こいのち通信(世田谷こどもいのちのネットワーク通信) 2021年6月
- 2021年 7月 4日
- 交流の広場
- 星野弥生
梅雨に入ったと思ったら、台風、ですか?雨と思えば、晴れるし、予報が追い付かないほど、気候は変動しているんでしょうか・・・。もう一年の半分が終わってしまいますね。月刊で出そうと思うと、同じことを繰り返してしまいそう。それくらい、状況が変わっていないようですね。
オリンピックを中止、あるいは延期すべきとする人が60%、と28日の朝日の世論調査。どう考えても無理でしょう。開会まで一か月ないのに、東京の感染者は増え続けています。ワクチンでなんとかしよう、といっても間に合うわけがない。だいたい、変異株ではワクチンの効き目だって怪しい。要するに、外から来る人たち、ワクチン打ってきてくださいね、といったところで、何の保証にもならないです。今は壮大な人体実験を世界規模でやっているのですから。信頼すべき人たちは、オリンピックをやったら感染は確実に増える、と言っています。これでも、「世界が新型コロナという大きな困難に立ち向かい世界が団結して乗り越えることが出来た」とおっしゃるんですか?スガさん。多くの人が、太平洋戦争が繰り返されているようだ、とコメントしています。根拠のない精神論を振りかざして、神風が吹いてくれる、なんて思っているんでしょうか。誰も、ちゃんと責任をとる、といわない日本の政治、社会。無謀な戦争の果ての敗戦に何も学ばなかったことのツケがまた回ってきた感じです。反対の声を無視し、開催する根拠を科学的に示すこともなく、「やればできる!」みたいな、竹やりをもってのぞんだ結果の責任、取ってくださいね!
そして前回も書きましたが、子どもたちをオリパラに動員する(といわずに、学校連携観戦、と言ってます)という、まるで戦時の「学徒動員」。教育長、区長に中止の申し入れをしたことはお伝えしたとおりです。区内の11の団体で(もちろん、こいのちを含みます)、6月17日に区長に直接会って改めて要請しました。「現状では大変難しい。無理でしょう」というのが、区長の考えでした。その後の定例記者会見でも同じようなコメントでした。「こどものいのちにかかわる問題なので、早く決定してください」と口々に言ったのですが、教育委員会がなぜか、ガンと立ちはだかっています。口では「こどもたちのことが最優先です」というのに。それは、「安心安全を第一に考えて」としかいわない総理大臣と同じです。目黒も文京も、教育委員会が中止を決定し、千葉、埼玉、神奈川の多くの自治体でも中止を決定、とニュースでも大きく取り上げていました。世田谷がトップを切って決めてほしかった・・・と思う、身びいきの私たち。当てが外れて、がっかりを通り越して、怒っています。現場の先生たちは振り回されています。学校ごとに決定を任されるのでは、校長先生もたまったものではありません。これは、「子どものことを考えて」区教委が決定すべきこと。オリンピックを開催する根拠もないですが、この「学徒動員」は、観戦ではなく感染、とシャレている場合ではない。ほんと、熱中症の心配ももちろん。炎天下でのバスでの移動、観戦は屋外。考えただけで、ゾッとします。改めて、教育委員会の問題性を突き付けられた感じです。
怒ってばかりいるわけにはいきません。前号で予告しましたが、7月11日に「2021年度こいのち総会」を行います。去年は、7月が難しく9月に延期しましたが、今年は状況が好転することもないでしょうから、7月にしました。その理由の一つは、4月30日にズームで行った「GIGAスクール構想」をめぐる学習会がとても内容の豊かなもので、ぜひ続きを、という声が大きかったので、「熱いうちに鉄を打とう」と思ったのです。前回と同じく、保坂さん、坂井先生が参加してくれます。そしてもう一人、吉澤卓さんも! 5月15日に教育委員会主催で行われたがげんオンラインのGIGAスクールに関するオフィシャル・セミナーには保護者として登壇(というのか)、保坂さんの政治スクールでは「学びを変えるデジタル教育とは」で、コロナで全国一斉休校以後、途方に暮れた保護者たちからアンケートを取って、教育委員会に提言をした、という経験など、熱く語ってくださいました。「世田谷公教育におけるICT利活用を考える会」代表、とは今回の学習会にピッタリの方です。「追及」ではなく「提案」によ、区と協働し、変革をしていく、というのが素晴らしい。ちなみにアンケートには1500人以上の父母が記してくれたそうです。その人をゲット!しました。
総会は、一応、ボランティアセンターにも集まれますが、基本的にはズームで行います。アナログ主流の「こいのち」としては、これでも長足の進歩です。確かに、世田谷まで出てくるのは大変な方(まして、コロナですから)、体調がイマイチの方、時間が取れない方、などなど、都合に合わせることができる、というのはメリットですね。でも、ズームはできない、だれかに会いたい、とおっしゃる向きは、どうぞリアルでご参加ください。今回は、まず1時ごろから3時ごろまで「GIGA」学習会、これはどなたでも参加できます。その後、3時半ごろから、総会という本来のプログラムです。会員の方、ぜひご協力を。 (星野弥生)
GIGAスクール構想とはなにか? 第二弾へ!
