[お知らせ] 16団体が鎌倉市議会へ共同要望書 ──国葬反対の採決求める
- 2022年 9月 2日
- 評論・紹介・意見
- 国葬反対鎌倉平和学習会
岸田内閣が強行を狙う安倍元首相の国葬に対して、鎌倉平和学習会などが8月26日、鎌倉市議会議長に「故安倍晋三氏の国葬に関する要望書」を提出した。9月の鎌倉市議会で、国葬中止を求める意見書を採択するよう求めるもので、趣旨に賛同する市内の16市民団体が提出者として名を連ねている。以下は「要望書」の全文(文末に16団体名を収載)。
◇ ◇ ◇ ◇
2022年8月26日
鎌倉市議会議長 前川綾子様
故安倍晋三氏の国葬に関する要望書
皆様におかれましては、市民福祉の向上、また住みやすい鎌倉の街づくりのために、日夜ご尽力いただいておりますこと、心から感謝と敬意を表します。
さて岸田政権は 7 月 22 日の閣議において、安倍晋三元首相の「国葬」実施を決定しました。これは以下に示すように、日本が法治国家であるかどうかが問われる事態です。また世論調査などで「反対」の広がりが明らかにされています。
「国葬」を実施するといっても根拠法が存在しません。大日本帝国憲法下の国葬令(勅令、1926 年制定)は、日本国憲法に不適合なものとして「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第 1 条に基づき、1947 年に政教分離の観点から失効しました。国葬に関する法的根拠がないまま閣議決定のみで国葬を強行することは、法治主義(憲法 97 条から 99 条)に反します。
また多額の税金投入が予想されるにもかかわらず、国会の審議と議決を経ていません。これは財政民主主義(同 83 条)に違反します。とうてい国民の理解や納得が得られるものではありません。
実際、閣議決定直後の調査でも「国葬」に否定的だった世論は、調査が新しくなるほど、その傾向がますます強くなっています。最新の全国世論調査(8 月 20・21 日)では、政府が安倍元首相の葬儀を国葬で行うことについて、「反対」が「賛成」を大きく上回るようになりました。明らかに政府の閣議決定は支持されていません。
【毎日新聞と社会調査研究センターの調査】 国葬に「賛成」は 30%で、「反対」の 53%を下回った。
【FNN(フジテレビほか)の調査】政府が安倍元首相の葬儀を国葬で行うことについて、「賛成」が 40.8%、「反対」が 51.1%だった。
銃撃により人命が奪われたこともあって、この事件直後は、元首相に対する功績や賛美が異様なほど報道されていました。ここへ来て、事件の背景にいわゆる統一教会があり、長年にわたって多くの家庭を破壊させ人権を侵害してきた霊感商法が、山上容疑者を犯行に追い込んでいったことが捜査によって判明しています。
統一教会の活動が野放しであった背景には、元首相をはじめとする政府関係者や多くの議員との癒着があったことも明らかになりました。
元首相の評価についても、いわゆる「森友・加計、桜を見る会」などでの国政私物化や虚偽答弁などの政治的側面だけでなく、円安・株高への誘導による国民間の経済格差を招いた経済的側面についても、国民の多くは否定的です。また違憲とされていた集団的自衛権の行使を「合憲」へ一変させるなど、安全保障政策を大転換して「戦争のできる国」づくりを進め、その是非で国民を分断しました。
国葬の強行は元首相への賛美礼賛を煽り、その功罪についての議論すら躊躇させるおそれもあり、基本的人権である思想信条の自由まで危うくするものです。現実に、事件直後の葬儀ではいくつもの自治体で半旗掲揚を「依頼」「指導」していたことが判明し、憲法上の問題などが指摘されています。
以上のように、憲法の前文にある国民主権、14 条の法の下の平等、19 条の思想・良心の自由、20 条の政教分離、21 条の表現の自由など多くの侵害が危惧されます。こうした憲法上の由々しき問題を孕む「国葬」に私たちは反対します。
つきましては、市議会として国葬中止を求める意見書を採択していただくよう要望するものです。どうかよろしくお願いいたします。
【要望書提出団体】
アカデミアの会有志、神奈川 4 区市民連合、鎌倉・九条の会、鎌倉の環境を愛する会、鎌倉平和学習会、かまくら朗読の会、鎌倉・岐れ路の会、ぐるぅぷ未来、腰越憲法九条の会、子どもたちに伝える平和実行委員会、湘南護憲市民の会・鎌倉、新日本婦人の会鎌倉支部、全日本年金者組合鎌倉支部、日本国民救援会鎌倉支部、婦民新聞読者会、HAPPY LIFE in KAMAKURA
連絡先:鎌倉平和学習会 代表 神戸(電話番号=省略)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12348:220902〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。