SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】524 パレスチナ大義復活!西サハラ大義も?
- 2023年 4月 15日
- 評論・紹介・意見
- パレスチナ中国平田伊都子習近平西サハラ
世界はシーさんのお世話になってます。 シーさんとは、ウクライナ戦争停戦案を掲げロシアを訪問し、サウジアラビアとイランを握手させ、スペイン・サンチェス首相、フランス・マクロン大統領、ブラジル・ルナ大統領、、と。世界の首脳に北京詣でをさせている、英語でXi(シー)さん、 習近平国家主席のことです。
まもなく断食明けを迎えるアラブ世界にも、シーさん春風が吹き始めました、、
① シーア派首長イランとスンニ派首長サウジアラビアの握手:
<シーア派首長イランとスンニ派首長サウジアラビアの握手>は、アメリカにとって大惨事に等しい。これまでの、シーアVSスンニという宗派対立を利用した、反イラン連合=アメリカ+湾岸諸国+イスラエルは崩壊した。しかも、2大石油産出国が握手したのだ!
「イランとサウジアラビア和解の次は何だ?」と、アメリカのPBSニュースアワーが特集を組んだ。番組は、サウジアラビア国営テレビが提供する、中国外務省での中国・サウジアラビア・イランの外務大臣スリーショットを強調した。 さらに「習近平中国主席によるイラン・サウジアラビア国交正常合意が中東地域に真の平和をもたらした」との中国報道官の発言を付け加えた。そして、「イスラエルは、友好的なアラブ諸国との関係を大転換させるだろう」と、ショックを受けたネタニヤフ・イスラエル首相のショットも挟んだ。
番組の解説には、元オバマ政権外交政策委員会のメンバーで上級顧問を務めた中東とイスラム世界が専門の、テヘラン生まれでイラン系アメリカ人、ヴァリ・ナスル・ジョンズホプキンス大学教授を招いた。ヴァリ・ナスル教授は、「習首席のサウジ・イラン和解は中東の勢力地図に大変革をもたらした」と、アメリカにとっての大事件を総括した。
そして、「早速、イエメンでは、イラン支援のフーシ派が2023年12月末までの停戦を宣言した。<アラブ全員でイランに反対を>と叫んできたバイデン政権に、アラブ諸国は耳を貸さなくなった。それどころか、イランもサウジも中国の習さんを信頼し、中国を中心とした反米非同盟に舵を切った。アメリカはサウジやUAE(アラブ首長国連邦)とも、ギクシャクし始めた。パレスチナとイスラエル紛争は激化し、<パレスチナ>大義は死んだ>とイスラエルを喜ばせたトランプの言葉は死語になった」と、ナスル中東専門家は分析した。
ロシアの戦争犯罪を云々するアメリカは、イラクや中東でのアメリカによる戦争犯罪を問われなければならない。
因みに、PBS (Public Broadcasting Service )は公共放送局。何でもかんでも商売商売のアメリカでは珍しく公的資金による 非営利団体で、バージニア州アーリントンに拠点を置く無料放送 テレビ ネットワークだ。PBS は 350 以上のメンバー テレビ局と連帯している。その多くは教育機関、特定の地方公立学区または大学教育機関と提携している非営利団体、または州政府が所有や関連をする団体などなどのテレビ局だ。金をかけないからアナウンサーも出演者も地味で、現場取材も殆どなく、楽しくないしお笑い場面もない。
米政府よりだけど米政権のニュースを真面目に伝えてくれる、お勉強になるテレビ局だ。
② 第三国のウクライナ戦争停戦活動:
AFP(フランス通信社)などによると、ルーラ・ブラジル大統領は4月6日に、「ゼレンスキー・ウクライナ大統領はすべてを手に入れることはできない」とする大統領就任前からの持論を展開し、「ウクライナがクリミア半島の領有権を放棄して和平交渉を開始すべき」との考えを強調した。すぐさま、ウクライナ側は反発した。しかし、ルーラ大統領は中国の上海と北京を訪問するため、4月11日にブラジリア空港を飛び立った。ブラジルにとって中国は最大の貿易相手国であり、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのBRICS新興5か国経済機構の牽引国であり、上海経済機構の主催者であり、最重要国である。
4月13日午前、ルーラ大統領は上海浦東に位置したNDB(新開発銀行)本部を訪問し、「どの国もなぜドルを使っているのだろうか、人民元や他の通貨は国際決済通貨になり得ないのだろうか?」と、演説し、中国を喜ばせアメリカの神経を逆なでした。NDBはBRICS・ブリックス(中国・ブラジル・ロシア・インド・南アフリカ共和国)経済機構が、西側主導の金融体制に対抗して2015年に設立した国際金融機構だ。
13日午後、ルーラ大統領は上海にあるファーウェイ技術革新センターを訪問した。米国の制裁対象である中国通信装備企業ファーウェイへの南米最大国ブラジル大統領の訪問に、アメリカは不快感を隠さなかった。
が、それ以上に、今回の訪問の目的は、ウクライナ戦争停戦を目指す習近平主席との停戦仲介首脳会談にある。アメリカは、「14日の習首席とルーラ大統領首脳会談では、ウクライナ問題が両国の公式議題には含まれないものとみられる」と、希望的観測の気球を打ち上げたが??
