SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】463　東京五輪欠席の国連事務総長、北京五輪に出席

＜平田伊都子（ひらたいつこ）：ジャーナリスト＞

　「（北京）五輪に出かけるのは事務総長の伝統だと総長自身が言った。が、どうして東京五輪には行かなかったのか？」と、2月3日の国連定例記者会見で、ステファニ記者がオンラインで質問をしました。　いろんな観点から北京五輪が国際的に盛り上がってきたなか、国連事務総長の東京五輪欠席は日本の庶民として見過ごせない無礼です。
　
① あんなもん、やってやるんじゃなかった！：
　国連事務総長の東京五輪欠席理由を聞かれた国連事務総長副報道官ファラハンは、「2002年以降、事務総長の母が逝去した年を除いて、3回のオリンピック全てに参加した」と、答えた。2002年にオリンピックはなかったので、3回とは、2004年、2008年、2012年、2016年、2021年のどれかを指すのだろう？　が、全てに参加したということは、東京五輪も含んでいると受け取れる？　が、質問した女性記者は、「サンキュー」と引き下がった。辻褄が合わない返答を、記者たちは追及しなかった。というより、東京五輪などに興味を示さなかった。その場に日本人記者はいなかった。
　2021年の熱い夏、思い出しても忌まわしい東京五輪。　庶民の大部分が反対しコロナが荒れ狂う酷暑の中、金もないのに無理をして金持ちのアスリートたちのためにやった東京五輪。　「東京が提案した五輪をやらなかったら、国際社会の信用を無くす」とかで、東京五輪は強行されたが、結局、国際社会はありがたがらず、国際的信用は相変わらず低いままだ。国連記者会見でも、日本は殆ど無視されている。「日本は金を出すだけ」という外交常識は、国際社会に浸み込んでいる。
　2月2日の国連定例記者会見では、「事務総長は、全ての戦闘員に五輪休戦を呼び掛けたが、反応はあったのか？」との質問も出た。副報道官は、「どこからも返事はない。もっとも、呼びかけたのは、エチオピアだけだったのでネ、、しかし、エチオピアの両戦闘者から、何も言ってこない」と、答えた。
　「五輪休戦」とは、五輪の期間中は戦いを止めよう」という、国連の伝統的平和アピールだが、無視されたままだ。エチオピア、ブルキナファソ、マリ、ギネア、、そして新たにコンゴ民主共和国と、アフリカ大陸でも戦争が続いている。