4月30日の学習会は、GIGAスクールという、聞きなれない言葉がなんなのかをまず知ろう、と企画したのですが、それは単にいままでの授業の仕方が変わる、ということにはとどまらず、いろいろな可能性を秘めたものでもあり、また、現場ではまだまだ課題が山積みで、丁寧に取り上げていかないと、本当に教師も子どもも親も混乱するだろう、ということもわかりました。続きをぜひ!という声が多かったので、再度企画しました。まずは、前回とてもわかりやすく「GIGA」を説いてくださった坂井岳志先生からの「いざない」です。
【GIGAスクール構想は学校を変革できるのか、それとも・・・】
墨田区立八広小学校講師 世田谷区立八幡小学校学校支援コーディネーター 坂井 岳志
先日、保坂区長、そして区民の皆さんと話し合われたGIGAスクール構想。この政策は世界でも例がなく、この借金だらけの日本で5千億円をかけて導入された。その根拠は令和2年に文科省の初等中当局から出された「教育の情報化 ~GIGAスクール構想の実現~ 」にこう書いてある。
「子供たち1人1人に個別最適化され、創造性を育くむ教育ICT環境を」
「~内閣官房及び3省が連携して令和時代のスタンダードとして学校ICT環境を整備し、公正に個別最適化され、 AIに代替されない創造性を育める学びの場の実現へ~ 」
さて、これをどう解釈すればいいのだろう。また学校現場としてはこの提案を実現することにどう対応しているのだろうか。そして保護者や地域の方々はこれをどう捉えていったらいいのだろうか。私自身は政治家や官僚の思惑とは別に、旧弊からなかなか逃れることのできない学校を変えるひとつのチャンスとして捉えていますが、皆さんはこれをどのような方向に持っていったらいいと思いますか?共に考えてみませんか?
【急なお願いにもかかわらず参加を快諾してくださった、若林小学校の保護者であり、「世田谷公教育におけるICT利活用を考える会」代表の吉澤卓さんが、保坂さんの政治フォーラムで語られたことの中から、学習会への備えになるような部分を少し紹介させていただきます。いわば、予習。きっと、当日が楽しみになるだろうと思います。】
2020年3月に、当時の安倍首相から突然発せられた「全国一斉休校」。コロナ禍で起きたことは、子どもと先生が音信不通になってしまったことでした。週一回プリントを取りに学校に行き、プリントを渡されるだけ・・・。学校のホームページをみてください、と言われてもURLがない!
