SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】468 好戦国イスラエルがウクライナ戦争仲介?
- 2022年 3月 13日
- 評論・紹介・意見
- イスラエルウクライナサハラ平田伊都子西サハラ
2022年3月5日、ベネット・イスラエル首相がプーチン大統領をモスクワに尋ねました。
その前にイスラエル首相は、数回、ゼレンスキー・ウクライナ大統領と会談を重ねていたそうです。 イスラエル紙ハーレツの情報です。
プーチン大統領との会談後、イスラエル首相はウクライナ大統領に電話報告し、ドイツのショルツ首相と会いました。
世界の仇役・ウラジミール・プーチン・ロシア大統領、作:川名生十
① <ウクライナの革命的ユダヤ英雄・ゼレンスキー>:
イスラエル紙ハーレツは、<ウクライナの革命的ユダヤ英雄>として、同胞ユダヤ人の
ゼレンスキーを絶賛している。同紙は、対するプーチン・ロシア大統領に<ナチス>のレッテルを貼り、<反ホロコースト大キャンペーン>に利用している。
NATOやアメリカがなかなか軍事行動に踏み切らない中、ユダヤ人ゼレンスキーはアメリカの政治を動かす<AJC American Jewish Committee(全米ユダヤ人協会)>にSOSを発信した。<AJC American Jewish Committee(全米ユダヤ人協会)>は、1906年11月11日にアメリカで創設されたユダヤ人利益保護団体で、ユダヤ人市民権の向上運動を行う一方、人種差別などの問題にも取り組んでいる。米国内で22の支部があり、海外にも支部や友好組織がある。1990年頃からAJCは国際社会で活発に発言し、国連総会にも参上した。2009年、世界のユダヤ人とイスラエルを支援する「グローバル・ジューイッシュ・アドボカシー」をキャッチフレーズにした。アメリカ大統領選挙やアメリカ議員選挙にも介入している。
アメリカ連邦議会の中間選挙を目前にしたバイデン民主党は、<AJC American Jewish Committee(全米ユダヤ人協会)>の呼びかけに即応した。ブリンケン米国務長官の現地派遣が設定された。
3月5日土曜日、「攻められても戦うな」と命じるユダヤ教の安息日にも拘らず、べネット・イスラエル首相は、モスクワに飛んだ。大方の予想通りに、成果はなかった。イスラエル紙ハーレツは、「ウクライナVSロシア戦の仲介など、成功するわけがない。それでもベネットは国際社会に名前を売るため、出かけて行った。無意味だ」と、冷ややかだ。ベネット・イスラエル首相は、「頼まれればいつでもどこにでも、仲介に出かけていく」と、語った。3月11日、ウクライナの高官は「イスラエルは武器もよこさないし、ロシア制裁にも加わらない。ベネットはウクライナの降伏を望んでいる」と、ベネットの仲介を批判した。
② 「世界(ユダヤ人世界)はあなたたちと共に」(ブリンケン米国務長官):
2022年3月5日、ウクライナとポーランドの国境で、クレバ・ウクライナ外務大臣とユダヤ人のブリンケン米国務長官が会談した。ブリンケンは甘い言葉をウクライナに送った。
同日、ゼレンスキー・ウクライナ大統領はバイデン・アメリカ大統領に電話をした。そして、バイデン・アメリカに4箇条の要求をした。
その1はノーフライゾーン(飛行禁止空域)、その2はドローンなど最新戦闘機の供与、その3はロシア原油の禁輸、その4はロシア大統領経済活動の息の根を止める、の4項目だ。バイデンはとりあえず、ロシア原油の禁輸を呑んだ。「産油国アメリカなんだから増産すれば」と米議会で声が上がったが、バイデンはストップ温暖化で石油業界をどやしつけたばかり、、石油大国アメリカが石油不足?に見舞われガソリンの値が上がった。そして、バイデンの外国産石油漁りが始まった。
戦争勃発直前のドイツ・ミュンヘン国際会議では、経済制裁はよくないと主張していたゼレンスキー大統領が、「徹底的に経済制裁しろ!」と叫び、「徹底抗戦!」、「国際旅団に加われ」と、世界の優しい若者を挑発した。在日ウクライナ大使館も外国人部隊編成のニュースをツイッターした。コルスンスキー駐日ウクライナ大使によると、約70人の応募者があったそうだ。
「退役兵士の数百人が、ウクライナでの戦闘や医療・人権支援に関わりたいと表明している」と、BBC英国TVが3月10日に報道した。現役兵士たちは、ウクライナに入るなと警告を受けている。米英を含むNATO(北大西洋条約機構)加盟国は、ウクライナに軍を派遣しないし、ロシアと直接の軍事対決はしない。
