東北フォーラムホームページNo.5 井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報No. 18
- 2021年 11月 18日
- スタディルーム
- 井上合金事件大村泉東北大学
新着情報 No.18 2021年11月18日
新着情報 No.17でご案内している11月29日開催のOnlineシンポジウム「深く広がる日本の研究不正 —『競争的環境』が生み出す没個性のお粗末な不正」の予稿集が仕上がりましたのでお届けします。 →予稿集はこちら
予稿集に収録された各講演の骨子は下記のとおりです。
第1講演では、「名誉回復と不正を繰り返さないために、今、東北大学がやるべきこと」という演題で、井上明久東北大学元総長の研究不正問題が取り上げられ、同元総長の不正研究で傷ついた東北大学の名誉回復と不正を繰り返さないために、同大学の執行部が何をなすべきかが提案されます。
2016年12月に東北大学は極めて明白な井上元総長の研究不正を不正認定しませんでした。翌2017年に、当該論文を掲載した日本金属学会欧文誌の編集委員会は、この東北大学の本調査委員会の報告を追認する声明を発出しました。しかし、2019年に、同学会の欧文誌編集委員会は、この同学会の元会長ら6名の要請を承け、2017年の同編集委員会による追認声明を取り消して、同学会の「事業に係るミスコンダクト対応規程」に基づき、元総長論文のミスコンダクトを認定し、同学会欧文誌から当該論文を含む3報の論文撤回を公告しました。そして本年、2021年春には、井上元総長の当該研究が実施された東北大学金属材料研究所教授会が、この日本金属学会欧文誌編集委員会の新たなミスコンダクト認定を承け、公式HPで研究不正を二度と繰り返さないという強い意志を宣言しました。
講演者の東北大学名誉教授、齋藤文良、矢野雅文両氏は、こうした一連の経緯に深く立ち入り、これらを踏まえて東北大学がいまなすべきことを提案されます。
第2講演では、「教育学系学術論文に見られる多重投稿・自己盗用」が取り上げられます。演者の岩手大学准教授の三井隆弘氏は、ここで、最近全国の教員養成学部・教職大学院で発行されている学術雑誌所収論文にしばしば指摘される多重投稿・自己盗用(二重投稿)を類型化し、その背景を解明されます。以前、齋藤・矢野両氏が井上元東北大総長の二重投稿について批判解明し大きな話題となったことがあります。そこで指摘された二重投稿の類型と三井氏が明らかにされた類型に酷似しているのが見受けられること(金属Vol.86, No.5(2016), p.445-450.pdf (google.com)、またこうした問題投稿をする関係機関の研究者の数と広がりに驚かされます。三井氏が「着想と結果の盗用が疑われる紀要論文に遭遇」し、これを当該大学に通報したところ、その「研究倫理委員会」の回答では、通報者は(三井氏は)、「報告書」との関係で「盗用」を指摘するが、論文著者は「Webサイトの調査結果を整理し提示したもので」、「調査対象が異なっており、盗用には該当しない」とされていたそうです。絶句しました。
第3講演では、「ジャーナリストの著作を研究者が“盗用”しても不問なのか?中京大と大内教授の詭弁」という演題で、現在、著作権法違反で裁判になっている中京大学大内裕和教授による盗用問題の経緯を、大内教授から著作物を盗用された当事者のジャーナリストの三宅勝久氏が、関連テキストの画像データも含め、詳細に取り上げられています。三宅氏は、問題が発覚した直後、大内教授に説明を求めたところ、教授は「盗用・剽窃ではないとして非を認めることを拒否」、そこで「中京大学に研究倫理違反で告発したが、同大学予備調査委員会は、本調査不要として告発を門前払いした」といいます。この結果、三宅氏は訴訟に訴えざるを得なかったそうです。三宅氏の一番の驚きは、大内教授の行為は「ジャーナリストの世界では一瞬にして信用を失うような露骨な盗用・剽窃」であるにも拘わらず、「学者の世界で不問にされている実態を目の当たりにすることとなった」ところにあります。
◆連絡先
E-mail:kagakushinrai(a)gmail.com ※(a)をアットマークで置き換えて下さい。
(科学信頼)
◆参加ご希望の方は、上記メール宛ご一報下さい。
折り返し、シンポジウム参加のためのURL等についてご案内します。
初出:「東北フォーラムホームページNo.5 井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会」より許可を得て転載:forum.tohoku5th (google.com)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔study1193:211118〕
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