SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】523 だがために国連安保理はある?
- 2023年 4月 8日
- 評論・紹介・意見
- 国連平田伊都子西サハラ
一体、国連安保理はだがために、なにがためにあるんでしょうね?
答えが見つかったら、教えてください。
① 国連安保理とは?(参照、外務省):
国連安保理の母体・<国連>の概要を、外務省の<国連外交>でおさらいしてみよう。
「国連(国際連合)は1945年10月に51か国の加盟国で設立され、我が国は1956年12月18日、80番目の加盟国となった。(中略)現在の加盟国数は193か国で、国連公用語は英語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、アラビア語の6か国語だ」
「国際連合憲章は国連の基本文書で、加盟国の権利や義務を規定するとともに、国連の主要機関や手続を定めている。また、国連憲章は加盟国の主権平等から国際関係における武力行使の禁止まで、国際関係の主要原則を成文化している。国連憲章は前文と全19章、111条から成る。これらの章のうち、第3章で国連の6つの主要機関(総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局)の名称を載せている」
プーチン大統領に逮捕状を出したICC(国際刑事裁判所)は6主要機関に含まれていない。
<国連安保理>の概要を同じ外務省・国連外交から引用すると、「安保理は、国際の平和と安全の維持につき主要な責任を有している(国連憲章第24条1項)。国連憲章上の主な権限は、紛争当事者に対して、紛争を平和的手段によって解決するよう要請したり適当と認める解決条件を勧告したりすること、紛争による事態の悪化を防ぐため必要又は望ましい暫定措置に従うよう当事者に要請すること、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、平和と安全の維持と回復のために勧告を行うこと、経済制裁等の非軍事的強制措置及び軍事的強制措置を決定すること、など。安保理の具体的活動は、(1)国連平和維持活動(PKO)の設立、(2)多国籍軍の承認、(3)テロ対策、不拡散に関する措置の促進、(4)制裁措置の決定等である。
安保理は、5か国の常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)と、10か国の非常任理事国から構成されている。常任理事国は、<拒否権>を有し、常任理事国の1か国の反対があった場合には成立しない(憲章第27条)。非常任理事国は、任期2年で、全加盟国による秘密投票により選出され、連続して任期を務めることが認められていない。現在の非常任理事国は、アルバニア、ブラジル、ガボン、ガーナ、UAE(2023年末まで)とエクアドル、日本、マルタ、モザンビーク、スイス(2024年末まで)。会合の議長は英語のアルファベット順に月番で務める」
国連は、<2度と戦争を起こさないために>、国連安保理は<平和と安全の維持と回復のために>あることが、明確に記されている。が、ウクライナ戦争は起こった!パレスチナや西サハラのみならず、世界中に銃声と悲鳴が溢れているのだ!!
② 安保理4月議長国・ロシア:
2023年4月3日昼飯時(日本時間4月4日真夜中)、ウクライナと庇護するアメリカが猛反発するなか、安保理4月議長職に就いたワシリー・ネベンジャ・ロシア国連大使が、久しぶりに満員御礼の国連記者会見を開いた。
ウクライナやアメリカの記者が、「ICC(国際刑事裁判所)から首脳に逮捕状が出されている戦争犯罪人ロシアが、安保理議長職に就くなんて大間違いだ!辞退しろ」と、迫った。対するロシア国連大使の国連安保理4月議長は、「一部の国は、安保理議長を自分たちの意のままに決めようとする。ロシアは国連の正則に従って、議長職を全うする」と答えた。
「ウクライナで誘拐され、ロシアに連れてこられた子供たちに対する戦争犯罪」を糾弾する西側メデイアに対し、ロシア国連大使は「ロシアはこの贋作を払拭するために、アリアフォーミュラ会議(会議場以外で開催する非公式会合)を予定している」と、応答した。
「4 月 7 日の聖金曜日、4 月 14 日の正教会の聖金曜日、4 月 21 日の犠牲祭と、三つの宗教祭が重なっていてタイトだが、安保理の傘下にある西サハラを含むPKO(平和維持軍)の報告や協議も行う」と、安保理4月議長は発表した。
