『青葉の森へ』第4集ができあがりました
- 2021年 12月 12日
- カルチャー
- 内野光子
2002年から続けている月1回の歌会「短歌ハーモニー」の合同歌集の第4集がきのうできあがりました。旧千葉市女性センター(現千葉市男女参画センター、ハーモニープラザ内)の短歌講座の受講者の有志の方たちで立ち上げられた歌会でした。会場が青葉の森公園の近くであり、ときどき公園で歌会を開いたこともあり、合同歌集を『青葉の森へ』と名付けました。会員の方の出入りはありましたが、振り返ってみれば、なんと5年ごとに歌集を出していたことになります。二十年という年月の重さとときどきの楽しさを思い出す昨今です。出詠者は、10人、8人、11人と変わり、今回は6人と少し寂しくはなりましたが、歌集を出すたびに、皆さんの熱意には励まされる思いをしてきました。80首ほどの表題の頁には、自作やお気に入りのカットを配するのも恒例となりました。
秋元京子「野の花咲く道」
夏の朝レースのカーテンふうありと慌てる乙女のスカートのよう
焼夷弾の雨に衣服に火が着き都川にとび込む人無念
岡村儔子「鈍色の尾花」
早朝に吾子抱きて千葉医大冷たき廊下薄あかりの中
狭き路地セグロ鶺鴒近づきて艶やかな羽に触れてみたし
鈴木佐和子「生きる(二)」
美しく供えし花に囲まれてなお寂しげなる遺影の眼あり
すずかけの木漏れ日落ちる昼下がり残暑の日射し少し緩みぬ
藤村栄美子「玉手箱」
コロナ禍に孫の顔が遠ざかりメールを頼りに記憶をつなぐ
鳥の目で見つけてほしい藤袴アサギマダラよ迷わずこの地に(種を植える)
美多賀鼻千世「満月おぼろ」
幕張の「花の広場」に桜さく高層ビルに満月おぼろ
建て替える庇のじゃまになる青いみかんの食べごろ待たず
内野光子「違うだろう」
いまならば治療の術も選べたろう亡母の日記の余白が続く
画面なるひとに向かいて荒々と「違うだろう」と叫んでみても
元気だったころの飼い犬、チビとウメなのですが、表題頁はこんな風です。
初出:「内野光子のブログ」2021.12.12より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2021/12/post-cc5fbe.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔culture1036:211212〕
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