こいのち通信(世田谷こどもいのちのネットワーク通信)2023年3月
- 2023年 4月 3日
- 交流の広場
- 星野弥生
- ★「おたがいさまフェスタ」4月22日(土)10時半~14時半 @世田谷ボランティアセンター
二月が逃げ、三月は去ってしまいますね。温暖化のせいでしょうか、桜もせっかちに咲いて、予定のお花見のころは葉桜になってしまうかも。弥生三月は私の月なので、しっかり年を重ねました。それも高齢者の上に後期がついたカテゴリーに仲間入り。時の過ぎ方が一気に加速されたようです。
人々がWBCに熱狂している隙に、また都合が悪いことから目を避けるためか、岸田首相は外遊、ウクライナを電撃訪問し、支援を約束していい子ぶりを発揮してきたのでしょう。日本には制約があって表向きの武器の支援はできないと残念そうですが、本来は、憲法9条でそれを禁じていることに従うのが総理大臣としての義務であり、本筋というもの。ロシアとNATOがお互いに武力を増やし続けている中で、片方に組することしかできないというのは情けないことです。憲法9条があるからこそ、戦争を止めて平和外交を、と提案することができるはずなのですが。
2月の講演会「教育はどうゆがめられてきたのか?」の余韻がまだまだ残っています。性教育を長年にわたり、先駆的に進めてこられた村瀬先生は、性の問題を政治や宗教に深くかかわるものとして考える今回のテーマを、「新たな展開」であると捉えられたのでは、と感じます。だからこそ、準備も大変だったと思いますし、また寄せられた感想や意見をとても大切にされています。統一教会の問題、同性婚をめぐる差別的な発言、ジェンダーバランスの情けないほどの低さ、どれも性の問題と深くかかわっています。3月4日には、世田谷の子育てネットの「すくすくコンパス」シリーズで村瀬先生による、乳幼児の親向けの講演会が、若林の教育総合センターでありました。子連れのパパママが熱心に耳を傾け、うなずいていました。人生のどんな時期にもどんな課題にも「性」はとても大きな問題であることを改めて実感しています。2月の講演会の時のアンケートを前号で載せさせていただきましたが、追加で「その二」をお伝えします。とても深い内容が語られています。また、あの講演会に前川さんを引っ張ってきた「立役者」のイナセンからの「今後に向けた問題提起」もようやく間に合ったので掲載します。続編が楽しみです。
3月、区内でのさまざまなイベントに参加した中で、印象に残ったものを少しお伝えしたいと思います。3月13日、ローカル・イニシアティブ・ネットワーク(LINnet)主催の「地域からの新しい選択 気候危機と自治・民主主義」が北沢タウンホールでありました。「ミュニシパリズム」と舌をかみそうなタイトルで、杉並区長の岸本聡子さんが講演。とくに2015年からヨーロッパで起こってきた地域での住民の直接参加、市民権を公的領域で求める動きについて、運動、権力、地域経済の点から話されました。その後、保坂世田谷区長、阿部多摩市長、中島岳志さんを加えてのディスカッション。中島さんは「なぜこれだけの人が集まっているのか(この日は会場に250人、同じくらいの数のオンライン参加者がありました)。ヨーロッパで進行しているオルタナティブな世界が見えてこない日本だけれど、東京の西の方で地域主権を目指す首長が生まれてきている。何かが起きている。政治は選挙だけではなく、身近な政治にかかわっていくことが投票率をあげることにもつながる」。第二部では、自治体選挙に挑む若い世代の候補者や議員とともに登壇した斎藤幸平さんが語りました。前の日にラジオで経済アナリストの森永卓郎さんが「何回読んでも理解できなかった『資本論』が斎藤さんの『ゼロからの資本論』でよくわかった!」と話していましたが、Z世代の斎藤さんの話はとても説得力あります。ちょうどマスクをつけるか外すかは個人の判断にまかせる、というバカみたいな決定の出された日。「マスクを外してコロナは解決
