▼「核の先制不使用」に反対しないで 日本の8政党あてに公開書簡▼
- 2021年 9月 11日
- 評論・紹介・意見
- 大井 有
広島や長崎の市民団体など22の団体と個人44人は7日、日本の8政党の代表者
に宛てて、米バイデン政権が検討しているとされる核の先制不使用宣言に反対
しないよう求める公開書簡を送った。
日本はロシア、中国、北朝鮮と核兵器保有国に囲まれている。
ミサイルが発達した今日、核搭載のミサイルが、政治・経済・社会の中心地
を攻撃する時、正確な着地点は誰も予測できない。かつ発射時も把握できない。
核搭載ミサイルの軌道計算ができない。軌道計算が出来なければ迎撃出来ない。
この状況下、核兵器を使用しない国際約束を行うことは、日本の安全保障上極
めて重要である。
日本は核不拡散条約に加盟した時、核保有国が核を保有しない国への攻撃を
しない条約を作るために動いた。
核の先制攻撃を使わない国際約束をすることは日本の安全保障上極めて重要
である。
では今日、核兵器の先制攻撃を行うことを基本政策にしているのはどこか。
米国である。米国はベトナム戦争など海外で戦争を行い、通常戦で不利になる
と、核兵器使用をほのめかす。
そして日本政府はいつの間にか、本来日本にとって有利なはずの核兵器の先
制攻撃を禁止する動きには参加せず、逆にこの動きを止める側に立って動いて
きた。日本の対米隷属が如何に国益を害するかを示す典型例である。
A-1 事実関係:「核の先制不使用」に反対しないで 日本の8政党あてに公開
書簡
広島や長崎の市民団体など22の団体と個人44人は7日、日本の8政党の代表者
に宛てて、米バイデン政権が検討しているとされる核の先制不使用宣言に反対
しないよう求める公開書簡を送った。
バイデン政権は来年策定する「核態勢の見直し(NPR)」で、「米国は先には
核兵器を使わない」「米国の核兵器の唯一の目的は、核攻撃を抑止し、必要と
あれば報復すること」とする宣言を検討中と報じられている。公開書簡は「日
本の反対のためにこの宣言が断念されることになれば、国民の多くは驚き、怒
るだろう」としている。
書簡を呼びかけたのは、「核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会」(朝長
万左男委員長)▽「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(森滝春子共同代表)
▽NPO法人「原子力資料情報室」など5団体と、NPO法人「ピースデポ」の梅林宏
道・特別顧問や鈴木達治郎・長崎大教授ら5人。これに17団体・39人が賛同署名
している。
核の先制不使用宣言をめぐっては、日本政府の高官が今年4月に反対の立場を
表明したことを受けて、長崎原爆の日の8月9日、米国科学者連盟やウィリアム
・ペリー元国防長官ら米国の26の団体・個人が、懸念を示す公開書簡を日本の
各政党の代表者に送った。「核攻撃を受けた唯一の国で核廃絶を唱えてきた日
本が、この小さくても重要な一歩を阻止することになれば悲劇的だ」と指摘し
ており、今回の日本側の公開書簡はこれに呼応した。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion11284:210911〕
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