コロナ禍での東京五輪中止を課題に明日都議選投票日
- 2021年 7月 3日
- 評論・紹介・意見
- 澤藤統一郎
(2021年7月3日)
明日が都議選投票日。地元文京区の福手ゆう子・共産党候補の街頭演説に出かけた。志位和夫党委員長が応援弁士を務めていた。
文京選挙区は定数2、自民、都ファと共産の3候補が争う分かりやすい構図。激戦・接戦・横一線というのは、誇張ではなかろう。自・都ファ・共の争いというのは、今の首都の政治状況を象徴する選挙戦。
4年前も同じ顔ぶれでの闘いだった。都ファの候補が当時吹いていた風に乗り、公明の支持まで取り付けて、トップ当選した。公明の支持のない自民候補が保守系組織を総動員して2位にすべり込み、共産福手候補はわずか215票差での次点となった。風が左右する首都の選挙の特徴がよく出た結果。
今回選挙では、自民は公明の支持を得ている。とはいうものの、前回は都ファにくっついた公明票、ホントに自民候補の得票に結びつくものだろうか。また、公明に自民支持の大義があるのだろうか。有権者に対する自民候補の魅力はさっぱり見えていない。それでも、政権との結びつきはそれだけで一定の票になる。
都ファの凋落は避けがたいところ。4年前の風は今はない。むしろ、逆風が吹いている。都ファは公明にも見離されている。この都ファ候補が、議員団の幹事長であり、連合の組織内候補なのだ。
福手ゆう子候補の訴えを聞くのは告示日以来だが、驚いた。わずか8日間で、候補者はこんなにも変わるものか。淀みのない、自信に満ちた話しぶり。メリハリの効いた話し方が分かり易い。聴衆に訴える言葉の力がある。余裕を表す身振り手振り。そして聴衆の共感と好感を誘う訴えの内容。気迫と熱意が伝わってくる。
党委員長の応援よりも立派な演説ではなかったか。この福手候補の演説のボルテージは、文京区内を駆け回っての手応えの反映なのだろう。まぎれもなく、ノッているのだ。
志位応援演説は、いつもながらのものだったが、菅義偉への評価が場を沸かせた。
「菅さんには答弁の能力がないんです。私が一問質問すると、さっとお付きの官僚から紙が出て来てこれを読む。次の質問をすると、また次の紙が出てきてこれを読む。国会での答弁くらいは、自助努力でお願いしたい。」
さて、明日。賽の目は、吉と出るか凶と出るか。運次第ではなく、民意次第。
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五輪開催中止を求める新ネット署名
「危険性がますます明らかになっている東京五輪開催の中止を訴えます」
著名13氏が呼びかけ人になっての新しいネット署名が始まった。その署名サイトへのアクセスは、「危険性がますます明らかになっている東京五輪開催の中止を訴えます」をキーワードとする検索で。
署名の開始は、開催が目前に迫る中で、首都圏では新型コロナウイルスの感染が再拡大しつつあり、残された時間が少なくなっている切迫感に突き動かされてのことだという。インターネットサイト「Change.org」で昨日(3日)朝から開始。菅義偉首相、国際オリンピック委員会(IOC)、日本オリンピック委員会(JOC)、小池百合子都知事らに対し、五輪中止を求める内容。
要望書では、五輪の「安心安全」をどう実現するのかについて国民が納得いくような説明がされていないこと、首都圏でコロナの感染者数が再拡大する傾向にあること、ワクチン接種率が低いことなどを問題視。「日常生活の抑制を求めながら、コロナクラスターを無数に作る可能性を秘めた五輪開催を強行しようとする不条理」への怒りが深くなっている、と指摘する。
主催者が「開催ありきで、市民の間には今さら何を言っても無駄だと無力感が広がっている」なかで、「切迫した時期だからこそ、最後のチャンスと考え、あえて言うべきことを言っておきたい」として、「歴史的暴挙ともいうべき東京五輪が中止されること」を求めている。 (朝日から)
署名の呼びかけ人と賛同者は以下の通り。(50音順)
◆呼びかけ人
浅倉むつ子さん(法学者)、飯村豊さん(元外交官)、上野千鶴子さん(社会学者)、内田樹さん(哲学者)、大沢真理さん(東京大学名誉教授)、落合恵子さん(作家)、三枝成彰さん(作曲家)、佐藤学(東京大学名誉教授)、澤地久枝さん(ノンフィクション作家)、田中優子さん(前法政大学総長)、春名幹男さん(ジャーナリスト)、樋口恵子さん(評論家)、深野紀之さん(著述家)
◆賛同者
高橋源一郎さん(作家)、三浦まりさん(政治学者)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2021.7.3より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=17139
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion11076:210703〕
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