しません」と斎藤さん。「コロナの時期に格差は広がり、「公」を減らす新自由主義改革がますます進み、矛盾が現れた三年間だった。地球のあり方をグローバル資本主義が変えてしまう。今や「電気がない」「住む場所がない」という危機、緊急事態は慢性的で、行き過ぎた資本主義の問題がある。技術から技術への転換ではなく、抱えている問題はもっと本質的なもの。現代のライフスタイルを抜本的に見直さなくてはならないのに、対策をとってこなかった大人たちに対して若者たちが怒っている。公園を壊して高層ビルを建てる、里山を壊す、水道を民営化する、など、本来商品化してはならないはずの公共のものを商品にしてしまっている。どこかで歯止めをかけ、それらを公に取り戻し、コモンにしていく運動に市民が主体的に参加していくことが求められる」という言葉はとても説得力があります。ヨーロッパだから出来るのでは?と言う人たちに対しては、小松理虔さんの「共事者」という言葉が紹介されました。当事者にはなれなくても想像力は広げることができる。いい言葉ですね。「地域主導でコモンの再生を」「地域主権と民主主義を実現!」「気候変動をストップするため、自治体と地域の力で取り組む」「市民と行政が共に参画するまちづくり」「グリーンインフラの推進」などが宣言された会でした。
三月は3.11の月でもあります。今年の3.11には、世田谷こども守る会と武蔵野政治塾とのコラボで「原発を止めた裁判官」の上映会がありました。チラシを通信にも入れたので、それを見て来た方もいらっしゃいました。福井地方裁判所の裁判長だった樋口英明さんは2014年5月21日に、大飯原発の運転差し止めを命じる判決を下しました。「原発事故のもたらす被害は極めて甚大である。それゆえに原発には高度の安全性が求められる。地震大国日本において、原発に高度の安全性があるということは、原発に高度の耐震性があるということにほかならない。しかし、我が国の原発の耐震性は極めて低い。よって、原発の運転は許されない」。これ以上明解な判決理由はないでしょう。なのに、原発の稼働に再び舵を切ろうとするこの国はいったい何なんでしょう!世田谷の市民グループが11年前に始めた「福島っ子リフレッシュin世田谷」は、三年ぶりに12月に21回目の「リフレッシュ」を再開し、この通信が出るころには、22回目の春のリフレッシュに福島の家族を迎えます。「なかったこと」にしようとする動きには断固抗い、 「福島は終わらない」ことを、こういう活動を通じて伝え続けていきたいと思います。(星野弥生)
戦争に向かう教育にさせないため、教育を考えてみませんか
【「世田谷の教育を考える会」の岸塚さんは、通信にタイムリーにいろいろなネタを提供してくださる、一人編集人の私にとっては救いの神のような人。今年は小学校の教科書採択の年にあたります。戦争に向かう教育にさせないために、私たち市民ができることまだまだはありそうです。(星野弥生)】
学校で使われている教科書は4年ごとに教育委員が選んで採択しています。今年は小学校教科書の採択に当たり、採択されたものは原則来年度から4年間使用されます。それに先立ち、この3月下旬に文科省は各教科書会社から提出された教科書の検定結果を発表します。教科書は検定に合格しないと使えない仕組みになっています。
1.教科書採択の仕組み
◆4年ごとのサイクルは、2021年度に教科書執筆・編集、2022年度に文科省の教科書検定(3月に結果発表)、2023年度に教育委員会による教科書採択(8月31日までに実施)、2024年4月から使用開始、となっています。
◆本年度の日程は、4月に区教委が採択要綱を教育委員の会議に提出。 5月に区教委の指示の下、教育現場に各教科の調査研究委員会が設置され、一部の教員が教科書調査資料を作成し教育委員会に提出。6月に区民・教職員に向けて教科書展示会が開催され、7月に教育委員の会議(公開)で採択となっています。
