿勢を示してDHCビールの販売をやめて話題となった。このことで、スープストックトーキョーの好感度はアップし、知名度は爆発的に高くなった。企業倫理としてだけでなく、宣伝効果を考えれば経営戦略としても正しい判断であったろう。
共同通信は、「差別発言を巡り、大阪の人権団体がDHCの取引先へ対応要請」と以下の記事を報じている。
「化粧品会社ディーエイチシー(DHC)のウェブサイトで、吉田嘉明会長名で在日コリアンを差別する文章が掲載されている問題を巡り、大阪市の人権団体が(4月)30日、同社と取引する銀行やコンビニ、ドラッグストアなど30社に対し、DHCに謝罪を要請し取引を停止するよう求める要望書を送ったと発表した。」「NPO法人『多民族共生人権教育センター』や部落解放同盟大阪府連合会などが連名で(4月)29日に送付した。」
DHCだけではなく、DHCと取引する業者もその姿勢を問われる時代なのだ。問題意識なく漫然とヘイト企業と取引していると、DHCの同類と見なされる。そして、その姿勢は最終的に消費者によって審判を受けることになるだろう。
2011年3月国連人権理事会が採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」に次の注目すべき条項がある。
13.人権を尊重する責任は、企業に次の行為を求める。
①自らの活動を通じて人権に負の影響を引き起こしたり、助長することを回避し、そのような影響が生じた場合にはこれに対処する。
②たとえその影響を助長していない場合であっても、取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める。
つまり、①でDHCに「ヘイトの言論を戒める」だけではなく、②では大手コンビニなどDHCの取引先にも、「取引関係によってつながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める」ことを要求しているのである。強制力はないものの、これが国際的な良識のスタンダードなのだ。「取引先であるコンビニ大手にも、問題の是正に向けた責任」を自覚してもらいたい。
とりわけローソンは、企業倫理やコンプライアンスに意識が高いという好印象がある。その「倫理綱領」の中に、次の一節がある。
2-2 高い倫理観に基づいた誠実な行動
私たちは、目先の利益だけを追求するのではなく、結果として当社の利益につながるよう、社会規範や国際ルールを守り、社会が求める倫理に従って行動します。
また、私たちは相手の立場を尊重し、十分に相手の意見を聞き、誤解を与えたり中傷したりしないよう、誠実な行動をとります。2-4 人権の尊重
私たちは、あらゆる場面で接する人々の人権を尊重し、その人の人種・国籍・出身地・性別・年齢・障害・宗教・信条・経歴などで差別しません。
また、ファミリーマートが公開している人権方針の中では、「人種や国籍などによる偏見や差別の禁止」を明記しており、「ビジネスパートナーおよびその関係者の皆さまにも本方針を理解し、支持していただくことを期待すると共に、コミュニケーションや情報共有を深めるなど、協働して人権尊重を推進するよう継続的に働きかけていきます」としている。
また、セブン&アイ・ホールディングスも「お取引先行動指針」の中で「人権の尊重と保護」を掲げ、取引先に対し「直接、間接を問わず人権侵害に加担しないでください」などと求めている。
それぞれ、高邁な倫理綱領をもっているコンビニ各社である。悪名高きDHCと取引ができるものだろうか。
各企業の倫理意識にも期待したいが、最終的には消費者の意識と行動が、趨勢を決める。「#差別企業DHCの商品は買いません」というフレーズを社会の隅々に行き渡らせよう。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2021.5.13より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=16884
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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