本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(335)
- 2021年 11月 27日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
コロナショックとハイパーインフレ
歴史を研究すると、人知では全く理解できない現象に数多く遭遇するが、昔の人々は、このことを「神の計らい」と呼んだのではないかと感じている。そして、この点に関して、現在、私自身が感じていることは、「コロナショック後に予想されるハイパーインフレ」に関して、きわめて単純なサイクルが存在する可能性である。つまり、「戦後の26年サイクル」において、最後の段階で、「実体経済のマヒ状態」を意味する「コロナショック」が発生し、その後、「マネー経済のマヒ状態」を意味する「ハイパーインフレ」が発生する可能性のことである。
しかも、今回は、「2023年8月前後に、大インフレがピークを付ける可能性」も想定しており、その後は、「混乱が収まった国々から、徐々に、量子力学や分子生物学などの新たな理論が芽を吹きだす可能性」、あるいは、「核融合などにより、新たなエネルギーが確保される可能性」などが期待されるものと考えている。別の言葉では、「実体経済の約10倍」という規模にまで膨らんだ「マネー経済」が、適正な水準にまで収縮した時に、現在の「世界的な金融大混乱」が収まる可能性のことである。
より具体的に申し上げると、「2019年9月17日」が、実際には、「金融大混乱の始まり」だったものと思われるが、この時に発生したのが、いわゆる「コロナショック」であり、この結果として発生した現象が、「実体経済のマヒ状態」だったのである。つまり、世界中の人々の興味と関心が、「実体経済の縮小がもたらすデフレ効果」に向かったために、「マネー経済の問題点」が隠された状況だったようにも感じられるのである。
しかし、約2年という期間を経て、現在では、「世界的なスタグフレーションやインフレ」が危惧される状況となっているが、今後、最も注目すべき点は、「マネー経済のマヒ状態」、すなわち、「金融界の白血病」という「紙幣の増刷により、デジタル通貨が役に立たなくなる可能性」だと考えている。つまり、「デジタル化の弊害」としては、「数字の二重構造」が理解されていない点が指摘できるが、実際には、「お金には、表面上の数字の他に、根底の信用が隠されている事実」である。
より詳しく申し上げると、「便利さ」や「効率性」を求めた現代人は、「デジタル数字」という「お金の表面的な現象」だけを有効活用したものの、その結果として大膨張した「数字のマネー」には、「信用」という最も重要な部分が失われてしまったために、今後の2年間は、世界的に、この事実が認識されるものと感じている。(2021.10.16)
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金融界のホーキング放射
現在の「ミートショック」や「ウッドショック」などと呼ばれている現象は、1970年代に発生した「オイルショック」を彷彿させるような状況となっているが、一方で、具体的な数字で把握した「金融システムの現状」から言えることは、「インフレの規模とスピードに天地ほどの違いが存在する可能性」である。つまり、今回の「実物商品の価格上昇」については、「巨大な金融のダムから、徐々に、『水』に相当する『マネー』が漏れだした状況」であり、今後は、「金融システムの崩壊とともに、巨額の紙幣が、大量に市場に流れだす展開」が想定されるのである。
そして、このことが、私が想定する「金融界のホーキング放射」だと考えているが、実際には、「超低金利の蓋」で覆われていた「金融界のブラックホール」から、「内部で創られていたデジタル通貨が、紙幣に形を変えて、大量に放出される展開」のことである。つまり、「お金(マネー)の根本は信用である」という言葉のとおりに、現代人は、「目に見えない単なる数字」を「マネー」であると錯覚し、大量の「デリバティブ(金融派生商品)」や「デジタル通貨」を産み出したわけだが、現在では、「金利の上昇」とともに、「金融界のホーキング放射」とでも呼ぶべき現象が始まっているのである。
より具体的に申し上げると、「フローである実体経済」と比較して、「約10倍」の規模にまで膨らんだ「ストックであるマネー経済」から、大量の資金が流れ始めた状況のことである。そして、今後は、この流れが、急速に加速するものと想定されるが、この理由としては、「国債の需給関係が一挙に悪化し、金利が急騰する事態」、そして、「世界各国の中央銀行が、慌てて、紙幣の大増刷に走り出す展開」が指摘できるものと考えている。
つまり、「1923年のドイツ」や「1991年のソ連」のような情況のことだが、この点を、「過去100年間で、どのような変化が発生したのか?」などを考える「四次元の経済学」から考慮すると、きわめて厳しい状況が想定されるのである。具体的には、「今後の数年間に、実物資産価格が急騰する事態」のことでもあるが、一方で、「量子力学」や「分子生物学」、そして、「社会化学」などの進化に期待している状況である。
別の言葉では、「1600年前に発生した西ローマ帝国の崩壊」とは違い、今回は、「東西の文明が融合し、素晴らしい新たな文明が花開く時代」に期待しているが、当然のことながら、「人間には寿命が存在する」という厳然たる事実が存在するために、私自身としてできることは、「あの世からの祈り」しか存在しない状況のようにも感じている。(2021.10.18)
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オカネとモノの関係性
インフレやデフレは「オカネとモノとの関係性で決定される」と考えているが、このことに関する問題点は、やはり、「過去100年間に、モノとオカネの概念や数量が激変した事態」とも言えるようである。つまり、「100年前の米国では、20ドル金貨30枚と交換に、600ドルのフォードT型という自動車が買えた」と言われているが、その後、「オカネ」と「モノ」の内容が激変したために、現在では、「どのようなオカネが存在し、また、どのようなモノと交換されているのか?」が、ほとんど理解されていないのである。
より具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、私が提唱する「信用本位制」が始まり、その結果として、「単なる数字」が主要な通貨となったために、現在の「デジタル通貨ブーム」が訪れているのである。また、この時に、どのような「モノ」が産み出されたかについては、「デリバティブ」を中心にした「金融商品」が指摘できるが、「金融商品」の特性としては、「オカネとモノの二面性が存在する」という点が見て取れるのである。
別の言葉では、「1980年代以降の世界」において、「オカネがオカネを産み出す」というような「マネー大膨張のメカニズム」が働いたわけだが、この理由としては、「オカネ(通貨)そのものがモノ(商品)となり、大膨張の循環メカニズムが働いた」という点が指摘できるのである。そして、結果としては、「1999年以降の日本」に象徴されるように、「ゼロ金利が当たり前の社会の誕生」でもあったが、現在では、「オカネとモノとの関係性に、大きな変化が発生し始めた段階」とも想定されるのである。
つまり、「オカネがあってもモノが買えなくなる時代」のことだが、実際には、「一次産品や二次産品などの実物商品」に対して「大量の紙幣やデジタル通貨」が向かい始めているために、「価格の急騰」が始まっているのである。別の言葉では、今までの「金融商品」が、「デリバティブ」を中心にして、実質上、価値を失い始めた状態となっているために、「デジタル通貨」が「紙幣」に変換され始めるとともに、きわめて小さな「実体経済」に流入を始めたものと考えられるのである。
そして、このことが、古典的な「インフレ(通貨価値の下落)」を意味するが、現在のように「いろいろなオカネとモノとが混在する社会」においては、正しい理解がなされていない状況だと感じている。つまり、「理屈と膏薬はどこにでも付く」という言葉のとおりに、「ほとんどの人が既存の理論に惑わされ、訳が分からなくなっている状況」、すなわち、「正しく分けられていないために、実情が分からない状態」とも言えるようである。(2021.10.19)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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