そこで脚光を浴びているのが、イラク戦争やシリア戦争やアフガニスタン戦争で陰の戦闘主役を務めてきた<私設軍団>、<民間軍事会社>だ。<戦争プロフェッショナル募集>の呼びかけに、戦争失業者たちが続々とはせ参じている。彼らは金を貰って、彼らの為にも、戦争を長引かせる商売をやっている。「ウクライナはいまや熱狂的な市場だ。金は世界の義援金で雇い主の懐にタップリある」と、戦争プロフェッショナルたちはウクライナを目指している。「求む:多言語を操る元兵士。1日最大2000ドル(約23万円)とボーナスという高額報酬で、ウクライナに潜入、、」と、BBC英国TVは民間軍事・警備業界で働く人の求人サイト<サイレント・プロフェッショナルズ>のチラシを添付した。
既にウクライナでは、アメリカに本社を置く情報・セキュリティー顧問会社「モザイク」が活動している。住民らの救出に当たる請負業者は、3万ドル(約350万円)~600万ドル(約7億円)で雇われている。映画のようなシナリオ作りは、ゼレンスキー・プロダクションが得意とするところだ。が、イラク戦争では米兵に代わって、何万人もの戦争プロフェッショナルが民間人の殺戮を繰り返した。米戦争請負業社<ブラック・ウォーター>の悪名は、イラク人の脳裏に焼き付いている。
③ 「我々は降伏せず、負けず、最後までやり抜く」チャーチルを真似て、、:
ゼレンスキーは8日、英下院でビデオ演説を行った。英国の老アイドル・ウィンストン・チャーチル元英首相の言葉を借用して、「我々は降伏せず、負けず、最後までやり抜く」と観客を喜ばせた。ゼレンスキーの演説が終わると、英下院はスタンディングオベーションを送った。シナリオライターの奥さんと乱発するゼレンスキー・コントは、まだ続く、、
前日の3月7日、新型コロナウィルスから解放された英国女王は、ウクライナ国旗の青色と黄色をもじった花で部屋を飾り、回復後初の国賓となったトルドー・カナダ首相の謁見を許した。カナダはイギリス連邦に所属しているため、エリザベス女王はカナダの君主でもある。英国女王はポケットマネーで、ウクライナに支援金を送ったそうだ。
世界の優しい人々が、ウクライナ避難民のためにお金を送った。お金はどこに行くのでしょう?
<反汚職>を掲げ70%以上の支持率で、2019年に大統領に就任したゼレンスキーは、トランプ大統領の弾劾裁判事件に巻き込まれ、自信の汚職や脱税行為もそれに拍車をかけ、2021年10月には支持率が25%に落ちていた。が、ロシアの軍事侵攻で、不祥事は今のところ隠されている。
が、バイデン親子とウクライナ天然ガス会社が絡むトランプ弾劾裁判事件は、11月8日投開票に向けたアメリカ中間選挙戦争で浮上しそうだ。ゼレンスキーの脱税行為に関しては、2021年10月5日にパンドラ文書が露呈させた。ゼレンスキー一派がイギリス領バージン諸島などにオフショア企業のネットワークが持っていることが、戦争義援金の行方を精査されれば再び追及される問題となる。パンドラ文書とは、世界の権力者や大富豪たちが人目に触れずに多額の資産をタックスヘイブンに置いている実態を、明らかにした資料だ。
2017年11月5日に流出した<パラダイス文書>では、エリザベス女王の個人資産のうち約1000万ポンドがオフショア投資に向けられていることが示されている。資金は、エリザベス女王の個人資産5億ポンドの投資を管理するランカスター公領によって、ケイマン諸島とバミューダ諸島のファンドに投資されている。
3月5日、バイデン・アメリカ政府は、散々、経済制裁で苛め抜いたベネズエラに「石油・天然ガスとロシア制裁を要求する」特使を送りました。かってトランプ・アメリカは、経済制裁と傀儡大統領でベネズエラを壊し、590万人(UNHCR発)の難民を発生させているのです。 身勝手な話です。
一方、西サハラ難民政府は、西サハラの民族自決権と独立を支援してくれるベネズエラを、変わらず敬愛しています。3月6日から8日にかけてベネズエラ主都・カラカスで行われた国際労働者大会に代表団を送りました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年3月13日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11846:220313〕
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