ルーラ・ブラジル大統領はウクライナ紛争の解決に向けた多国間グループの創設も提案しており、訪中後には実現するものと確信している。
③ パレスチナ大義が蘇った!西サハラ大義も蘇れ!!:
4月6日の国連安保理議場前のステイクアウト(張り込み記者会見)で、マンスール・パレスチナ国連代表を中心に10人のアラブ諸国国連大使が大同団結し、イスラエルの暴力に抗議会見をした。パレスチナは、イスラエルの後ろ盾・アメリカの拒否権で未だに国連参加を承認されておらず、国連オブザーバーの立場に据え置かれたままだ。
三日月が消えると断食月が終わり、アラブの和平工作が活発になってくる。
(西サハラ難民キャンプのポスター)
ヴァリ・ナスル元米国務省補佐官がPBSテレビで語ったように、パレスチナの復讐が始まった。このステークアウト記者会見では、アラビア語が飛び交った。「イスラエルと国交正常化させたアラブの国連大使は、どう、イスラエルと対決していくのか?」という記者団の質問にマンスール・パレスチナ代表は、「パレスチナの大義は、二国間関係を超えて存在する」と、答えた。同席していたイスラエルと親友のモロッコ国連大使が苦笑いした。
長い復活祭休暇が明けた4月10日の国連定例記者会見でステファン報道官が、「4月5日から7日の間、ポリサリオ戦線とモロッコ軍の協力で、物資輸送コンボイは<砂の壁・地雷防御壁>の東側にある、ティファリティとメヘレス基地に配送を完了できた。この乗りで、国連事務総長個人特使のスタファン・デ・ミストゥーラによる政治プロセスが進展することを、期待している」と、報告した。4月19日の国連安保理ブリーフィングを目前にして、国連事務総長個人特使も MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)も国連事務局も、大慌てで報告書の穴埋めに励んでいる、、
2023 年4月の初め、国連は、大陸別地図の最新更新版をウェブサイトで公開した。その国連最新版地図でもこれまでと同様に、西サハラをラユーンを首都とする、モロッコとは国境がある独立した地域であることを、明記している。一方、モロッコは国境線を消し西サハラもモロッコの赤色で塗り潰し、モロッコ製地図とモロッコの西サハラ領有権の容認を強要して来た。2022年3月にモロッコ領有権とモロッコ地図を呑まされたスペインでもスペイン国際開発協力庁 がウェブサイトで、改めて国連最新地図を再採用した。さらに、4月10日にはスペイン検察官進歩連合が、サンチェス首相に抗議書簡を送り、「国連は西サハラを<非自治地域>と見なしており、スペインも安保理によって承認された1991年の国連和平計画を尊重し、スペイン憲法第96条の規定に従って、国際条約に従わなければならない」と、サンチェス首相に対し、スペインの義務とスペインが負う責任に従って、西サハラの植民地主義を終わらせるよう強く求めた。
バイデン米政権の「ルーラ・ブラジル大統領と習首席の会談ではウクライナ戦争停戦の話は出ない」という希望的観測気球は、見事に撃ち落とされました。 「アメリカ中心でない新しい世界秩序を強化し、全ての和平努力、ことに中国の和平案を支持していく」と、両首脳は表明しました。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年4月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12965:230415〕
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