学校は子どもが来ないと何もできないところなんです! 全国各地で保護者が動きだし、世田谷でも何かやらなければ、と思い、保護者としてアンケートフォームを作成し、発信したら、1500通ものアンケートが集まりました。親たちは先生からの連絡がなくて不安でした。でも、学校の電話は二回線しかない! ユーチューブも学校のパソコンからは視聴できない! ズームも学校ではほとんど実施されていませんでした。個人情報保護という問題がいつもあります。
わかったことは、学校はとても遅れている、ということです。1521通のアンケートの結果を区長、教育長に渡しました。99.6%とほぼ全員が公教育におけるICT利活用に賛成していました。
「教育における、個別最適化」というのが教育の目的で、そのためのツールがデジタル。インクルーシブな公教育の新しいスタンダードにもなります。すでにホームスクーリングなども行われており、学校とうまくマッチングできない子どものことを考えるとこのツールは役に立つでしょう。学校の枠を超えるので、学校へ来なくてはいけない、ということがなくなる、どんな子どもにも教育の機会が保証される、ということになるのではないか、と提案しました。
2020年7月25日には、世田谷ものづくり学校で、教育長も参加したICTについてのライブ配信をしました。ICTのCはコミュニケーションです。
「学校を変えるデジタル教育」については、まだ環境が整っただけですが、世田谷はかなり野心的です。親は不安になるかもしれませんが、将来の学びの拡充を念頭におき、制約が少ない端末設定になっていることには希望が持てます。
タブレットは先生が教える道具ではなく、あくまでも子どもが学びの主役になるための文房具です。教員の役割も変化してきます。「指導者ではなく、支援者へ、一人ひとりに寄り添うサポーターに」。学校に行く=教育を受けるという既成概念をも変えるでしょう。学校の内側が変わるめどはまだたっていませんが、先生が現場を作っていくことができるようにならなければなりません。これについてはこれからどうなるか、正直わかりません。保護者、教員の「デジタルシチズンシップ」を早急に形成していくことが大事です。子どもの視力が心配なら、画面を見せないのではなく、ちゃんと見る、どうしたら負担が少なくなるかを考えることなどもデジタルシチズンシップになっていくでしょう。学校運営があまりにも遅れているのを、進めていかなくてはなりません。
教育のDXは 学校中心から学習中心へ。
目の前の子どもたちをケアする先生たちが変わる方向に向かっていってほしいと思います。
学びを変えるための、フィードバック・グループづくりが急務(教委・学校・教員・保護者・地域)
これまでの上意下達ではなく、水平展開型のリアルタイムでの情報共有プラットフォームの整備。
ICT支援者ではなく、モデレーター・ファシリテーターに。
デジタルの話を逸脱していますが、教育委員会の方には、自分の言葉で語りかけてほしい。気持ちがあることはわかるけれど、5月のオンラインセミナーの画面の中での言葉では、伝わらないでしょう。先生にも私たちにも届く言葉で語ってほしいと願っています。 (吉澤 卓)
4月30日の「GIGAスクール構想とはなにか?」を聴いて
GIGAスクール開始に先立って貴重な講演会でした。
これから実際に教育現場で実施するにあたり教師も、父兄も、子どもたちも 不安が多くあるのだろうと察します。タブレットを使い 子ども一人一人に対応し、反応を把握していくには 今のままのクラス人数で対応できるのでしょうか。機械が介入することに於いて、たくさんのメリットがあると思います、それを引き出すのに教師と生徒の信頼関係が増々必要となるのではと思います、双方が心地よい環境を整えることが出来たらよいですね。
私たちが受けていたような一人の先生が最初から最後まで話している授業ではなく、いろんな先生が入ってきて、最後は子どもたちが主導権をとるなんて、すばらしいですね、でも、面白い先生だと ずっと話をききたくなります!そんな先生の中にはICTに強いひとも そうでない人もいらっしゃるから、準備も並大抵ではないでしょうね、保坂区長の前向きな姿勢は きっと後押ししてくれることと頼もしく拝聴しました。
世田谷発のアートスクールもいいですね。楽しみですし、必要です。 (飯田 光代)
*****2021年度世田谷こどもいのちのネットワーク総会*****
7月11日(日)13時~ 世田谷ボランティアセンター二階会議室&Zoom
13時~15時 第一部:デジタル社会に囲まれたこどもたち」(GIGAスクール構想を再び学び、考えよう) 話し手:坂井岳志さん、保坂展人さん、吉澤卓さん
