SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】471 イエメン戦争、ラマダン停戦合意
- 2022年 4月 3日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子西サハラ
4月1日、エイプリルフール、国連安保理会議場前で久方振りに国連事務総長の張りのある声が響きました。 「記者の皆さん、ありがとう、、ラマダン停戦を皮切りにした二か月間の停戦合意が、イエメンで成立した、、」
2022年ラマダン断食月の期間は、4月3日から5月2日までです。 この一か月間、イスラム教徒は日の出から日の入りまで、一切の飲食や喫煙や性交を絶たなければなりません。 そして、争いごとを避けるようにと、イスラム教は教えています。
① 2022年4月1日、エイプリルフールの国連定例記者会見:
「これはエイプリルフールの嘘ではありません。4月4日から北ラウンジが再開されます。各種飲み物や、パン、サラダ、サンドウィッチ、おつまみなどをご用意して朝9時半から夕方5時までお待ちしてます。アルコールもありです」と、弾んだ声で副報道官がコロナ明けの営業を告げた。(しかし、その時間帯はイスラム教徒の断食真っ最中!アルコールはイスラム教徒にとってご法度!!)そして副報道官は、「たった今、国連事務総長イエメン特使のハンス・グルンバーグが、国連が提案した二カ月間のイエメン停戦合意に前向きな反応があったと伝えてきた。4月2日19時から、陸海空全ての戦闘をイエメン国内と国境で停止することを、両当事者が合意したそうだ。さらにフデイダ港にタンカーが入る事や、サヌア空港で航空機が離着陸する事にも合意した。我々国連は、この停戦合意が永久に続くことを願っている」と、言及した。さらに、「この停戦は長く続く最初の一歩だ。7年間にわたって戦禍に苦しんできたイエメンの女も男も子供も、ひたすら停戦を望んでいる、、」と、グルンバーグの言葉でしめくくった。
イエメン戦争での両当事者とは、サウジが支援するハディ・イエメン暫定政府とイランが後押しするフーシ・イエメン反政府派を指す。サウジとイランの代理戦場と化したイエメンで、一番の犠牲者は子供たちだ。1万200人以上の子どもが死傷した。暴力、地雷、爆発性戦争残存物などが、常に身近に存在する。約220万人の5歳未満児が急性栄養不良に苦しみ、50万人以上が重度の急性栄養不良に陥っている。1,000万人以上の子どもと約500万人の女性が、適切な保健サービスや医療を利用できていない。(ユニセフ2022年3月半ばの数字)
② 他にもあるある、国連が手掛けている紛争地:
国連安保理会議場前でのステークアウト(待ち伏せ会見)で、国連事務総長に記者たち
が、「ウクライナなど、他の戦争にも停戦を働きかける気はないのか?」と、質問を浴びせた。途端にグテーレス国連事務総長の声が沈み、「各地で私の特使が頑張っている」と、答えた。
西サハラ紛争では、スタファン・デ・ミストラ国連事務総長西サハラ個人特使が西サハラ難民キャンプを訪れ、国連和平交渉の枠からコッソリ逃げようとしているサンチェス・スペイン首相の襟を掴んだりして、頑張っている。西サハラ紛争に関して、国連が自ら解決に乗り出したにも拘わらず、30年以上も放置したままだ。
サンチェス・スペイン首相のモロッコ地方自治州案支持発言に反対して、スペイン各地で「サンチェス発言の撤回」を求めるデモが沸き上がっている。
3月28日、英国では西サハラ支援団体と国会議員の有志たちが、「西サハラ人民に一言もなく、サンチェス首相は独断で西サハラ支持からモロッコ支持へと寝返った。この背信行為は国連安保理決議658と690で確立された西サハラ人民の<民族自決権>を踏みにじる、国際法違反だ」と、声明を出した。
3月30日、YES(European Socialist Youthヨーロッパ社会主義青年団体)は「西サハラ人民自らが、民族自決権を行使できる日がくるまで、支援を続けていく」と、声明を出した。
3月29日から3日間、アンドレア・シーデル・ヨーロッパ議会オーストリア代表が率いるヨーロッパ議員団が、アルジェリアにある西サハラ難民キャンプを視察した。一行は難民キャンプ生活を体験し、学校や病院や難民キャンプセンターなどを訪れた。3月30日にヨーロッパ議員団は、ブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領と会談した。ウビ・バシール西サハラ難民政府ヨーロッパ代表やブシャラヤ・ハムゥディ西サハラ難民政府首相が同席する中で、ヨーロッパ議員団団長が、「我々は、サンチェス発言に反対だ。我々は、国連西サハラ人民投票を実現できるよう、国際法的に援護していく」と、語った。
アルジェリアにある西サハラ難民キャンプで会談する、左側にEU議会議員団、
中央に西サハラ難民大統領、右側に西サハラ難民政府団
② ブリンケン米国務長官がモロッコとアルジェリアを訪問:
アルジェリアはイエメン戦争のラマダン停戦合意を大歓迎した。アルジェリアは11月1日と2日に、アラブ首脳会議を予定している。バラバラになったアラブ諸国をまとめ、アラブの連帯を再構築しようとしている。
西サハラも勿論、イエメン停戦合意に大賛成!戦前のイエメンは、SADR(西サハラ・アラブ民主共和国)を国家承認していた。
一方、バイデン米大横領の<石油備蓄吐き出し宣言>は、世界の原油界に混乱を招いた。
3月29日、ブリンケン米国務長官がモロッコ首都・ラバトに立ち寄った。記者会見でモロッコの西サハラ領有権を承認させようと誘導質問したが、長官はデ・ミストラ国連特使による交渉を支持し、モロッコから立ち去った。長官の目指す所はアルジェリアだった。
そして、ブリンケン・アメリカ国務長官はアルジェリアに入った。3日間の滞在予定で、アルジェリアの豊かな石油天然ガスや金、リン鉱石など、天然資源へのアプローチを試みたそうだ。これらの天然資源はアルジェリアの隣、西サハラでも未開発のまま存在している。
3月30日、ブリンケン米国務長官はアルジェリアの首都アルジェでテブン・アルジェリア大統領と会談した。教育、文化、治安対策における両国の関係強化が主題だったと発表された。が、テブン・アルジェリア大統領と米国務長官との会談に同席したのは、ラマムラ外務大臣、アルカブ・エネルギー鉱業資源大臣、ヘンニ農業開発大臣、ムアルフィ環境大臣だった。
3月30日、アルジェリア・エネルギー鉱業資源省は、5月に日量11,000バレルの増産をすると発表した。
3月30日、アルジェリア大使公邸でラルビ・カティ駐日新アルジェリア大使にお会いし、様々なアルジェリア情勢を教えていただきました。 なかでも、今年は、日本・アルジェリア交流60周年を迎える節目の年だと伺いました。 日本は、革命を目指す二人のアルジェリア人学生を受け入れ、革命後のアルジェリア民主人民共和国を最初に承認した国の一つだそうです。
アルジェリアをもっと知りたい方は、アルジェリア大使館にアクセスしてみてください。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年4月3日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11915:220403〕
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