◆教育委員が10教科1年生から6年生まで全ての教科書(200冊~250冊)を読み、比較検討をするのは現実的には無理があり、教員が作成する資料の存在は大きいのです。教科書展示会で行われているアンケートは毎回100枚を超え、教育委員に届けられています。このアンケートは教育委員が読みますので、是非展示会に行って感想等を書いて下さい。
◆教科書編集の基になっているのは文科省が作成した「学習指導要領」と各教科の「解説書」です。学習指導要領はほぼ10年毎に改
訂され、現在のものは2016年に告示、2018年から先行実施、2020年から全面実施されています。
社会情勢や国際情勢の変化などを受けて財界は次の教育内容を検討しています。それは中央教育審議会へ反映され、その答申に基づいて次期学習指導要領が作成されますが、そろそろその動きが出てくると思われます。時代によって教育がコロコロ変わる問題、教育内容が重視される反面、教育環境が改善されない等の現実があります。
2.教科書は「政府の考えを書かなければならない」制度に改悪
◆2014年に教科書検定制度が変更されました。それは領土や近現代の歴史的事象において政府見解がある場合は必ず教科書に政府見解を明記するようにというものです。教科書は学問の研究成果が反映されるものですが、政府の見解がそれを正しく反映しているという保証はありません。教科書は科学的な観点で作られなければならないと思います。
◆2021年、文科省は自らの検定で合格にした中学校・高校の歴史・公民関係の教科書に対して異例の説明会(5月)を開き、教科書の「従軍慰安婦」の記述を変更するよう求めました。これは、「従軍慰安婦」「強制連行」という言葉は適切ではないとする政府見解が閣議決定されたからです(4月27日)。その結果、「従軍」という言葉を消して「慰安婦」に、「強制連行」は「徴用」に変わりました。検定に合格した教科書でも政府の力で書き換えさせることができるのです。それは権力の教育への介入にあたると思います。
3.教科書展示会に行こう
多くの教科書会社はより良い教科書の作成に奮闘していますが、その努力を無にするような圧力もあります。圧力に屈せずに工夫を凝らして真実を伝えようと努力している教科書ですが、前回の検定後、自衛隊についての記述が小学校四年生の社会科教科書に出てきました。教科書が戦争を導くようなものにならないようみんなで注視していきたいです。例年、6月に5会場で教科書展示会を開催しています。 (岸塚雅雄)
「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」通信「Voice]他
第5回「むのたけじ」地域・民衆ジャーナリズム賞の優秀賞を受賞!
【「こいのち」にとっても嬉しいお知らせです。「こいのち通信」でしばしば取り上げてきた、世田谷区役所の窓口での婚外子差別事件など、戸籍と婚外子差別をなくす社会をめざして地道な活動をしてきた交流会が、大きな評価を得たのです。当事者でもある伊達樹里さんからのメッセージです。】
(選考理由)「わたしたちが「歴史」と呼んでいるほとんどすべては、語源それ自体は違うといいますが、HISTORY、まさにHIS STORY、彼の歴史、男の歴史そのものです。かつても、そして無念なことに、いまもなお。そのHISTORYの下で、人口の半分である女たちの声はあまりにも長い間、消されてきました。その中でも、今もって受け継がれている家制度の外側に身を置いてきた子や女の人生は絶えず片隅に追いやられてきました。子は「ててなしこ」「私生児」とよばれ、その母は「不道徳で恥知らずな女」と地域社会ではつまはじきにされてきました。そのために、自分の出生を肯定できない子どもがどれほどいたことでしょう。当会は、1988年に誕生し、今も残存する家制度へ、果敢な異議申し立てをし続けている会であり、その交流誌上である本誌が、声をあげることをためらわざるを得ない人々も含め、どれほど多くの婚外子やその母である女性を長年にわたってサポートしてきたことか。多様性と言いながら、まだまだのフィールドに光を当てる活動を地道に続けてきた当会に、心よりの敬意を!」