② メガホン外交（怒号外交）：
　2月1日午後１時から、定例の国連安保理2月議長国の記者会見が、久しぶりに満席の報道室で行われた。2月議長国が、今や話題の焦点であるロシアだからだ。ツルっとした頭の気さくなバシリ―・ネベンジャ・ロシア大使は、北京五輪にエールを送り、国連安保理2月の予定を報告した。2月15日と25日に予定されている中東問題の討議では、パレスチナに焦点を当てると断言した。当然、ウクライナが最優先事項になるとしたうえでロシア国連大使は、1月末のアメリカ大使の激しい口撃などを総称して、うるささ（音量）を競う＜メガホン外交＞は、国連安保理に相応しくないと語った。
　アブデル・ハミド・パレスチナ記者はパレスチナ問題を取り上げたロシア2月国連安保理議長に謝意を述べたうえで、「パレスチナの占領地ではイスラエル軍によるパレスチナ人民に対する虐待が続いている。議長が指導する安保理で、もっと、強い圧力をイスラエルにかけることはできないのか？」と、聞いた。安保理2月議長は、「イスラエル占領軍の行為は、目に余るものがある。友好国とさらに検討してみる」と、前向きの解答を出した。　　
　イスラエル軍のパレスチナ人民に対する蛮行は、明らかに国際法や国連憲章に違反しているし、パレスチナ領土の侵略とパレスチナ人民への侵害は、紛れもなく国連安保理の制裁に価するものだ。にも拘らず、戦後70年以上イスラエルが制裁されないのは、アメリカが拒否権を使って＜イスラエル制裁提案＞を握りつぶしてきたからだ。同じように、＜モロッコ制裁提案＞ではフランスが拒否権を使って退けてきた。拒否権とは国連安保理常任理事国の5か国（米英ロ中仏）だけが持つ特権で、いかなる提案も5か国のうち一か国が拒否すれば流れるという非民主的なものだ。
　国連取り決めの中で、最悪の差別事項だ。
　
③ AU（アフリカ連合）外交：
　「アルジェリアの外交官が、＜モロッコ軍は国連緩衝地帯に対するドローン攻撃で子供を含む一般市民を殺した＞と、発表した。同地帯を管理するMINURSOの報告はどうなってるのか？」と、ハミド・パレスチナ記者が1月31日の国連定例記者会見で問い質した。「MINURSOから報告が上がってきてない。上がってないものは存在しない」と、副報道官が答えた。
　同副報道官は2月3日に、「金曜日（2月3日）の午後、アミナ・モハメド副事務総長が第35回AU定例会議に参加するため、アジスアベバに向う」と、発表した。
　AU（アフリカ連合）年次総会はその年の初めに開かれ、首脳会議の準備のため、まず外務大臣級が招集をかけられる。今年の第35回AU（アフリカ連合）首脳会議は、2月4日と5日に、アジスアベバAU（アフリカ連合）本部で開催される。モロッコからはナセル・ブリタ外務大臣がエチオピア首都アジスアベバにあるAU（アフリカ連合）本部に入った。アルジェリアはオマル・ベラニ西サハラ兼マグレブ担当大臣を先遣隊としてAUアフリカ連合に送った。
　SADRサハラ・アラブ民主共和国（西サハラ難民政府）からは、モハメド・ベイサット南アフリカ大使が西サハラ外務大臣を代行して、2月2日と3日のAU（アフリカ連合）執行委員会に参加した。西サハラ代表団団長は10日間日本に滞在し西サハラを紹介したベイサット・南アフリカ大使で、ラミン・アバリ・エチオピア兼AU西サハラ大使、アフメド・シダリ・エチオピア西サハラ大使館参治、アマン・ムロウド西サハラ大統領補佐官などが同行した。このところ、西サハラ外務大臣は公の席に姿を見せていない。
　AU（アフリカ連合）執行委員会でベイサット大使は、「モロッコの違法なドローンによる空爆で、西サハラ人のみならずアルジェリア人の市民も犠牲になっている。一発触発という危険で深刻な状況に、我々SADRサハラ・アラブ民主共和国（西サハラ難民政府）は追い込まれている。このモロッコによる侵略行為と人権侵害は、近隣地域の安全と治安を脅かしている。アフリカ憲章と世界人権憲章に則って、この事件を早急に検証する組織を立ち上げるよう、執行委員会に要請する」と、強く求めた。

AU（アフリカ連合）執行委員会で訴えるベイサット西サハラ外務大臣代行、真ん中の男性

　NBC アメリカTVが、凍り付いたトカゲの映像を見せ、ニューヨークの猛烈な寒さを強調していました。　異例の寒波は、シリアを始め中東北部にある難民キャンプも襲っています。　暖房具もなく暖房着もなく食料も不足する中で、幼子の凍死が増えています。　　
　「地球温暖化の中で地球寒冷化？」　国連事務総長殿、なぜなのか？教えてください、

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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者：平田伊都子、写真構成：川名生十、画像提供：アマイダン・サラー、SPS、
定価：本体1,800円+税、
発行人：松田健二、
発行所：株式会社　社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話：03-3814-3861

同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ（2015年）」、「アリ　西サハラの難民と被占領民（2020年2月）」にも、お目を通してください。

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Youtube2018年7月アップの「人民投票」（Referendum）もご案内。
「人民投票」日本語版　URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版　URL：　https://youtu.be/v0awSc25BUU

Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ　日本語版URL：https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa]　　英語版URL:　  https://youtu.be/au5p6mxvheo

WSJPO　西サハラ政府・日本代表事務所　所長：川名生十　　2022年2月6日
SJJA（サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション）代表：平田伊都子

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11736：220206〕