さらにロシア4月議長は慣例に従って、セルゲイ・ラブロフ・ロシア外務大臣が国連安保理議長の席に着くことを公表した。「4月24日、世界の力のバランスを維持し人類進歩の条件を確保しながら、主権の平等に基づく新しい多極世界秩序の構築方法に焦点を当てた安保理公開討論を、ラブロフ外相が主催する。ラブロフ外相は、4月25日に中東に関する公開討論の議長を務め、中東和平プロセスの特別コーディネーターであるウェネスランドをブリーフィング者として迎える」と、4月議長は述べた。この会議は、パレスチナとイスラエルの紛争解決の停滞と緊張の高まりに焦点を当てると、言及した。
国連安保理会議場で4月議長ネベンジャ・ロシア国連大使(右)
に話かけるグテーレス国連事務総長
③ 議長国ロシアに期待するパレスチナと西サハラ、、が?:
4月25日にラブロフ・ロシア外相が議長をやる国連安保理公開討論会の予約を取り付けたパレスチナは、とりあえずホッとしたようだ。これまで全てのイスラエル非難提案を、拒否権乱発で潰してきたのは、アメリカだからだ。ロシアの拒否権行使を非難してきたアメリカが、パレスチナVSイスラエル紛争に関しては、逆に被告席に追いやられる。しかも、イスラエルは連日のようにパレスチナの礼拝者や難民や住民を襲撃し続けている。
一方、西サハラ難民キャンプのネット通信やAFPアルジェリア国営通信は、「4月19日に、国連安保理でスタファン・デ・ミストラ西サハラ国連事務総長個人特使とアレキサンダー・イバンカ(モロッコ女性を妻帯」MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)団長兼西サハラ国連総長代理の2人が、非公開の報告を行う」と、期待をもたせる報道をした。そして、両通信社は、オマル西サハラ国連代表の、「西サハラ脱植民地化の平和的、公正かつ永続的な解決は、西サハラ人民の民族自決権と独立に対する揺るぎない権利を遵守されて、初めて可能になる」という声明を、紹介した。
2022年10月に西サハラ国連事務総長個人特使の1年(延長)任期に就いたスタファン・デ・ミストラは全く行動せず、半期の安保理報告を目前にして急遽、モロッコとポリサリオ西サハラ代表や西サハラ問題友好国と密談を重ね、なんとか(やってます)報告書をまとめた。モロッコ国王とつるむ現在の事務総長は、西サハラ難民や被占領民を救う気など、全くない。彼の個人特使で部下のスタファン・デ・ミストラや彼の報道官ステファンが、西サハラ問題に関して消極的なのはボスの所為だ。パレスチナ紛争の方は、ラブロフ外相が議事進行する安保理公開討論で国際社会やマスコミの耳目を集められるが、西サハラ紛争の扱いは、午後の短時間、しかも非公開で、国連サイトの扱いもわざと小さい。期待薄だ。が、この、半年に一度の報告チャンスを西サハラ側が有効に生かさなかったら、残りの半年を無為無策でモロッコと国連の領土略奪陰謀を許すことになってしまう、、
悶々とする4月5日の国連定例記者会見で、ディジー記者が「安保理議長国が事務総長の調査を開始したという中国SNSのニュースは本当か?」「テドロス博士は誰に弾劾されたのか? 事務総長も弾劾されたのか?」と、爆弾質問をした。報道官は即座に否定した。
同じ4月5日、ロイターは、「マクロン仏大統領が訪中前のバイデン米大統領と申し合わせをし、ウクライナで戦争終結に向けて仇敵中国の関与を求めた」と、報じた。
同じ4月5日、モスクワで各国の新任駐ロシア大使たちを前に、プーチン露大統領が記者会見を開催した。特にトレーシー米大使に対して、「アメリカが2014年にウクライナでクーデターを支援したことが現在のウクライナ危機を招いた(NHK 発)」と、アメリカを強く非難した。クーデター支援の首謀者は時の米副大統領で、現在のバイデン米大統領だ。
バイデン米大統領とマクロン仏大統領は、「グローバルノース(北半球を中心とした先進国)とグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)の連携に向けた取り組みに、中国が貢献することを期待する」と、ロシアから中国を引き離す作戦で、中国のウクライナ停戦仲介役を認めたようです。 このグローバルノースとグローバルサウスという白人至上主義の差別語を欧米側の<キーワード>にしました。
まるで、白人列強が黒人や有色人種を奴隷にした、15世紀から第2次大戦までの植民地主義じゃないですか?! 地球から忌まわしい植民地をなくそうと、国連を創設し安保理を設けたのに、、
現在の国連安保理はだがために、なにがためにあるんでしょうね?
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年4月8日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12953:230408〕
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