原爆展を「オンラインミュージアム」で 被爆者団体がその費用を募金で調達中
- 2023年 8月 24日
- 評論・紹介・意見
- クラウドファンデイング原爆展岩垂 弘核
原爆被爆者の全国組織である日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、「核兵器は死者を人間とは思えない姿に焼き尽くし、生き延びた人々を病気や貧困、差別に追い込みました。核兵器は、人間とは共存できない兵器です。核兵器がもたらしたものと、被爆者の歩みを世界の人たち知って欲しい」(日本被団協発行のチラシから)という思いから、2005年から4回にわたってニューヨークの国連で原爆展を開催してきた。
ところが、ロシアによるウクライナ侵攻を機に、核兵器が使われるのではとの不安が世界的に高まり、日本被団協は「世界は今、広島・長崎後、核兵器使用のリスクが最も高い状況にある」とみている。その理由として、米国の原子力科学者会報の「世界終末時計」が今年1月24日に「人類の終末まで『残り90秒』」になったことを挙げている。これまでで最も終末に近づいた数字だという。
そこで、日本被団協としては、「広島・長崎での被害の実態は、私たちが思っている以上に世界に伝わっていないのです。広島・長崎の被爆体験について世界の人たちが知らないのは無理ありません。触れられる機会が少ないし、78年前の出来事を自分ごととしてとらえるのは簡単なことではありません。しかし、伝えるきっかけさえ作れれば、核兵器に対するイメージはきっと変わるはずです」として、「広島・長崎の被爆者の思いを世界へ届けるオンラインミュージアム『NO MORE HIROSHIMA&NAGASAKI MUSEUM』をつくろう」ということになった。
具体的には、2022年に国連本部で開催した原爆展『広島・長崎から75年を超えてヒバクシャ――核兵器廃絶に取り組む勇気ある人々』のパネルをインターネット上に公開する。これだと、誰でも世界中から簡単にアクセスできる。
これに対し、中満泉・国連軍縮担当上級代表も「日本被団協が『原爆展』のオンライン公開を決定したことを嬉しく思います。このウエブサイトを通じて、世界中のあらゆる人々が、核兵器の惨禍を乗り越えられた被爆者の方々の力強さに触れることができるのです」とのメッセージを寄せている。
オンラインミュージアムの製作費は350万円。写真の使用料、パネルのweb用デザイン費、ホームページ作成費、ホームページ翻訳費などがかかるからだ。このため、日本被団協としては、この費用をクラウドファンデイング(募金)でまかなうことにしている。これには、NPO法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会も協力している。期間は9月17日まで。
8月23日現在、93人から114万2000円が寄せられている。
パソコンやスマホでクラウドファンディングを参加するには、
NO MORE HIROSHIMA&NAGASAKI MUSEUMへ。
銀行振込みの場合は以下へ連絡を。
電話03-3438-1897 FAX03-3431-2113
メール:hidankyo1945@gmail.com
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