ルネサンス研究所(8月定例研究会)のお知らせ
- 2021年 7月 20日
- 催し物案内
- 中村勝己
テーマ:「デヴィッド・グレーバーを追悼する」
昨年9月、世界が新型コロナ・ウイルスの流行に晒されていたさなかアナーキストで人類学者のデヴィッド・グレーバーが亡くなりました。享年59。グレーバーは人類学の知見を活用しながらグローバル金融資本主義に対抗するための理論構築を目指しました。2008年の洞爺湖サミットや2011年のオキュパイ・ウオールストリート(OWS)の運動に積極的に参加する活動家でもありました(特にOWSでは中心的役割を担ったとされる)。
主著とされる『負債論――貨幣と暴力の5000年』(邦訳刊行は2016年、以文社)、『官僚制のユートピア』(邦訳刊行は2017年、以文社)、『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(邦訳刊行は2020年、岩波書店)は、グローバル金融資本主義の支配と病理に対してどのような分析と批判を加えているのでしょうか。きちんと受けとめて検討する必要があります。
今回は日本におけるグレーバー紹介の第一人者であり『自由論』や『暴力論』で新自由主義の統治に対抗する理論を構築してきた酒井隆史さん(大阪府立大学教員)を招いてオンライン形式の定例研究会を開催します。
新型コロナ・ウイルスの新規感染者がなかなか減らないなか東京五輪・パラリンピックの強行に見られる「日本型祝賀資本主義」の暴走を前にして、私たちは現代世界をどう捉えどのような対抗軸をたてるべきなのか。酒井隆史さんと議論をしましょう。すでにグレーバーを読んだことがある方も、これから読もうと考えている方も、どなたでも参加を歓迎します。
日 時:8月10日(火)18:30開始(3時間弱)
報告者:酒井隆史さん(社会思想史・都市史・都市文化研究)
会 場:オンライン研究会(参加予約を頂いた方に招待メールを送ります)
資料代:500円(支払方法については後述)
人類学者デヴィッド・グレーバーは、 おそらく新世代の左翼知識人としては破格の存在であり、これまでマルクスとポストモダン思想の圏域で閉塞していたラディカルな知的風景を、圧倒的勢いで変えていこうとしていました。そのような知的冒険の最中での訃報は、もちろんわたしだけではないし、研究者だけでもない、世界の多くの闘う人々を落胆させました。もちろん、「英雄的知識人」に理論的指導を求めるといった態度を最も嫌悪していたのも、このアナキスト知識人でした。なので、そう落胆もしていられません。かれの遺産を各自発展させていかねばなりません。せっかくの機会なので、いくつかの論点をみなさんと深く突っ込んでみたいとおもいます。・グレーバーのアナキズムとはなんなのか? ・その資本主義認識について ・マルクス主義とアナキズム ・とくにかれの最後の問題設定、考古学者との共著による人類史の書き換えが、われわれの世界認識や変革のヴィジョンになにをもたらすのか? こういった論点にふれたいとおもいます。(酒井隆史)
(1)今回もオンライン研究会です。ご参加を希望される方は、次のメールアドレスに「参加希望」と書いたメールをお送りください。renaissanceinstitutetokyo@yahoo.co.jp 折り返し「確認メール」をこちらからお送りします。
(2)今回は参加費を頂戴します。参加費の払い込み方法については、上記アドレスに参加申し込みメールを送っていただいた方に折り返し返送する「確認メール」に書いてあります(「Paypalを使ったネット決済」か「ルネ研の銀行口座への払い込み」かどちらかをお選び下さい)。
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