世田谷区役所婚外子差別事件が5年半を要して解決できたことなど,いくつかの成果も得られました。昨年に引き続いての応募になりますが、第5回対象期間に当たる交流会通信「Voice」にはそのときの想いや苦労、そして喜びが描かれているために、優秀賞となりました。選考委員のお一人でもある落合恵子さんは、昨年8月の「勝利の集会」でも講演をしてくださり、昨年、今年と応募を勧めてくださいました。
3月24日に文京シビックセンターで受賞の集いがあり、代表の田中さんはじめ6人の会員が参加しました。田中さんが受賞の言葉として、知られることの少ない婚外子差別やこれまでの活動について話すと、会場内の70名ほどの人がすごく集中して聞き入っているのがわかりました。受賞したことで、婚外子差別のことが色々な場面で活動している人々に広く知られていくきっかけとなってほしいと思います。(伊達樹里)
続・セタガヤママ展~小さなメディアの40年
1982年に「セタガヤママ」は、経堂(住所は桜ケ丘)にオープンしました。私の子育ての時代とピッタリ重なり合います。ログハウス風の小さな家の中では、子どもたちがロフトを隠れ家のようにして勝手に遊び、玄米定食のランチが供され、いろんな人が持ち寄って来た手作りの洋服、からだにやさしい自然食品があり、はたまたFMラジオ局も。生活そのものがお店になり、世代を超えた住民たちの「居場所」でした。その40年間が、そこでの活動をガリ版でつづった「あめつうしん」を中心とした、貴重な資料、懐かしい写真とともに、キャロットタワー三階の生活工房で展示されています。ガリキリ担当は、「あめつうしん」を今も発行している田上正子さん。なんでもパソコン、スマホの時代、なんとあたたかいメディアなのか、と懐かしさとため息が・・・。4月23日まで9時から21時。どうぞ足を運んで下さい (星野弥生)
◇ ◇ ◇ いろいろ告知板 ◇ ◇ ◇
★「もっと語ろう不登校 part. 277 4月8日(土))14時~ @フリースクール僕んち
ZOOM参加希望の方は前日までにfsbttoru@yahoo.co.jp までお申込みください。300円
久しぶりに出しもの、食べ物いっぱいのお祭りが開かれます!ぜひ、見に、会いに来てください!
★「人間の生と性を学ぶ会」5月例会 5月29日(月)17時半~20時半経堂地区会館別館第二会議室
二カ月に一度の村瀬先生との勉強会です。子育て真っ盛りの若い世代からシルバー世代まで、広いジェネレーションが集い、自由に話し合い、疑問をぶつけ合う会を行っています。(連絡先 星野弥生)
★「日曜科学クラブ」毎月第一日曜日にボランティアセンターで開催。小さい子どもから小中学生中心のクラスは13時から。大人のBクラス(もちろん子どももOK)は15時から。講師は平林浩先生。4月は2日。4月9日は恒例の山梨での「ももの遠足」。野草を摘み天ぷらにしてみんなで食べます。
★昨年、北沢タウンホールで一日上映した「世田谷夫婦善哉」が、タイトルを「東京夫婦善哉」と変えて6月に渋谷のユーロスペースで一般公開されることになりました。気恥ずかしくもありますが、けっこう評判がよかったのです。チラシが間に合いました!前売り券(1100円)も!(星野まで)
★星野弥生の気功教室 毎月第二、第四金曜17時半~19時20分(経堂)、毎月第二、第四日曜日の10時~12時(代々木公園)、毎週火曜日の登戸のクラスなど。星野までお問合せください。4月の代々木公園は、23日、30日になります。
田谷こどもいのちのネットワークの仲間になってください。つうしん、お知らせが届き、講演会などの参加費が無料になります 年会費3000円 郵便振替口座00100-9-396998
【事務局】Tel 03-3427-8447 070-5554-8433 email:marzoh@gmail.com(星野弥生)
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