15時半~16時半 第二部:総会 2020年度活動報告 2021年度活動方針、など
★Zoomを希望される方は、前日までにメールでお申し込みください。URLをお送りします。(fsbttoru@yahoo.co.jp (高橋) marzoh@gmail.com (星野))問い合わせ:星野弥生まで 070-5554-8433
*****いろいろ告知板*****
★「もっと語ろう不登校 part. 258 7/10(土)2pm~ atフリースクール僕んち
ZOOM参加もできます。 fsbttofu@yahoo.co.jp までご連絡ください。
★「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」7月25日集会
講演:法制審・親子法改正中間試案について 二宮周平さん(立命館大学教授)
1時半~4時半 会場未定
こいのちで情報共有している世田谷での「婚外子差別」事件を解決するためにも、ぜひご参加ください)世田谷からも連帯の発言をする予定。(なくそう戸籍と婚外子差別・交流会主催) (連絡先:0422-9—3698)
★ せたがやチャイルドライン 「子どもにどう関わったらいいんだろう…」を考える
7月4日(日)12時~15時 東京都市大学二子玉川夢キャンパス
第一部12:00〜12:50 オンラインチャット事業報告会「子どもの声を聴くということ~せたがやチャイルドライン・チャット事業開始から一年を振り返って」
コメント:森郁子さん(NPO法人きづく代表)・宮川哲弥さん(東京都市大学准教授)
第二部13:00~15:00 ワークショップ ファシリテーター:森郁子さん(NPO法人きづく代表)「たたかない・怒鳴らない子育て~ポジティブ・ディシプリン体験プログラム」
参加方法:①zoom ②集合形式 東京都市大学 二子玉川 夢キャンパス(第2部参加の方24名)参加費 無料
申し込みは メール:childline@otagaisama.or.jp FAX:03-3410-3811
★羽根木プレーパーク リーダーハウ建て替えのためのクラウドファンディング開始!
30年の間、子どもたちを見守り続けてきたリーダーハウスが来年新しくなります! そのためのクラウドファンディングが始まりました。みんなのプレーパーク、みんなで応援しましょう!区内の方にはチラシを同封しますので、ぜひぜひご協力を!そして広めてください。
★子どもの権利条約ネットワーク代表の喜多明人さんから届いたメールでの案内です。こいのちもぜひ、賛同したいと思います。
〇子どもに関する新たな省庁創設の議論に関する共同声明
広げよう!子どもの権利条約キャンペーン 2021 年 6 月 15 日
「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」は、子どもの権利条約の国連採択 30 年・日本批准 25年にあたる 2019 年 4 月に設立されました。14 団体が実行委員会を構成し、多数の賛同団体(2021 5 月25 日現在 136 団体・個人)と協力しながら、日本社会において「子どもの権利」の概念が浸透し、国、自治体、家庭などのあらゆるレベルにおいて、子どもの最善の利益が確保されることができるような社会状況をつくることを目的に活動しています。 共同代表=荒牧重人(子どもの権利条約総合研究所代表・山梨学院大学教授)/喜多明人(子どもの権利条約ネットワーク代表・早稲田大学名誉教授)/甲斐田万智子(国際子ども権利センター(シーライツ)代表・文京学院大学教授)
詳しくはキャンペーンのホームページをご参照ください。https://crc-campaignjapan.org/
★星野弥生の気功教室:毎月第二、第四金曜5時半~7時20分(経堂)、毎月第二、第四日曜日の10時~12時(代々木公園)などでの、誰でもできる気功です。よかったら元気になりに来て下さい。コロナには、まず免疫力をつけることが一番。詳しくはインターネットで「気功学習室」をごらんください。(問合せ 070-5554-8433 星野弥生)
世田谷こどもいのちのネットワークの仲間になってください。つうしん、お知らせが届き、講演会などの参加費が無料になります 年会費3000円
(こいのち事務局)連絡先:星野弥生 Tel&Fax 03-3427-8447 070-5554-8433 email:marzoh@gmail.com
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