健康保険証の撤廃、意地を張っているとしか思えない愚策
- 2023年 7月 17日
- 評論・紹介・意見
- マイナンバー制度内野光子
もう、いいかげんに諦めて!としか言いようのない、マイナンバー制度、マイナンバーカードの普及が思わしくないからと、ポイント付与に躍起となり、挙句の果て健康保険証撤廃の方針まで打ち出した。ところが、便利、便利、メリット、メリットと歌いあげた場面で、次々に発覚した事故やトラブル、それも競わせ、急かされた自治体やその下請けの人的ミスと言い逃れ、莫大な時間と労力と予算を要する「総点検」をするという。もう、行政の効率化どころではない、個人情報の洩れる環境は途方もなく拡大することになる。
ともかく、少なくとも健康保険証撤廃は撤回すべきである。「何事も新しいことを始めるのには、失敗やトラブルはつきものだから」と訳知り顔にコメントする、妙な肩書の識者たちもいる。
そもそも、マイナンバー制度は、税金徴収、社会保障、災害時に役立てるという、触れ込みだった。マイナンバー制度とは、国民に有無を言わせず、個人ナンバーを付与する制度だが、マイナンバーカードの取得は任意であるのが今の法律である。現在、マイナンバー自体にヒモづけられているのが、私の場合は国民健康保険税・介護保険税・市民税が、年金から自動引き落としされて振り込まれる預貯金口座である。
もし、マイナンバーカード取得時に、取得自体に5000円、健康保険証登録で7500円、公金受取口座登録で7500円のマイナポイントを付与され人でも、カードの返納は可能で拒まれることはない。ただ、現在、ヒモ付けを解消することはできないと称しているが、法的根拠はないはずで、あとは事務的処理の問題であろう。
総務省の発表によれば、ことしの6月末日現在で、マイナカードの交付率は70%である。
しかし、私が整形外科でかかっている病院で、マイナカード読み取り機の前に立つ人を見かけたことがないし、先日出かけた近くのクリニックでもカード読み取り機はあるが、利用している人は見かけない。受付の人に尋ねてみると、「そうですね、50人の患者さんがいたとして、2人くらいでしょうか」とのこと。一度利用した人も、暗証番号を入れたり、同意事項に同意したりするのが面倒で、これまで通り健康保険証を提示する人がほとんどとのこと。笛吹けど踊らず、とはこのことだろう。
いまからでも遅くはない、カード返納をしよう。2024年秋に廃止といっている健康保険証を持ち続ける手続きをしよう。
繰り返しになるが、外国では日本のような個人番号制度はないのである。
「マイナンバー制度」は日本だけ?!先進国の失敗になぜ学ばないのか(2015年11月25日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/11/post-afb2.htmll
諸外国の個人識別番号の現況
syogaikokunokojinsikibetu.pdf
初出:「内野光子のブログ」2023.7.15より許可を得て転載
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〔opinion13133:230717〕
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