衆議院選挙最終選挙結果の感想
- 2021年 11月 3日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
2021年の衆議院選挙の最終選挙結果。 反自公の立場に立つ者にとり期待外れに終わりました。 反面、自公政権にとっては、聊か予想を外れた勝利とも言えましょうか。
ただ、筆者にとっては予想どおりのものとして何の驚きもありませんでした。 その理由を以下に述べます。
その一は、自民党のお家芸とも言える「似非政権交代」の「演出」が成功したことがあります。 バブル崩壊時代までは、マスコミを含めて自民党内各派閥の争いに耳目を集中されて肝心の政党間の争点が曖昧になり選挙戦までに決着が着いている場合が相当数存した、との印象があります。 同様に今回の選挙は、選挙前に時の首相が交代する始末でしたので余計に「投票に行く国民」の耳目が引き寄せられた、と観測しています。
加えて自身の観測ですが、立憲と共産との野党共闘が選挙戦前に連合の横槍に依る不完全、且つ不信感が漂う、疑義のあるもの、となった、と思われます。 この点については敗戦に関わる事由としては軽度である、との観測も存しますが、同意出来ません。
それは、労働組合運動の根幹に関わる基本的な不一致が「連合」と「全労連」(全国労働組合総連合)との間には存するからです。 一言で言えば、労働運動のナショナル・センターに関わる主導権争いに関わります。 勿論のことに政治的には自公政権に抗うことに相違はありませんが。
「全労連」の側には共産党支持者が多数であることに基づいて野党共闘に反対者は殆どいないと思われますが、連合には「反共」の立場に立たれる方々が多数である、と観測していますし、マスコミの報道に依れば、私の観測が裏付けられる、と信じています。
従って、各政党支持者側から見れば、それも特に立憲支持者側から見れば政権を視野に入れた共産党を含む野党共闘は出来ないものと思われます。 一言で言えば、連合が癌なのです。
さて野党共闘不発に終わる、との自身の予測は、少数党林立にも基づいています。 立憲そのものが「民主党」から別れたものですし、「れいわ」と「社民」等の「党」は議員が一人から数人止まりであり、何方を向かれているのか分かりかねる「国民民主党」が存し、更に他に「ゆ党」の「維新」も居られる始末で、それぞれの候補を選別するのが可成り難しい始末です。 その中では、過去から現在まで存在感(?)の光る自民が群を抜いたものとも言えるのではないのでしょうか。
勿論のことに野党共闘を追求することに異存はありませんが、今回のように政党間の合意点が不分明のままに烏合の衆の如く「共闘」されるのは各政党支持者に対する裏切りではないのか、とも思われます。
ただ、現下の我が国の如く、一強多分立の政党状況では何時になっても自民党に代わる政権は出来ないのではないか、との思いがしています。
現野党間の協力も今回の如く中途半端では、仮に政権奪取が叶っても早期に政権を投げ出す始末に追いやられる、との危惧を払拭出来ません。
結論的に言えば、現状での現政権に代替可能な政権の樹立は難しいものと思われます。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion11451:211103〕
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