G７広島サミットに「市民の声を」　市民団体や平和団体が集会やデモ行進を計画

＜岩垂　弘：ジャーナリスト＞

　Ｇ７広島サミットが５月19日(金)～21日(日)、広島市で開催されるが、市民団体や平和団体が、同サミットに被爆者や市民の声を届けようと、サミットの直前に集会やデモ行進を計画している。そのいくつかを紹介する。

　Ｇ７サミットとは、首相官邸のＨＰによれば、自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有する仏、米、英、独、日、伊、加の７か国の首脳が一つのテーブルを囲みながら、世界経済、地域情勢、様々な地球規模課題について、率直な意見交換を行う場だという。毎年開催されており、日本での開催は７回目となる。
　サミットの議長を務める岸田首相は、３月31日、外交専門誌『外交』に寄せた寄稿文の中で「サミットでは、力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用はあってはならないものとして断固拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く――私は、Ｇ７議長として、議論を牽引し、こうしたＧ７の強い意志を、歴史に残る重みを持って、力強く世界に示したいと考えています」と述べている。

Ｇ７広島サミットを問う市民のつどい
　これに対し、最初に行われるのは「Ｇ７広島サミットを問う市民のつどい」だ。
「つどい」は５月13日(土)13時から、アステールプラザ(広島市中区民文化センター)中ホールで開かれ、被爆者・豊永恵三郎、Ｇ７サミットいらない！首都圏ネットワーク・小倉利丸、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表・高里鈴代、歴史家・田中利幸、ピースデポ代表・湯浅一郎の各氏らから報告がある。
　「つどい」はその後、翌14日(日)13時から原爆ドーム前で集会を開き、14時から市内をデモ行進する。

　「つどい」は、実行委員会の主催。実行委は「つどい」を前にして、「Ｇ７は国連総会を無視し国際法上の根拠を持たない非合法サークルです。Ｇ７はこれまでも世界各地で戦争や紛争の原因をつくりつづけ、グローバルな貧困や環境破壊に加担してきました。私たちははこうしたボスによる談合に一切の決定を委ねるつもりはありません」として、以下の８項目のスローガンを掲げている。

★戦争も核兵器も原発気候危機も性差別も解決できないＧ７を広島で終わらせよう
★岸田首相は軍拡のために被爆地ヒロシマを政治利用するな
★バイデン大統領は原爆無差別大量虐殺を謝罪せよ！
★岸田首相はアジア侵略・植民地支配を謝罪せよ！
★核武装国(米英仏印)首脳は広島に来るな！
★Ｇ７・ＮＡＴＯ軍事同盟は核による脅し(＝平和に対する罪)をやめよ！
★暴力に抵抗しているウクライナとロシアの市民に連帯し、ロシア軍撤退による即時停戦を！
★すべての戦時および日常の性暴力と性搾取を根絶しよう！

核廃絶を求めるＧ７サミット直前広島イベント
　５月17日(水)18時から、広島市中区上八丁堀の広島弁護士会館大ホールで「核廃絶を求めるＧ７サミット直前広島イベント――どんな声が今、広島から世界に届けられるべきなのでしょう」が開かれる。
　元広島市長・平岡敬、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会・森滝春子、奈良大学教授・高橋博子、講談師・神田香織、ジャーナリスト・金平茂紀の各氏らを呼びかけ人とする実行委員会主催のイベントで、イベント開催の狙いを「世界を見渡せば、ウクライナでの戦争が長期化し、停戦・和平の見通しが見えないだけでなく、米中対立を背景に、東アジアでの安全保障環境が声高に叫ばれるような局面で開催されるのが、今回のＧ７サミットです」「このような状況の下、ヒロシマの地で市民の平和への思いを再確認するとともに、Ｇ７サミットを単なる政治ショー、敢えて言えば『お祭り』にしてはならないという思いから、私たちはどのようなメッセージを世界に向けて発出すべきなのかを考えるイベントを開催したいと考えます」としている。

　イベントでは、神田香織さんの講談『はだしのゲン』と、呼びかけ人らによるパネルディスカッションが行われる。定員200人。資料代1000円。問い合わせは事務局(kittyomu1711@gmail.com)へ

「ヒロシマ」のおもい、核兵器廃絶のおもいを世界へ５・17原水禁集会
　原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は５月17日(水)18時から、広島市中区八丁堀のＹＭＣＡ国際文化ホールで「『ヒロシマ』のおもい、核兵器廃絶のおもいを世界へ５・17原水禁集会」を開く。
　集会開催の狙いについて、原水禁は「岸田首相は『核兵器廃絶はライフワーク』と言いながら、アメリカの『核の傘』への依存を続ける一方、核兵器禁止条約に署名・批准するための議論すら始めていません。被爆者の願いは核兵器廃絶と世界平和の実現です。あの惨劇を二度と繰り返させてはならないというおもいが、世界の核兵器廃絶の大きな流れを牽引してきました。岸田首相をはじめとするＧ7首脳が広島の地においてそのおもいを無視し、踏みにじることは許されません。被爆の実相に寄り添い、核兵器廃絶に向けた実効性ある一歩を踏み出すことを強く求めます」としている。

　集会では、秋葉忠利・元広島市長らによるトークセッション、アピールの採択が予定されている。

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